先週はコパノマーキュリーでの6勝目、そしてセレッソフレイムで挑んだフェニックス賞でも2着するなど、大活躍だった小牧騎手。今週の『太論』ではこの2レースをじっくり振り返り、それぞれの今後の可能性について、現時点での手応えを語ってくれました。(取材・文:不破由妃子)
※このインタビューは電話取材で実施しました。
ずっと後ろのほうの着順だった馬が、ようここまで変わってくれた
──コパノマーキュリーでの6勝目(8月15日・小倉8R・3歳上1勝クラス)、おめでとうございます! 順当勝ちといった感じでしたね。
小牧 そうやね。今回は1000mやったから、好位で競馬をしようと思って乗っていったんやけど、上手いこと乗れたね。1000mもよかったし、だいぶ馬込みにも慣れてきた感じや。馬込みに入れると、まだちょっとフワフワするところがあるけど、最初ほど周りを怖がることもなくなった。進境が見て取れたね。
──慣れとともに、すっかり差す競馬が板について。いい脚でしたね。
小牧 うん。思った通りに伸びてくれた。とりあえず1つ勝ててホッとしたわ。これまでの成績を見ると、少し前まではずっと後ろのほうの着順だった馬やからね。ようここまで変わってくれたわ。
──タメる競馬をするようになってから3着→3着→1着。小牧さんが能力を引き出したともいえます。
小牧 “ひと脚”あることが前提やけど、2桁着順が続いているような馬であっても、競馬を覚えればこれだけ走れるんやって思った。今さらながら勉強になったし、馬にとってもよかったよね。クラスが上がっても、1200mならいい勝負ができるかもしれん。
──先行して一杯一杯に粘り切った馬より、差す競馬で勝ち上がった馬のほうが、クラスが上がっても可能性が大きいような気がします。
小牧 うん、そういう馬のほうが通用すると思う。なんせいい脚を持っているからね。これからもその脚を引き出せるように頑張ります。
──続いてはフェニックス賞のセレッソフレイム(3番人気2着)。この馬も直線の脚には見応えがありました。
小牧 最後はよく3着馬(ゴールドチャリス)をとらえてくれたわ。あれはたぶん、道中で辛抱したぶんやね。内が伸びる馬場のなか、3〜4コーナーで外に出さず、内でジッとしていたのが2着につながったと思う。それにしても走るね。期待した以上やわ。
──初戦が道悪だったこともあり、「スピード競馬がどうかな」と心配されていましたが、勝ったヨカヨカからコンマ2秒差の1分8秒1ですから、その点もクリアしましたね。
小牧 そうやね。でも、スタート直後は、やっぱりついていけんかった。スタート自体はよかったから2番手くらいにいけたらいいなぁと思ったんやけど、さすがにそこまではいけなかったね。
──初戦からの変化については何か感じるところはありましたか?
小牧 今回の返し馬では物見はせんかったけど、代わりにテンションが高かったわ。牝馬だけあって、一度使って気が乗ったのかもしれんね。まぁ少しうるさいくらいでちょうどいいのかもしれないなと思いながら。
──次は中2週で小倉2歳Sですか?
小牧 うん、いったん帰って小倉2歳Sに行く予定。馬場が悪くなっても問題ないし、馬込みも大丈夫。重賞でこれだけ楽しみなのは久しぶりやね。先週はもう1頭、日曜の新馬も勝ち負けやと思ってたんやけどなぁ。アカンかったわ。
──ダイヤモンドヘッド(3番人気4着)ですね。まだ走ることに前向きではないというか、レースをよくわかっていないような、そんな印象を受けましたが。
小牧 脚の長い馬で、スピードに乗っていけなかったのもあるけど、とにかく左に行くんですわ。調教のときから左にずっとモタれていて、それだけが心配だったんやけど、レースでも出てしまったね。もうスタートしてからずっとや。外に逃げてどうしようもなかった。まぁ一度叩いたことで、変わってくると思うけどね。
──課題があるとはいえ、勝ち負けを意識していたということは、調教で手応えをつかんでいたということですね?
小牧 2週続けて追い切って、「これは走るんちゃうかな」と思ってた。なんせ動いたからね。九州産のなかでは、たぶん一番動いていたと思うよ。姿形もすごくいい馬で。変わってくれば面白いと思う。
──最後に、先週はトレセンで大きな火事がありましたね。映像を見て、言葉を失いました。
小牧 ねぇ…。かわいそうやった。汗取りの最中に知ったんやけど、その場で黙祷しました。原因はまだわからんみたいやけど、どこの厩舎もよっぽど気をつけておかんと、火が出たら一発でアウトみたいな環境やからね。寝藁やらなんやら、燃えやすいものがいっぱいあるし。ホンマに気をつけなアカン。競馬に携わる者として、これ以上ないほどつらい出来事やったね。