3歳馬と古馬の対戦を期待していくために必要な基礎重量
先々週のことになるが、7月22日に行われた習志野きらっとスプリントは、1番人気に支持されたノブワイルドが格の違いを見せて連覇となった。
この習志野きらっとスプリント、昨年までは南関東格付けSIIだったのが、今年からSIに格上げされ、1着賞金も2100万円から3100万円に増額された。
賞金増額は歓迎だが、ちょっと残念に思ったのは昨年まで賞金別定戦だったのが、SIになったことで定量戦になったこと。しかも4歳以上56kgに対して、3歳馬はこの時期としては厳しいと思われる54kg。昨年まで基礎重量では3歳馬は53kgだった(牝馬はいずれも2kg減)。
ちなみに、2015年には3歳のルックスザットキルが53kgで勝ち、2018年には同じく3歳のクルセイズスピリツが53kgで2着に入っていた。
賞金別定での斤量差もこのレースを面白くしていた要因のひとつ。一昨年は別定1kg増で57kgのアピアが勝ち、前述53kgのクルセイズスピリツが1馬身差で2着。さらに1馬身差で3着は58kgを背負った高知のサクラレグナムだった。
昨年は、別定1kg増で57kgのノブワイルドが勝ち、前年よりさらに1kg増えて58kgのアピアが2馬身半差で2着だった。
そして今年は、定量56kgのノブワイルドと、北海道から遠征した3歳牝馬で52kgのアザワクが3番手以下を離して競り合い、勝ったのはノブワイルドで、アザワクは4着。2着にも前走JpnIIIの東京スプリントで3着という実績があったキャンドルグラスが入った。
南関東のローカル格付けで最高のSIになったからとはいえ、ダートグレード勝ちのある古馬と、地元重賞しか勝っていないこの時期の3歳馬が2kg差(アザワクは牝馬ゆえ4kg差だが)というのでは、レースとしても、馬券的にもあまり面白くない。仮に昨年の別定重量であれば、アザワクは51kg、ノブワイルドは58kgで7kg差となった。
6月末に行われているJRAの宝塚記念も定量ではあるが、かつて古馬と3歳馬の差が4kgだったのが、90年代の終盤あたりからだっただろうか、3歳馬の出走を促すため、4歳以上58kg、3歳53kgと、現在に至るまで5kgの差をつけている。
短距離戦においては、若馬と古馬との能力差が中長距離戦ほどはないと言われているので、宝塚記念ほどの差をつける必要はないのだが、それにしても2kg差ではと思う。
オーストラリアなどではメルボルンCに代表されるようにG1のハンデ戦というのもめずらしくない。さすがに日本の競馬で、人為的な裁量も影響するハンデ戦のGIというのは馴染まないだろうが、最高格付だからと杓子定規に定量戦とする必要もないのではないか。まして習志野きらっとスプリントは主催団体が独自に決めるローカルな格付けだ。
習志野きらっとスプリントが昨年までの別定戦のほうがよかったというのは、単にレースとして、馬券として面白くなるからというだけではない。
南関東では習志野きらっとスプリント創設と同じ2011年に、3歳馬の短距離重賞として大井に優駿スプリント(1200m)が新設された。習志野きらっとスプリントは、その3週後か4週後に実施される。そこで3歳馬と古馬の対戦を期待するなら、基礎重量の2kg差は少ない。
もうひとつ。習志野きらっとスプリントは、スーパースプリントシリーズのファイナルでもある。各地でトライアルを勝って出走権を獲得した馬にとっては遠征というリスクもあり、それでいてダートグレードでも実績のある南関東の実績馬と同斤量というのでは、やはり二の足を踏むことになるのではないか。
習志野きらっとスプリントを、3歳馬と古馬との対戦、そしてスーパースプリントシリーズのファイナルとして盛り上げようとするなら、格付けはSIでも負担重量は昨年までの別定重量にするべきだと思うのだが。