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日本と同じく牝馬上位の欧州ハードル戦線

  • 2020年12月02日(水) 12時00分

欧州に君臨する2頭のハードル女王


 この秋の日本は、GIスプリンターズS(芝1200m)とGIマイルCS(芝1600m)をグランアレグリア(牝4、父ディープインパクト)が、GI天皇賞・秋(芝2000m)とGIジャパンC(芝2400m)をアーモンドアイ(牝5、父ロードカナロア)が制覇。彼女たち以外にも、春のGI大阪杯(芝2000m)を制したラッキーライラック(牝5、父オルフェーヴル)、GI宝塚記念(芝2200m)を制したクロノジェネシス(牝4、父バゴ)ら、牡牝混合のGIを手中にしている牝馬が目白押しで、まさに牝馬上位の時代を迎えている。

 これとまったく同様の事象が起きたのが、本格的な障害シーズンの到来を迎えているヨーロッパで、先週末に行なわれたG1競走だった。

 まず、28日(土曜日)に英国のニューキャッスルで行われたのが、ハードル2マイル路線のG1ファイティングフィフスハードル(芝16F46y=約3261m)だ。

 ここで、オッズ1.73倍の1番人気に推されていたのがエパタン(牝6、父ノーリスクアットオール)である。

 仏国産馬で、祖国でナショナルハントフラットを3戦して2勝を挙げた後、18/19年シーズンを前にして障害界の大馬主であるJ.P.マクマナス氏が購買。同時に、英国の伯楽ニッキー・ヘンダーソン調教師の管理下に入ったのがエパタンだ。ハードル転身初年度となった18/19年シーズンは3戦し、ケンプトンとエクセターのノーヴィスハードルで勝利を収めた一方、チェルトナムフェスティヴァルのG2ドーンラン・メアズノーヴィスハードル(芝16F179y)では1番人気を裏切り9着に大敗している。

 本格化したのは19/20年シーズンで、ケンプトンのG1クリスマスハードル(芝16F)、チェルトナムのG1チャンピオンハードル(芝16F87y)という2つのG1を含む、無敗の3連勝をマークした。20/21シーズンの初戦となったのがG1ファイティングフィフスハードルで、ここも、前走ウインカントンのG2エリートハードル(芝15F65y)を制し5度目の重賞制覇を果たしての参戦だったソーロイヤル(セン8、父ドクターディーノ)に4.1/4馬身差をつける快勝で、3度目のG1制覇を果たしている。エパタンの次走は、自身の連覇がかかる、12月26日にケンプトンで行われるG1クリスマスハードルの予定だ。

 続いて、29日(日曜日)に愛国のフェアリーハウスで行われたのが、ハードル2.5マイル路線のG1ハットンズグレイスハードル(芝20F=約4023m)だ。ここで、オッズ1.36倍という、エパタンを更に上回る支持を集めて1番人気に推されていたのがハニーサックル(牝6、父スラマニ)である。英国産馬で、ポイントトゥポイント競走で1戦1勝の成績を残した後、パンチェスタウン障害馬セールに上場され、11万ユーロ(当時のレートで約1482万円)で購買されて、愛国のヘンリー・ド・ブロヘッド厩舎に入厩した。

 ハードルデビューした18/19年シーズンは4戦し、フェアリーハウスのG1メアズノーヴィスハードルCSファイナル(芝20F)を含む4連勝。続く19/20年も4戦し、フェアリーハウスのG1ハットンズグレイスハードル、レパーズタウンのG1愛チャンピオンズハードル(芝16F)、チェルトナムフェスティヴァルのG1メアズハードル(芝19F200y)という、3つのG1を含む4連勝を飾っている。ハニーサックルの今季初戦となったのが、自身の連覇をかけて出走した29日のG1ハットンズグレイスハードルだった。道中2番手追走から、10号障害飛越後に先頭に立った同馬に対し、最終障害飛越後に昨季のG1ステイヤーズハードル(芝23F213y)2着馬ロナルドパンプ(セン7、父スキャパレリ)が猛然と追い込むも、これを1/2馬身退けてハニーサックルが優勝。このレース連覇を果たすとともに、ハードル転身以来継続している連勝記録を9に伸ばしている。同馬の次走は、ここも自身の連覇がかかる、2月7日にレパーズタウンで行われるG1愛チャンピオンハードル(芝16F)の予定だ。

 エパタンの今季最大の目標は、言うまでもなく、ハードル2マイル路線の最高峰と言われるチェルトナムのG1チャンピオンハードル連覇である。一方、昨年のチェルトナムフェスティヴァルでは牝馬限定のG1メアズハードルに廻ったハニーサックルも、今季はG1チャンピオンハードルに挑む可能性があり、そうなると、ここで女王2頭の直接対決が実現する。

 日本の競馬ファンの皆様も、牝馬上位の欧州ハードル戦線にぜひご注目いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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