佐藤哲三が選んだ、1番の注目ジョッキーは…(C)netkeiba.com
お正月特別企画! 新たな1年の始まりということで、関係者の方々に2021年の注目ジョッキーをご紹介いただきます。第1回は、元騎手の佐藤哲三さんの注目ジョッキーをお届けします!
(構成=赤見千尋)
丁寧に、馬が走りやすいようエスコートしている
2021年にまず注目しているのは松山弘平君です。2020年は馬券的に大変お世話になりましたし、買っていないレースでも騎乗ぶりで楽しませてもらいました。
以前の松山君は、勝負強さ、勝負勘、というところが付いて来ると、もっと成績が上がるだろうなと思っていたのですが、現在の松山君は、勝負を仕掛けるという部分よりも、すごく効率のいい競馬を見せてくれていると感じます。効率のいい競馬を目指すと何が得かというと、日本の競馬はクラス分けがしっかりしているので、傾向が掴みやすいんですよね。まずはポジションを取って、その時のメンバーや距離でどう組み立てていくかというところが、最近は深く考えなくても自然と出来るようになってきているイメージです。それが昨年の成績に繋がっているのではないかと。
今の松山君は、どのレースもまずポジションを取りにいく。取りにいかないレースというのをあまり見かけないですし、後ろからいくことももちろんありますが、その中でもまず取りにいこうとしていることが伝わるレースが多いです。
ただがむしゃらに取りにいくのではなく、淡々と取りにいっているところもいいんですよね。よくポジションを取った後はそれに満足してか、雑になってしまう騎手もいる中で、そこからも丁寧に騎乗して、馬が走りやすいようエスコートしているように見えます。どの馬の後ろに付けるかではなくて、まずはスタートしてからの最初の部分が上手くいっているので、その後に近くにいる有力馬に合わせてレースが出来ている。僕の印象では、こういうレースが出来ている人は少ないです。
連載しているコラム『哲三の眼』でも話しましたが、デアリングタクトの三冠は松山君だからこそだったと思います。その中で課題も見つかったでしょうし、今後の馬のつくり方、レースの進め方、走らせ方だったり、どういう克服の仕方をしてくるか楽しみです。
「デアリングタクトの三冠は松山君だからこそだったと思います」(C)netkeiba.com
昨年の勢いは今年に繋がってくると思いますが、この先いつかリズムが悪くなることもあると思います。その時昨年経験したことを思い出していけば、リズムアップしやすくなるのではないでしょうか。今後の松山君にとっても、2020年はとても大切な一年だったと思います。
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クリストフ(・ルメール騎手)や