▲入場が再開された10日の東京競馬場、ターフビジョンにはお客様へのメッセージ (撮影:下野雄規)
コロナ禍で7カ月余り、観客の入場を取りやめていた中央競馬が、10月10日に始まった東京、京都、新潟3場の開催から、限定的に入場を再開した。
入場できるのは、事前に抽選を突破して指定席を予約購入した人に限られ、3場の最大入場可能数が合計わずか2446人。既に収容能力の半数にまで入場枠を広げているプロ野球やサッカーJリーグに比べれば、足元にも及ばない数字だが、1週目は各場で相当数の当選者が権利放棄して入場券を購入しなかった。一方で、馬券の売上は秋競馬を迎えて勢いにさらに加速がついた。競馬の「非接触化」は想像以上に進んでいる。
東京は土曜3割、日曜2割が権利放棄
観客限定入場初日となった10月10日は、台風14号が日本の南岸を通過し、東京と京都が雨に見舞われた。終日、雨に見舞われた東京は、最悪に近いコンディションだった。それでも、午前9時の開門時間には、抽選を突破して指定券を入手した約50人が待機し、開門とともに1人ずつ、入口で検温と手の消毒を済ませて席に向かった。指定席を取った状態で、都合の良い時間に競馬場を訪ねれば良い状況。熱心なファンの存在を再確認した。
半面、せっかく手にした権利を行使しなかった人も相当数に上った。10、11日の東京の場合、販売対象となった指定席数は、車椅子席(12)を除いて1035。一方、指定席予約サイトを通じて申し込んだ人は、10日が5864、毎日王冠当日の11日が8541件で、競争率はそれぞれ5.7倍と8.3倍の狭き門だった。
ところが、抽選を突破して実際に指定席を購入したのは10日が723件、11日が837件で、購入率は69.9%と80.9%だった。同時開催の京都も、10日の購入率は71%で、11日が78.5%だから似たような傾向だった。京都の場合、申し込み段階での競争率は10日3.6倍、11日は5.4倍。東京よりやや低いが、高い競争率を突破しながら、相当数の権利放棄が出た。