先週の血統ピックアップ
・11/22 マイルCS(GI・阪神・芝1600m)
好位から伸びたグランアレグリアが通算4つめのGIタイトルを獲得しました。直線で前が壁になって追い出しを待たされたものの、進路が開くと一気に伸び、他馬を問題にしませんでした。2014年のドバイシーマクラシックの直線で、同じディープインパクト産駒のジェンティルドンナが、目の前に立ちはだかる壁をかわすために進路をスイッチし、一瞬のうちにトップスピードに乗って差し切ったレースを思い出しました。長くリーディングサイアーの座にある父ディープインパクトの、これが最大の長所です。
過去、最も多くのGIを勝ったディープインパクト産駒の牝馬はジェンティルドンナで、国内外で計7勝。グランアレグリアは現在4勝なので、このまま来年も現役生活を続ければ抜く可能性があります。もちろん、抜けなかったとしても歴史に残る名牝であるのは間違いなく、母タピッツフライが遺した唯一の牝馬なので、無事繁殖入りしてほしいものです。
・11/23 東京スポーツ杯2歳S(GIII・東京・芝1800m)
好位を追走したダノンザキッドが直線で豪快に抜け出し、1番人気に応えました。中盤にペースが緩んだため勝ちタイム1分47秒5は平凡で、土曜日の3R2歳未勝利戦(勝ち馬カナリキケン/1分47秒1)よりも遅かったのですが、その分、上がり3ハロンは33秒5と速く、文句のつけようのない完勝でした。前走比24kg増の馬体重で大きく成長していたのも好感が持てます。父ジャスタウェイの3年目の産駒で、通算5頭目の重賞勝ち馬となります。
これまで芝中距離のGIで最も優れた実績を残した産駒は重賞未勝利のヴェロックス(皐月賞2着、日本ダービー3着、菊花賞3着)。ダノンザキッドはそれに劣らぬ非凡な資質を感じさせます。ジャスタウェイ産駒は完成が遅めで、ダノンザキッドは母の父がダンシリ(ハービンジャーの父)ですから伸びしろは大きいでしょう。それでいて現時点でこれだけのパフォーマンスを披露するのですから来年が楽しみです。
今週の血統注目馬は?
・11/29 立雲峡S(3勝クラス・阪神・芝1600m)
登録馬の父のなかで阪神芝1600mに強い種牡馬はディープインパクト。連対率26.0%は、2010年以降、当コースで産駒が20走以上した74頭の種牡馬のなかでトップ。このレースには産駒のレースガーデンが登録しています。
ディープ産駒にしては切れるタイプではなく、洋芝が得意なタイプですが、グリュイエールやアイスバブルの全妹ですから時計の速い決着にも対応できる能力を秘めているはずです。今回は順番でしょう。
今週の血統Tips
世紀の一戦――。その言葉にふさわしい大一番がいよいよ間近に迫ってきました。netkeiba.comの予想オッズは、1番人気アーモンドアイ(2.2倍)、2番人気コントレイル(2.8倍)、3番人気デアリングタクト(3.1倍)と、上位3頭が抜けており、4番人気カレンブーケドール(20.1倍)以下は大きな差があります。
ただ、過去の歴史を振り返ると、「3強対決」と銘打たれたビッグレースでその3頭がワン・ツー・スリーを決めた例は記憶にありません。1986年以降、1〜3番人気の単勝オッズがそれぞれ4倍未満で、4番人気が15倍以上のGIレースは3つあります。
このように必ず伏兵が割って入り、上位人気3頭では決まっていません。07年秋華賞を除き、97年宝塚記念と16年皐月賞は上位3頭をすべて同じ種牡馬の仔が占めています。前者はサンデーサイレンス、後者はディープインパクト。オカルトめいていますが、もし今年、上位3頭を同じ種牡馬の仔が独占するとすれば、産駒が3頭以上出走しているディープインパクトしかありえません。コントレイル、カレンブーケドール、グローリーヴェイズ、マカヒキ、ラヴズオンリーユー、ワールドプレミア。人気のコントレイル以外に馬券圏内に食い込む伏兵はこのあたりから出そうな気がします。