姫路の重賞が地方競馬全場重賞制覇へのカギ
9月6日に金沢で行われたサラブレッド大賞典は、1番人気に支持されたカガノホマレが2着に8馬身差で圧勝。鞍上の吉原寛人騎手は、これが地方・中央を通じて重賞通算100勝目。
インタビューで吉原騎手は「2カ月くらい前から目標にしていた」と話していたから、かなり気にかけていた数字だったようだ。地方では重賞99勝。中央では2017年の京阪杯(京都)をネロで制したのを合わせての100勝だ。
吉原騎手は、2014年にハッピースプリントで羽田盃、東京ダービーの南関東二冠を制し、全国的な注目となった。1番人気に支持されたジャパンダートダービーでは南関東三冠に加え、ダートグレード初勝利とJpnI初制覇もかかっていたが、惜しくもハナ差で2着だった。
ダートグレード初勝利は翌2015年。7月の盛岡・マーキュリーCを大井のユーロビートで制した。JpnI初制覇は、昨年の盛岡・マイルチャンピオンシップ南部杯を中央のサンライズノヴァに騎乗して達成。ハッピースプリントでのハナ差2着からじつに5年後の大願成就だった。この年は12月に川崎・全日本2歳優駿も川崎のヴァケーションで制し、JpnI・2勝目となった。
吉原騎手といえば、南関東での期間限定騎乗や、全国の地方競馬の重賞での活躍はご存知のとおり。2016年には地方競馬の“ダービーウイーク”で、佐賀、門別、盛岡、名古屋、大井、園田と、“ダービー”全6戦に騎乗を果たしたこともあった。
ところが今年は新型コロナウイルスの第1波と言われた3月下旬からは遠征を自重して地元金沢での騎乗に専念したことで、地元の重賞を勝ちまくることになった。今年ここまでに金沢で行われた重賞14レースで6勝。
特に8月後半からは、18日の読売レディス杯(北海道・アークヴィグラス)、23日の加賀友禅賞(ハクサンアマゾネス)、9月1日のイヌワシ賞(北海道・リンノレジェンド)、そして6日のサラブレッド大賞典と、なんと4週連続での重賞勝利。そのうちの2つが北海道からの遠征馬だったというのは、いかにも全国で騎乗してきた吉原騎手らしい。
ちなみに9月7日に64歳の誕生日を迎えた大井の的場文男騎手は地方重賞通算154勝(中央はなし)。重賞100勝を達成したのは2002年6月の東京プリンセス賞(サルサクイーン)で、1973年10月のデビューから28年8カ月かかった。時代が違うので比較にはならないかもしれないが、吉原騎手の重賞通算100勝達成は、2001年4月のデビューから19年5カ月だった。
さて吉原騎手では、本人も意識しているであろうもうひとつの記録がある。それはおそらくこれまで誰も達成していないと思われる、地方競馬全場での重賞制覇という記録だ。昨年11月に高知の土佐秋月賞(モズヘラクレス)を制したことで、残すは佐賀だけ。
しかし、そこで厄介な問題がひとつ。たしかに土佐秋月賞を制した時点では、残すは佐賀のみとなったのだが、今年1月、姫路競馬の開催が2012年8月以来、約7年半ぶりに再開された。
園田競馬場と同じ兵庫県競馬組合が主催する姫路での開催日数は今後もそれほど多くなるとは思われず、そこで行われる重賞も限られる。
ばんえい競馬を除く“地方全主催者での重賞制覇”ということであれば、残すは佐賀のみということで間違いないが、姫路での重賞となると機会がきわめて限られるだけに、さて、どうなるだろう。