1月8日から10日にかけて、我が浦河町のシンザンフェスティバル実行委員会の一員として京都競馬場へ出張してきた。夏に開催されるシンザンフェスティバルで選出されたミスシンザンの2人が、京都で行われるシンザン記念の表彰式に参加するのに同行してのことである。
1月8日の北海道は快晴の朝を迎えた。その分、放射冷却現象により気温はかなり低く、早朝4時半に浦河を出発した我々が午前7時に千歳空港に到着したときの外気温は-16度。寒い…を通り越して「痛い」くらいの朝の冷気を感じながら、駐車場より空港ターミナルへの通路を進んだ。
午前8時に千歳を飛び立ち、9時45分、伊丹空港着。そこからタクシーにて競馬場へと向かった。今年は北海道のみならず、日本列島全体が寒いようで、この日の京都競馬場も、晴れてはいたが気温は低かった。
ミスシンザンの2人は、競馬場入りしてからシンザン記念が終わるまで、なかなか多忙である。2日間でテレビ出演が2回。そしてシンザン記念表彰式のプレゼンターの仕事の他、今回は、競馬場内で日刊スポーツ記者岩田久美さん(当サイトでもおなじみ)の引退式が行われ、その際に岩田さんへの花束贈呈のお手伝いも依頼されたため、席を暖める暇がないほどだった。
今回、京都に出張したミスシンザンは富岡絵美さんと野田佳奈さんの2人。毎年、夏に選出され、主として町内のイベントに借り出されることだけでその年が終わる。そして年明け早々に京都競馬場への出張が最初にして最後の「大仕事」となる。テレビ出演も初めてなら、競馬場のウイナーズサークルで表彰式のプレゼンターを務めるのも初めて。何もかもが初体験のこの仕事を経験して、初めて「ミスシンザンって大変な仕事なんですね」という自覚を持つに至る。ところが、この京都競馬場への出張の後は、もう夏の次期ミスシンザンへの引継ぎまで仕事らしい仕事がない、という皮肉な結末が待っている。「来年もう1回やらせてもらえるならもっと上手にできると思う」とは、表彰式を終えてからのミス2人の感想だが、残念ながら、それはできない相談なのだ。
シンザン記念を勝ったのは、ゴウゴウキリシマ。ブービーの8番人気で、単勝4,350円、馬連も2着に6番人気のグロリアスウィークが入ったため13,800円と荒れた。
ゴウゴウキリシマは父キングヘイロー、母マルシンアモン。鵡川町の貞広賢治氏の生産。2004年のオータムセールにてわずか250万円(税抜き)で落札された馬で、昨年12月のテイエムプリキュア(阪神JF)に続く、低価格馬の重賞制覇となった。

なお、このレースには同じ貞広賢治氏生産のエムエスワールドも出走(5番人気で7着)しており、この馬もまた2004年のオータムセールにて落札された馬だという(こちらは税抜き800万円のステイゴールド産駒)。何たる偶然か、同じ牧場で生まれ、翌年同じ市場で売却され、そして中央デビュー後同じ重賞に出走することなど、中小規模の牧場ではまずほとんどないと言って良い。その意味において、これは1つの「快挙」でもあると思う。
ただ、このレースは、レコード決着という「おまけ」もあり、内容のあるレベルの高いレースだったが、残念ながらやや盛り上がりに欠けた面は否定できない。9頭立てという少頭数のせいか、馬券が前年比30%減の売り上げに止まったのに加え、優勝馬の鞍上が石橋守騎手という地味な存在だったこともあってか、表彰式は至って静かなものであった。
むしろ、今振り返ると、前日の「福寿草特別」にて、フサイチジャンクが優勝し、ウイナーズサークルに関口房朗オーナーとフジテレビの内田恭子アナが姿を見せたときの方が遥かに歓声が上がっていた。
このレースは武豊騎手の通算2700勝というメモリアルとも重なり、関口オーナーのファンサービス(サインに応じる)などもあって、レース後は大変な盛り上がりを見せた。こちらの価格は、セレクトセールで落札された3億3000万円。元々注目度が違うのだろうが、しかし競馬は「やってみなければ分からない」ことを実践したゴウゴウキリシマに今後の活躍を期待したいと思う。
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。
「週刊Gallop」「日経新聞」などで
連載コラムを執筆中。1955年生まれ。