1400mや1600mでも良績のある馬のほうが魅力は大きい

　この秋の中山の芝は最初から全体に時計を要し、1200m(計9R)の先週までの最高タイムは古馬3勝クラスの1分08秒5だった。ただ、土曜の朝に発表されたクッション値は10.8。中京より1.4高く「やや硬め」を示している。好天続きと、GI週らしい入念な調整で、先週ほどはタフな芝ではない可能性がある。

　芝コンディションの見きわめは重要。たとえば得意の中山1200mで、昨春のオーシャンSを「前半32秒3-34秒8」＝1分07秒1で快勝し、スプリンターズSは「32秒8-34秒4」＝1分07秒2で粘ったモズスーパーフレアの高速スピードがフルに生きる芝なのか。あるいは、飛ばしすぎるタイプは後半に響く危険のある芝なのか。土曜日10Rの勝浦特別1200m、11Rの秋風S1600mで確認したい。

　土曜の2歳未勝利戦2000mを見た段階では、先週よりだいぶ走りやすく(芝が整えられて)、ここまでの7日間より時計は速い印象がある。この中間は、速くても1分08秒0を切るかどうかではないかと推測していたが、昨年の1分07秒1よりは遅い決着でも、1分07秒台後半は可能と思える。

　モズスーパーフレアは前半32秒台中盤で飛ばしてもバテないが、これを追走の厳しいペースの結果は、総合スピードで上回る馬の浮上がある。1200mこそがベストというより、1400mや1600mでも良績のある馬のほうが魅力は大きい。

　人気馬では安田記念快勝のグランアレグリア。伏兵ではレッドアンシェル、穴馬ではメイショウグロッケがこれに該当するが、もっとも注目したいのはダイアトニック(父ロードカナロア)。全7勝中の6勝をGIIスワンS1着など1400～1600mで記録している。降着のあった高松宮記念のハナ・アタマ差同タイムの3着は、グランアレグリアとともに、この馬も初の1200m挑戦だった。

　前半置かれたグランアレグリアの末脚が印象的だったが、ゴール前100m、鞍上が立ち上がる最も大きな不利を受けたのがダイアトニック。立て直して0秒0差に伸びた内容を振り返ると、高松宮記念1200mではもっとも中身があったのではないか。それを証明するように、函館スプリントSは58キロを背負い、良馬場で1分07分5「33秒6-33秒9」で快勝。平坦コースとはいえ最後の1ハロン11秒8には余力があった。

　重馬場の前走は凡走だが、祖母エアレジェーロ(97年夏、初出走で福島芝1200mを3歳上のレコードで快勝)、半兄レオプライム(12年の京王杯SC2着)、母といとこのローマンエンパイア(02年京成杯1着)など、この一族は良馬場でこそ快走するタイプが多い。

　総合スピードで上回るグランアレグリア、先週までより芝コンディション良化が有利なモズスーパーフレアが相手本線。次いでレッドアンシェル、ダノンスマッシュ、ミスターメロディ。もし当日タイムがかかるようなら穴馬メイショウグロッケも買いたい。