リアアメリアが逆転する可能性は…!?(撮影:下野雄規)
今週はデアリングタクトの無敗の3冠が掛かった秋華賞が行われます。この時期に気になるのは天候ですが、今のところ雨予報は出ていないので、良馬場前提で考えたいと思います。
このレースは過去10年間で1番人気が4回馬券圏内から消えているように、京都の内回り2000mという紛れが起きやすい舞台ですが、今年はどうなるのでしょうか。先週の馬場なども踏まえつつ、馬体を解析して好走しやすい馬を選びたいと思います。
【先週の馬場】
先週の京都芝は道悪での競馬でしたが、メインの頃には大分回復していて、京都大賞典はそこそこのペースで流れたにもかかわらずレースの上がり3Fは35.0秒とマズマズの速さでした。上位に来ている馬もその前から手先の軽い馬が多く、質的には軽くなっていたと言っても良いでしょう。
今週の天候を考えるとクッション値も大分高くなっていることが予想され、馬場状態としてはかなり軽い馬場になっていることが予想されます。先週はほとんど振るわなかったディープインパクト産駒の成績などもグンと上がってくると思います。
また、脚質的には道悪の先週でもフラットと言って良い状態。外からの差しも決め手があれば決まっていましたし、逃げ粘りもありました。この辺りを踏まえながら各馬の馬体やレースを考察していきましょう。
【馬体考察】
ウインマイティー ゴールドシップ産駒らしい直飛節気味で柔軟なツナギ。トモの容量がそこそこある体型。ただ、春に比べるとまだ良化途上という感じで少し張りが欲しい印象。馬場を考えると手先にももう少し軽さが欲しいところ。
ウインマリリン四肢が柔軟で適度に軽さもあって時計対応もできる造り。春のオークス以来のレースとなりますが、スッキリできていますし、トモに厚みも出てきました。動ける態勢に仕上がっていますし、コース的に早目に立ち回れるのも強み。ここも好勝負でしょう。
クラヴァシュドール 前走ローズS時は形こそできていたものの、筋肉の張りがイマイチでした。今回はグンと引き締まってトモの張りも格段にアップ。ツナギが深くて柔軟、手先にも軽さがあるので軽い馬場も対応可能。立ち回りの巧さもあるので、今回は良さを出せそうです。
サンクテュエール 春のようなボリューム感はありませんが、四肢に柔軟性が感じられますし、無駄肉がないことを考えればこれくらいが良いでしょう。馬場も合っていそうで、枠や立ち回り一つで上位争いは可能でしょう。
デアリングタクト 春はボテっとしているところがありましたが、休み明けでも引き締まって完璧に仕上がっています。皮膚を薄く見せ、中の筋肉も密度を増してパワーアップ。牡馬顔負けの馬体です。飛節も力強く、極端に硬すぎる馬場でなければ3冠は濃厚でしょう。
パラスアテナ 前回と大幅に変わったところはありませんが、スッキリ仕上がっていますし、四肢の柔軟性も良い感じ。手先の軽さもあって馬場は合いそうです。ルーラーシップ産駒にありがちな硬さもありませんし、パンパンの良馬場なら面白いところがあります。
マジックキャッスル 前走時よりも絞れてスッキリしてきました。ただ、ツナギや脚が短めで胴も詰まり気味なので距離はマイルがベストでしょう。
マルターズディオサ ツナギが深く馬格の割に体高もあるので距離は問題ないでしょう。馬場も合いそうです。春まではキズナ産駒らしい筋肉のボリューム感が目立っていましたが、この秋はスッキリしたシルエットにモデルチェンジ。背中やトモの筋肉に強度がありますし、ここも好勝負に持ち込めそうです。
ミヤマザクラ 腹袋がどっしりして筋肉の付き方も良くなりました。やや余裕はありますが、春よりもパワーアップしています。四肢に柔軟性があって馬場も合いそうで、一絞りあれば通用しても良いでしょう。
ムジカ エピファネイア産駒で体幹が強く見た目よりも走ります。手先が軽く馬場は合いそうですし、筋肉の強度も高くなっています。成長という点で怖い一頭です。
リアアメリア 全身バネという感じの馬体。春に比べて腰から飛節に掛けてしっかりしたことが前走で前に行けた要因でしょう。馬体が研ぎ澄まされてきましたし、使われて気性面で煩いところが出ていなければ上位争いは必至でしょう。
【総括】
デアリングタクトはどちらかというとパワータイプなので極端に軽い馬場だと多少の不安はありますが、そこまで馬場が硬くなければ問題ないでしょう。
前哨戦で復活したリアアメリアは良化が顕著ですし、前走のような競馬ができれば逆転があっても。
そのほかでは内目の枠を引けた時のクラヴァシュドールや、立ち回りの巧さがあって馬場が合いそうなパラスアテナ、去年のシゲルピンクダイヤのような雰囲気があるムジカ辺りが面白そうです。
馬場や当日のデキなども踏まえて、結論はウマい馬券の直前予想で。発走20分前頃に更新いたします。
■プロフィール
古澤秀和(ふるさわひでかず)
2002年に雑誌「競馬王」でデビューしたのを機に、プロ予想家としての活動を開始。中央競馬で全レースのパドック・返し馬を徹底観察。そこから競走馬の能力、適性などに加え脚質も見抜き、馬券を組み立てる。パドック派にありがちな本命予想ではなく、複勝で10倍を超えるような穴馬を見つけるのが得意。
必ず開催競馬場に足を運び、生の馬を徹底観察。繋(つなぎ)や蹄、体型、骨量、筋肉の量・質、関節の柔軟性や、脚元、馬具などのデータを採取。それを基盤としながら、血統やレースリプレイ、過去データ分析などのファクターを絡めて予想している。
主に各馬の「適性」を見極めることに注力し、「適性外の条件で惨敗」→「適性条件で巻き返し」というパターンに重点を置いた予想を展開。これにより、複勝10倍を超えるような穴馬も高頻度でピックアップしている。