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ケンタッキーダービーの最新版勢力図

  • 2020年08月19日(水) 12時00分

最有力は盤石のベルモントS覇者ティズザロウ


 15日(土曜日)にニュージャージー州のモンマスパーク競馬場で行われたLRペガサスS(d8.5F)をもって、ケンタッキーダービーの出走権を巡るポイントが設定されたレースが全て終了。9月5日にチャーチルダウンズ競馬場で行われる第146回ケンタッキーダービー(d10F)の勢力分布が固まった。

 コロナ禍のため例年より4か月遅れでの開催となったのが、今年のケンタッキーダービーだ。当初開催予定だった5月2日以降に各地で行われた3歳戦18競走が、今年だけの特例としてダービーポイントを設定しての施行となり、昨年9月にスタートしたケンタッキーダービー・ロードは、足掛け12か月、総レース数57というロングランとなった。

 この結果、通算獲得ポイント372でランキングの首位を独走することになったのが、バークレイ・タッグ厩舎のティズザロウ(牡3、父コンスティテューション)である。

 ニューヨーク産馬で、ファシグティプトン・サラトガ・ニューヨーク産1歳市場にて11万ドル、当時のレートで約1172万円という、その後の大活躍を考えれば超バーゲンプライスで購買された同馬は、2歳8月にデビュー。サラトガのメイドン(d6.5F)、ベルモントパークのG1シャンパンS(d8F)を連勝し、デビュー2戦目でG1制覇を果たす離れ業を演じた。

 2歳最終戦となったチャーチルダウンズのG2ケンタッキージョッキークラブS(d8.5F)では、“Sloppy”という泥んこ馬場をこなせず初の敗戦(3着)を喫したものの、3歳になると再び快進撃をスタート。ガルフストリームパークのG3ホーリーブルS(d8.5F)を3馬身差で、続くG1フロリダダービー(d9F)を4.1/4馬身差で、そして距離が例年の12Fから9Fに短縮されたG1ベルモントS(d9F)を3.3/4馬身差で制した後、8月8日のサラトガで行われたG1トラヴァーズS(d10F)も5.1/2馬身差で制し、4度目のG1制覇を達成。

 ケンタッキーダービーでは、場合によっては単勝オッズが2倍を切る、被った1番人気に推されることが予想される。2番人気は、獲得ポイント140でランキング3位のアートコレクターか、150ポイントで4位のオナーエーピーの、いずれかになりそうだ。

 トーマス・ドゥルーリーが管理するアートコレクター(牡3、父バーナーディーニ)は、馬主ブルース・ランスフォード氏の自家生産馬。G1フラワーボウルS(芝10F)2着馬ディストーテッドレガシーの2番仔にあたる。デビュー当初は芝を走り3戦1勝の成績を残した後、4戦目からダートに転身。今季初戦となったチャーチルダウンズの条件戦(d7F)、続くチャーチルダウンズの条件戦(d8.5F)を連勝後、キーンランドのG2ブルーグラスS(d9F)を3.1/2馬身差で制し重賞初制覇。更に、8月9日にエリスパークで行われたLRエリスパークダービー(d9F)も3.1/4馬身で快勝し、今年に入ってからの成績を4戦4勝としている。

 G1ヴァニティH(d9F)など2つのG1を制したハリウッドストーリーの9番仔で、ファシグティプトンサラトガ1歳市場にて85万ドル(当時のレートで約9547万円)で購買されたのがオナーエーピー(牡3、父オナーコード)だ。ジョン・シレフスが管理する同馬は、2歳10月にサンタアニタのメイドン(d8F)を5.1/4馬身差で制し、デビュー2戦目で初勝利。3歳初戦となったサンタアニタのG2サンフェリペS(d8.5F)で2着となった後、6月6日のG1サンタアニタダービー(d9F)を制し、G1で重賞初制覇を飾っている。その後、8月1日にデルマーで行われたLRシェアドビリーフS(d8.5F)では、単騎でスローな逃げを打ったサウザンドワーズを3/4馬身捉えきれずに2着に敗退したが、敗れて強しの競馬を見せている。

 これに続く4番手評価が、6度目のケンタッキーダービー優勝を狙うボブ・バファートが管理するオーセンティック(牡3、父イントゥミスチフ)だ。2歳11月にデルマーのメイドン(d5.5F)を制しデビュー勝ちを飾ると、3歳緒戦となったサンタアニタのG3シャムS(d8F)、続くG2サンフェリペS(d8.5F)も勝って3連勝。しかし、続くG1サンタアニタダービー(d9F)でオナーエーピーの2着に敗れ、連勝が止まっている。

 同馬はその後、7月18日にモンマスパークで行われたG1ハスケルS(d9F)に出走。逃げて、残り1Fで後続に3馬身差をつけ楽勝かと思われたが、そこから急激に失速。それでも、ニューヨークトラフィックの猛追を辛くも鼻差しのいでG1初制覇を果たした。手綱をとったM.スミスは失速の要因を、バテたわけではなく、馬が遊んだしまったためと説明している。

 そのG1ハスケルSを含めて、重賞での2着が3回続いているニューヨークトラフィック(牡3、父クロストラフィック)、西海岸におけるシリーズ最終戦となったLRシェアドビリーフSを制したサウザンドワーズ(牡3、父パイオニアオヴザナイル)、G1トラヴァーズSの2・3着馬カラカロ(牡3、父アンクルモー)、マックスプレーヤー(牡3、父オナーコード)らが、5番手以下のグループを形成している。キャパシティに比べると14%に過ぎない2万3千人程度の観客を入れて施行される予定のケンタッキーダービーは、グリーンチャンネルで生放送される予定で、日本の競馬ファンの皆様もぜひご注目いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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