変則日程の北米3冠最終戦「G1プリークネスS」展望
オーセンティックに立ちはだかるダービー未出走組
コロナウイルス感染拡大の影響で、変則日程で行われてきた北米3歳3冠の最終戦となるG1プリークネスS(d9.5F)が、10月3日(土曜日)にメリーランド州のピムリコ競馬場で行われる。
28日(月曜日)に設けられていた登録ステージで、11頭がエントリーした中、中心視されているのがケンタッキーダービー馬のオーセンティック(牡3、父イントゥミスチフ)である。
2歳11月のデビューからいきなり、G3シャムS(d8F)、G2サンフェリペS(d8.5F)という2つの重賞を含む3連勝を飾り、西海岸を代表するダービー候補となったが、G1サンタアニタダービー(d9F)でオナーエーピーの2着に敗れて連勝がストップ。
続くG1ハスケルS(d9F)は勝つには勝ったのだが、ゴール前でニューヨークトラフィック(牡3、父クロストラフィック)の強襲を受け、これを辛くも鼻差しのいでの優勝だった。全幅の信頼は置きがたいというのが大方のファンのみるところで、9月5日にチャーチルダウンズで行われたG1ケンタッキーダービー(d10F)では、オッズ9.4倍の3番人気での出走となった。
大外の15番枠から出て、じわっとハナに立つと、半マイル=46秒41、6F1分10秒23というなかなかのハイラップを刻みつつ馬群を先導。直線に向くと、G1ベルモントS(d9F)、G1トラヴァーズS(d10F)を勝っての参戦だった1番人気(1.7倍)のティズザロウ(牡3、父コンスティテューション)が末脚を伸ばしてきたが、最後の2Fを25秒59で上がったオーセンティックがティズザロウの追撃を1.1/4馬身退けて優勝。勝ち時計の2分00秒61は、2002年以降で最速という優秀なものだった。
前走後は早くからここに目標を絞り、順調に調整を消化。ティズザロウがここは回避を決めたため、当日はこの馬が被った1番人気になることが予想されている。
これを追うのは、ケンタッキーダービーに出ることが出来なかった2頭だ。
1頭は、レース当該週の月曜日朝の調教で交突を起こして蹄を傷め、出走を回避したアートコレクター(牡3、父バーナーディニ)だ。
キーンランドのG2ブルーグラスS(d9F)、エリスパークのLRエリスパークダービー(d9F)を含めて、今年に入って4戦無敗の成績で来ている馬で、出走していればケンタッキーダービーは2番人気が予想されていた。
幸いにも蹄の怪我は軽傷で、26日にはチャーチルダウンズで4F=48秒0の時計を出している。
ケンタッキーダービーのパドックで暴れて転倒し、発走15分前に出走取り消しとなったのがサウザンドワーズ(牡3、父パイオニアオヴザナイル)だ。
G2ロスアラミトスフューチュリティ(d8.5F)、G3ロバート・B・ルイスS(d8.5F)と、西海岸で2重賞を制している馬で、8月1日にデルマーで行われたケンタッキーダービーへ向けた西海岸の最終便LRシェアードビリーフS(d8.5F)を勝っての参戦予定だった。
こちらもその後はすぐにここへ目標を切り替え、26日にチャーチルダウンズで5F=60秒8の追い切りを行っている。
今年のプリークネスSに彩りを添えるのが、スイススカイダイヴァー(牝3、父デアデヴィル)だ。
今季3戦目となったG2ガルフストリームパークオークス(d8.5F)で重賞初制覇を飾ると、オークローンパークのG3ファンタジーS(d8.5F)、サンタアニタのG2サンタアニタオークス(d8.5F)を制し重賞3連勝。
牡馬にぶつけたキーンランドのG2ブルーグラスS(d9F)はアートコレクターの2着に敗れたが、牝馬相手に戻ったサラトガのG1アラバマS(d10F)を快勝。前走G1ケンタッキーオークス(d9F)は、シーデアズザデヴィル(牝3、父デアデヴィル)の大駆けにあい、2着に敗れている。
今年の3歳牝馬世代では間違いなくトップクラスの力量の持ち主で、2度目の牡馬挑戦でどこまでやれるか、非常に興味深い。
日本時間の日曜日朝6時36分発走のプリークネスSに、ぜひご注目いただきたい。