軽ハンデを味方に大金星 少し時計の掛かる馬場なら今後もチャンスあり
先週の血統ピックアップ
・1/17 日経新春杯(GII・中京・芝2200m)
3番手を追走したショウリュウイクゾが残り300mで先頭に立ち、ミスマンマミーアの追い込みを抑えて快勝しました。前走は3勝クラスで8着。今回は格上挑戦のため7番人気でしたが、53kgの軽ハンデを味方につけて大金星を挙げました。スピードの持続力が問われる展開も合っていたと思います。
母ショウリュウムーンは朝日チャレンジCなど3つの重賞を制覇した名牝。繁殖成績も優秀で、本馬の半妹ショウリュウハル(父ジャスタウェイ)は現在7戦3勝、半弟ショウリュウレーヴ(父ミッキーアイル)は2戦1勝です。父オルフェーヴルは昨年の11月以降、重賞を6勝と波に乗っています。
2020年の種牡馬ランキングはディープインパクト、ロードカナロア、ハーツクライに次ぐ第4位。産駒がデビューした2017年の種付け料は600万円でしたが、翌年から100万円ずつ下落していき、2020年は300万円でした。種牡馬ランキングは年々上昇し、種付け料はどんどん下がっています(2021年は50万円アップの350万円)。
今回の馬体重は512kgと、オルフェーヴル産駒にしては大柄で、これは強みといっていいでしょう。少し時計の掛かる馬場になれば今後もチャンスがあるでしょう。
・1/17 京成杯(GIII・中山・芝2000m)
逃げ馬の真後ろを追走したグラティアスが4コーナーで内をすくって先頭に立ち、後続の追撃を抑えて1番人気に応えました。新馬戦-京成杯の連勝は19年のラストドラフト、20年のクリスタルブラックに次いで3年連続です。
スタートから3ハロン目に14秒0というラップを刻むなど、前半1000mが63秒7という超スローペース。そのため勝ち時計は2分03秒1と掛かりました。ちなみに、同距離で行われた前日の3歳未勝利戦は2分01秒9です。前に付けた馬が圧倒的に有利だったので、グラティアスにとって恵まれた競馬であったことは間違いありません。
父ハーツクライはリスグラシュー、ジャスタウェイ、スワーヴリチャード、シュヴァルグラン、サリオスなどの父。サンデーサイレンス系のなかではスタミナに恵まれたタイプです。
母マラコスタムブラダは南米アルゼンチンでG1ヒルベルトレレナ大賞(芝2200m)を4馬身差で圧勝した名牝で、繁殖牝馬としてはグラティアスのほかに2歳牝馬チャンピオンのレシステンシア(阪神JF)を出しています。
2019年のセレクトセール1歳で2億3000万円(税抜)の値がついた超高馬ですが、このときはまだレシステンシアのデビュー前だったので、単純に馬のデキが良かったことが高値となった大きな理由です。今回は流れが向いたので、次走で真価を問われることになりそうです。
今週の血統注目馬は?
・1/23 賢島特別(2勝クラス・中京・芝1400m)
登録馬の父のなかで中京芝1400mに強い種牡馬はダノンシャンティ。連対率30.0%は、2012年以降、当コースで産駒が20走以上した67頭の種牡馬のなかで第1位。当レースにはダノンハイパワーが登録しています。
2年近く勝ち星がない馬ですが、ここ3戦は6、6、4着と、一時の不振からは脱した印象。外差しの馬場になれば馬券圏内に食い込んでもおかしくありません。
今週の血統Tips
社台スタリオンステーションに繋養されていたクロフネが1月17日に死亡しました。23歳。現役時代に芝で8戦したあとダートに鞍替えし、武蔵野SとジャパンCダートを日本レコードで圧勝。この2戦のパフォーマンスにより“歴代最強のダート馬”と評価する声がいまだに支配的です。
アメリカ生まれの外国産馬で、カレンチャン、アエロリット、ホエールキャプチャ、ソダシ、フサイチリシャールなど多くの名馬を出して成功しました。2011年には総合種牡馬ランキングで自己最高の2位となっています。母の父としても2019、2020年に3位となっており、こちらも非凡な成績です。
産駒を収得賞金順に並べると、上位7頭中6頭が牝馬。父系を発展させる力は乏しいものの、芝・ダート兼用の異系血統は母方に入って素晴らしい働きをしており、いまや日本生産界に無くてはならない血となっています。
性格的には落ち着いており、どっしりとした安定感がありました。牝馬が走った理由はいくつか考えられますが、そのひとつは、おおらかな気性を伝えたことでしょう。テンションが上がって制御が難しい馬が少なかったことは、牝馬が走る上で確実にプラスだったと思います。
昨年トップクラスで活躍した馬に限っても、父としてはソダシを、母の父としてはノームコア&クロノジェネシス姉妹やレイパパレを、2代母の父としてはメイケイエールを出しています。18年を最後に種付けを取りやめており、昨年夏に種牡馬引退が発表され、それ以降は功労馬として過ごしていました。合掌。