▲シュリを管理する池江泰寿調教師を直撃!(C)netkeiba.com
「1年の計は金杯にあり!」と言いたくなるくらい、1年の中で最も当てたいレースの一つが金杯。実は厩舎関係者も思いは同じようで「昔は銀杯もあって、さらにパールSも勝ったら『金銀パールで三冠だ』なんて小学生の頃は言っていました」と懐かしそうに笑うのは池江泰寿調教師。2021年の京都金杯にはデビューから8戦すべてで1番人気に推され、現在マイルで連勝中のシュリで挑みます。
(取材・構成:大恵陽子)
春から抱いていた金杯への思い
――明け5歳となるシュリは現在マイルで2連勝中。半兄にセントウルS3着のグレイトチャーターなど活躍馬がいますが、初めて見た時の印象はどうでしたか?
池江泰寿調教師(以下、池江師) 当歳の春に初めて見て、綺麗な馬だなと思いましたね。
――3歳の1月、まさに京都金杯当日の新馬戦(芝1800m)でデビューしました。序盤に前向きな面を見せながらも、しっかり新馬勝ちを収めましたね。
池江師 能力が高いなと思いました。ただ課題としては、おっしゃったように折り合いがちょっと難しいな、と。上手く育てないと難しいなとは感じました。
▲能力の高さと共に今後の課題も見えた新馬戦(C)netkeiba.com
――3戦目の後には7カ月の休養がありましたが、何かあったのでしょうか?
池江師 その時は右トモの筋肉を痛めたんです。何回か使うたびにそこが痛くなって、あんまり使い込めないタイプでした。今はだいぶマシになってきて、そんなに違和感や痛みも生じることはないです。
――8戦のキャリアの中で一番着順を落としたのが5着。2回あって、それぞれ稍重と重馬場という道悪でした。そういった体質と道悪の関係があるのでしょうか?
池江師 トモは推進力なので、そこに少しウィークポイントあると、重馬場などはちょっと厳しいですね。今はだいぶこなせるようになっているかなとは思うんですけど、オリンピック選手みたいなバタフライ走法なのはあんまり良くはないのかなって気はします。
――そういったこともあって、レース間隔を空けながら出走していたんですね。
池江師 大事に大事に、1戦1戦決めながらここまできました。実は今回、初めて2戦連続で予定を立てたんです。いつもはレースを使ってみた後に「どうかな?」と状態を見てから決めていましたが、2走前に中京で勝った時にあんまり右トモも痛くなくて、中京もわりと走るので「来年の京都金杯は中京で行われたらいいな」と思っていました。(※京都競馬場は現在改修工事のため休止中)
レース後に大山ヒルズに戻してひと息入れて、京都金杯の前にどこか1回使おうと思ったらリゲルSがあったので、そこから京都金杯と決めました。中2週と少しの間隔なので不安は不安ですけど、今のところ大丈夫です。
――1月9日に中山でもマイルのリステッド競走がありますが、京都金杯を選ばれたのは中京コースとの相性もあってでしょうか?
池江師 そうですね、中京はいいのでね。中山のマイルはちょっとどうなのかな?って気もします。それと2走前に中京で勝った時(納谷橋S)もそうでしたけど、さらにその前に中京で勝った時(3月・賢島特別)もすごく強かったです。その時はどこで京都金杯が行われるか分からなかったですけど「来年は京都金杯に使いたいな」と思いました。
▲賢島特別(2勝クラス)を勝利し京都金杯が視野に入った(C)netkeiba.com
金杯は出走ボーダーも高い人気レース
――私たち競馬ファンは「1年の計は金杯にあり」とか「金杯で乾杯」とか言いますが、厩舎関係者はどうですか?
池江師 我々もそうですよ。金杯を勝つとその年、縁起がいいですから。前の年の9月くらいから「どの馬を来年の金杯に出そうかな」って考えながらやっています。もちろん「来年はダービー!」というのも思っていますけど、それくらいの位置付けです。
――GIレースではありませんが、特別なレースなんですね。
池江師 だから、出走の賞金ボーダーも高いです。中山金杯は出られないから、