デアリングタクトが軸でも儲けることができる!?
―――卍さんと言えば「ウマい馬券」でもお馴染みですが、ユーザーの方々からも「卍さんの投資競馬の考え方をもっと知りたい」という声が多く届いていますので、この度、週一コラムがスタートすることになりました。これから毎週水曜日、よろしくお願いします。
「よろしくお願いします」
―――まずは卍さんのことをご存じない方もいるかもしれないので、外れ馬券裁判の概要を載せておきましょう。
《大阪の馬券課税裁判の概要》
大阪市の元会社員(卍氏)が2007〜2009年の3年間、インターネットで28億7000万円の馬券を購入し、払戻金30億1000万円を得た。税務調査に入った大阪国税局はこれに対し6億4000万円の所得税を課し、検察は払戻金を申告せず5億7000万円を脱税したとして起訴した(所得税約6億8000万円、無申告加算税約1億3000万円、地方税約1億7000万円、延滞税も合わせると10億円以上もの税金を支払うことが求められた)。
2013年5月23日の大阪地裁判決では所得税法違反は認め、懲役2月・執行猶予2年を言い渡したが、脱税額については「利益は外れたレースも含めて継続的に馬券を購入してきた結果によるもので、当たった馬券の購入代だけでなく、外れ馬券の代金も必要経費になる」という卍氏側の主張を認め、5200万円に減額した。
これを不服とした大阪地検は控訴し、本件は最高裁まで争われたが、2015年3月10日の最高裁判決でも「外れ馬券は経費」と認定された。ただし、この判断は「長期間にわたり 網羅的な購入をして多額の利益を恒常的にあげ 外れも含む一連の馬券の購入が経済活動と言える場合」に限られるため、一般的な購入方法には当てはまらない。
―――改めて読んでも理不尽ですよね。1億数千万の儲けに対して10億円課税されかけたわけですから。でも、この裁判のおかげで、条件付きではありますが外れ馬券が経費として認められるような流れができました。
「その後に行われた他の方の裁判では、自動投票ソフトを利用しなくても経費として認められた例や、購入金額がそれほど多くなくても認められた例もありましたね。それでも一般的な買い方だと認められないので、早くみんなが安心して競馬ができるように法改正してくれることを願っています」
―――卍さんの裁判が世間に衝撃を与えた理由は、その理不尽さだけではなく、「競馬は勝てる」ということを完全証明した点にあったと思います。「やっぱり競馬には必勝法があったのか!」という驚きですよね。なので、このコラムでは、卍さん流の「競馬の勝ち方」を紹介しつつ、その実践例として毎週末の重賞の展望までしていこうと考えています。
「わかりました」
―――コラムのタイトルは「儲かる軸馬」なんですが、まずは「儲かる」とはどういうことなのか?を解説してもらえないでしょうか?
「儲かる馬とは、ひと言で言うと、過小評価されている馬のことです。私も競馬を始めた頃はずっと負けていたんですが、そのときはスピード指数を使って強い馬を探していたんです。でも、そのうちに『競馬は強い馬が必ず勝つとは限らない』と気付き始めて、『競馬で勝つためには過小評価されている馬を買わなければいけない』という結論に達しました」
―――過小評価されている馬を中心に馬券を組み立てれば、当たったときに美味しい配当になるので、自然に回収率が上がっていくということですね。
「はい。たとえば前走着順で言うと、前走2着や前走3着の馬は当たる確率が高いので多くの人が単勝を買いたくなります。でも、たくさん買われるぶん回収率は低くなります。一方で、馬券に絡んでないけど大きく負けていない前走4-9着あたりの馬の回収率は高くなります。この傾向は2走前着順、3走前着順でも同じなんです」
―――人の心理として、近走で好走歴がある馬のほうが安心感がありますからね。そういう人の心理を逆手に取ったのが卍指数ということですね。
「はい。このようなファクターを数十個採用しています。つまり、卍指数が高い馬ほど、世間から過小評価されやすい馬ということになります。そして、卍指数が高い馬を組み合わせるとプラスになりやすい買い目ができるわけです」
―――ただ、卍指数は週末にならないと出せないんですよね? これは水曜コラムですよ。
「『妙味度』という独自の評価指標を使おうと思います。騎手、種牡馬、厩舎がどれだけ過小評価されているかを判定したものです。○○騎手は巧い、△△産駒は強い、□□厩舎は優秀…、競馬ファンならこのようなイメージを持っていると思うんですけど、もしそのイメージが違っていたら損しますよね。逆に、自分だけがその実力を知っていれば儲けられます」
―――株式投資の「銘柄選び」みたいなもので、競馬でも儲かる騎手、種牡馬、厩舎を他の馬券購入者よりも先に知っていれば、回収率が向上するわけですね。
「そうです。ここでは計21項目の妙味度の平均=『総合妙味度』で『儲かる軸馬』を決めたいと思っています」
―――なるほど。ただ…、過小評価されている馬を探すのが有効だというのはわかるんですが、人気薄を長期的に買い続けて当たったときにプラスにもっていくみたいなやり方だと、精神的にキツいんですよね…。競馬は当たらないとツマらないですから。なので、僕のワガママを聞いてもらっていいですか?
「なんでしょうか?」
―――1-5番人気くらいの上位人気の中から「儲かる軸馬」を教えてくれないでしょうか? 競馬って、93%のレースで1-3番人気のうちどれかが馬券に絡んで、98%のレースで1-5番人気のうちどれかが絡むんですよ。つまり、無理に人気薄から軸を選ばなくても、上位人気の中から軸に相応しい馬を選ぶことさえできれば、簡単に儲かってしまうじゃないですか!
「まぁ、期待値の高い人気馬を軸に選ぶことができるのであれば、理に適っていますね」
―――ですよね! 軸選びさえ間違えなければ、あとはなんとかなる!(笑)
「わかりました。それでいきましょう」
―――ありがとうございます。今回はほとんど前振りになってしまいましたが、最後に本題、秋華賞の「儲かる軸馬」を教えてください。