▲大舞台での一発を狙う、池添学調教師の胸の内に迫る (C)netkeiba.com
いよいよ今週末に迫った有馬記念、昨日24日には枠順が確定しました。クロノジェネシスやラッキーライラックなどの牝馬が人気を集めている中、もう一頭注目したいのがサラキアです。
今年の後半は府中牝馬Sで重賞初制覇、エリザベス女王杯ではラッキーライラックにクビ差に迫る2着と、5歳秋にして充実期に。「一発あるんじゃないか」、そう語る池添学調教師の胸の内に迫ります。
(取材・構成=不破由妃子)
5歳秋にして充実期、その要因は?
──前走のエリザベス女王杯では、直線で外から一気に伸びて、勝ったラッキーライラックにクビ差まで迫りました。池添学厩舎にとっても、もっともGIタイトルに迫った瞬間でしたが、直線はどのような心境で見ていましたか?
池添 直線に向いたときに「これは掲示板あるぞ!」と思いましたが、叫ぶこともなく、意外と普通に見ていました。ゴールの瞬間も冷静で(笑)。
──そうでしたか(笑)。それにしても、今年の後半は小倉日経オープン圧勝に始まり、府中牝馬Sでは重賞初制覇、エリザベス女王杯2着と充実ぶりが際立っています。5歳秋にして充実期を迎える牝馬というのも珍しいかと思いますが、好調の要因について思い当たることはありますか?
池添 よく聞かれるんですけど、馬体重が増えたわけでもないですし、取り立てて「ここがよくなった」とか、そういうのは感じないんです。
担当者は「硬さがなくなった」と言っていますが、これまでもしっかりと間隔を空けて、いい状態で使ってきましたからね。僕が思うに、(ここにきての好調は)ジョッキーが上手く乗ってくれていることが大きいのではないかと。
▲重賞初勝利となった府中牝馬S (撮影:下野雄規)
──有馬記念では松山弘平騎手にスイッチしますが、ここ3戦騎乗している北村友一騎手とは、3歳時の2戦も含めて5戦5連対ですものね。
池添 そうですね。長い手綱で馬のリズム重視で乗って、最後は外に出すという競馬が合っているんでしょうね。小倉日経オープンはもともと勝てるだろうなと思っていて、「道中はタメて、大外を回してほしい」とお願いしたんです。
その通りの競馬をしてくれて、思った通りの強さを見せてくれたので、改めてこういう乗り方が合うんだろうなと思いました。府中牝馬Sも、ずっと馬場のいいところを気分よく走らせて、最後はしっかりと伸びてくれましたし。
──ここにきて型が決まってきたというか、やっと本来の強さを見せられたなという感じですか?
池添 はい。だから、成長したのではなく、調教師としてなかなか素質を開花させてあげられなかったということ。ここにきて強さを見せられるようになったことはうれしいですが、その後悔のほうが大きいです。
出世が遅れた要因のひとつが“出遅れ”
──時間が掛かってしまった理由については、どう受け止めていらっしゃいますか?