流れと位置取りしだいで逆転が望める
1996年に創設され今年が25回目になる秋華賞。牝馬3冠制覇のかかった春の2冠馬はこれまで5頭が出走し、【4-0-1-0】。男馬の菊花賞のように未知の距離ではない。デアリングタクト(父エピファネイア)が史上初の無敗の3冠牝馬に輝く可能性は高い。父は2013年秋の菊花賞を1番人気で5馬身差の独走を決めている。
ビッグレース快走の牝馬は流行血脈の最先端に立ち、時の流れを伝えるとされる。父エピファネイアは、母シーザリオ、その父スペシャルウィークを通して大種牡馬サンデーサイレンスの血を受け、現在、初年度産駒(3歳)の賞金獲得額上位30頭のうち、実に23頭(77%)がサンデーサイレンスの血量「4×3」のクロスを持ち、デアリングタクトも、ムジカもピタリこの配合。
現2歳馬は上位20頭中、18頭(90%)までが「4×3」になる。netkeibaでは、種牡馬エピファネイアの「産駒成績→産駒一覧」で確認できる。
種牡馬ラインが主流父系だけに集中する近年、こういう現象は世界中で珍しくなく、ニックス(和合性)とか、インブリード(近親交配)を超えたさまざまな成功パターンの成立が知られる。
日本では消滅の危機もある芦毛のグレイソヴリン系種牡馬は、輸入種牡馬フォルティノ(1959)→Caroカロ(1967)を経たスノードラゴン。輸入種牡馬ゼダーン(1963)を経由した系統でジャングルポケット(後継種牡馬2頭)ががんばっているくらいだが、北米(代表格はアンクルモー、ナイクィスト父子)、フランス(kenmareケンマール系が中心)ではまだ健在。活力を保っている。
カロを母の父に持つ Unbridled's Songアンブライドルズソング(USA)か、その直系種牡馬を父にもつ牝馬は、サンデーサイレンス直仔との配合で(その数はけっして多くはないのに)、注目の逸材を多く送っている。
6戦6勝で次週の菊花賞を目ざすコントレイル、2019年ジャパンCのスワーヴリチャード、2014年菊花賞のトーホウジャッカル、2014年朝日杯FSのダノンプラチナ…などがこの配合形になる。総じてここ一番の大レースで全能力を発揮する特徴がある。
打倒デアリングタクトを狙う復活著しいリアアメリア(父ディープインパクト)もこの配合形になり、母の父がアンブライドルズソングの直仔。
2歳後半から桜花賞まではリズムを崩していたが、復活の兆しを見せたオークスはデアリングタクトから0秒3差の4着。鋭さでは見劣ったが、外を回って上がり33秒7。最後まで力強く伸びていた。前回よりさらに前進が期待できるこの馬を中心にしたい。流れ、位置取りしだいでは逆転が望める。
ローズSに注目するとき浮上するのは、同じ中京2000mをローズSと互角の2分00秒0で4馬身差の独走を決めているソフトフルート(父ディープインパクト)。スローの流れを前半は控え、最内を衝いたこともあるが、後半1000nは推定57秒2だった。
初の強敵相手だが、この上がり馬を3番手にピックアップ。サンライズペガサス(2000mの大阪杯2勝)などで知られる一族で、祖母ストームソングは米のGI2勝馬。スピード能力あふれるタフな牝系に魅力が大きい。