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【松岡正海騎手(2)】ウインブライトは自身の集大成「“最後”まで責任を果たしたい」

  • 2020年10月27日(火) 18時02分
今週のface

▲「ウインブライトは僕らしい馬」パートナーへの思いを語る (撮影:高橋正和)


男気あふれる松岡正海騎手が、8カ月ぶりにターフへと戻ってきました。2月8日の東京6Rで落馬し、左大腿骨骨折で長期休養。復帰への道のりは険しく、万全とは言えないなかでも、「ウインブライトには僕しかいない」と、このタイミングでの復帰を決断しました。

「漫画に出てくるようなコンビっていいなと思いません?」と松岡騎手。いまやウインブライトは、そんな唯一無二の存在に。天皇賞・秋から、その先の夢へ――。松岡騎手の秘めたる思いに迫ります。

(取材・文=不破由妃子)

※このインタビューは電話取材で行いました。

寸分の狂いもなく調整してきた自負


──松岡騎手と時を同じくして、ウインブライトも中山記念(7着)を最後に蟻洞(ぎどう)により休養。天皇賞・秋で復帰となるわけですが、中間はずっと村田一誠騎手が騎乗されていました。状態についてはどのように聞いていましたか?

松岡 休み明けとしてはいいと思うと聞いていました。僕は明後日(10月22日)から乗るんですけど、とにかくあの馬は調整が大事。そこはずっとこだわってきたところです。

 なんとか強い馬を負かしたいと思ったとき、競馬の上手さを生かすことと、中間の調整パターンだけは譲れなかった。ステイゴールドの産駒で、瞬発力では勝負できない。じゃあ、どうしたら瞬発力に優れた馬たちに勝てるのか。ずっと考えながら、ここまできましたからね。

──松岡さんが描く譲れない調整パターンがあるんですね。

松岡 はい。状態をつかむことはもちろんですが、自分の頭のなかにいくつか調整パターンを用意していまして。牧場から帰ってきたときの仕上がりに合わせて、3週前からの追い切りメニューを自分の頭のなかで描いて、そこから畠山先生と相談します。

 香港も含め、これまで勝ってきたレースでは、寸分の狂いもなく持っていくことができた自負はありますね。

今週のface

▲昨年暮れの香港C優勝時、春に続き香港のG1・2勝目 (撮影:高橋正和)


──生き物を相手に「寸分の狂いもなく」とは驚きです。それだけウインブライトを知り尽くしている証ですね。そこまでの濃密な仕事ができるというのは、やはりジョッキーとして最大のモチベーションですか?

松岡 そうですね。そういう仕事がしたいとずっと思ってきました。漫画に出てくるようなコンビっていいなと思いません? それこそ『ありゃ馬こりゃ馬』の氷室翔とシンケンのような。自分にもシンケンのような1頭がいたらいいなとずっと思っていたんです。

 たとえば武豊さんであれば、そういう馬がいっぱいいるんでしょうけど、僕は豊さんのように馬に対してスマートには生きられない。そういう意味でも、ウインブライトは僕らしい馬なんじゃないですかね。走るときは走るし、走らないときは全然走らないみたいな。

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