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欧州の2歳格付けランキングでセントマークスバシリカが首位に立つ

  • 2021年02月03日(水) 12時00分

シーズンオフを通じて、どの馬が成長を見せるか注目したい


 ワールド・サラブレッド・ランキングの発表から1日遅れて、2020年のヨーロピアン・クラシフィケーション・2歳馬部門が1月27日に発表され、セントマークスバシリカ(牡3、父シユーニ)が、レイティング120で首位に立ったことが明らかになった。

 G1フューチュリティトロフィー(芝8F)やG1英二千ギニー(芝8F)を制したマグナグリーシアの半弟で、タタソールズ・オクトーバーセールにて130万ギニー、当時のレートで約1億8410万円という高値で購買されたのがセントマークスバシリカだ。

 A・オブライエン厩舎から2歳7月にデビュー。初勝利を挙げるのに3戦を要したが、9月13日にカラで行われた愛国における2歳王者決定戦的位置付けにあたるG1ヴィンセントオブライエンナショナルS(芝7F)で3着に入ると、10月10日にニューマーケットで行われた英国における2歳王者決定戦的位置付けにあるG1デューハーストS(芝7F)を制している。

 ただし、2019年にはG1ヴィンセントオブライエンナショナルSを9馬身差で制したピナトゥボに128が与えられ、2018年にはG1デューハーストSを2.3/4馬身差で制したトゥーダーンホットに126が与えられたのに比べると、2歳首位のレイティング120というのは、かなり辛口の評価だ。

 近年だと、2014年に首位だったベラードが119、2011年に横並びで首位だったキャメロットとダビルシムが119だったが、1978年にスタートしたヨーロピアン・クラシフィケーションで、2歳首位のレーティングが120に届かなかったのはこの2年しかなく、すなわち、セントマークスバシリカの120は、1993年のグランドロッジと横並びで、ワースト第3位タイの数字となるのだ。

 レーティング110以上を獲得して、ランク入りした2歳馬の数は44頭で、40頭だった前年より4頭増加。2018年がやはり44頭だったから、2歳世代全体の層の厚さはそこそこあるのだが、トップクラスの水準は今一つで、どんぐりの背比べ状態というのが、公式ハンディキャッパーの見解のようだ。

 2ポンド下のレイティング118を与えられ、第2位となったのは、スプレマシー(牡3、父メーマス)と、ウェンブリー(牡3、父ガリレオ)の2頭だった。

 2020年の英国における、2歳リーディングサイヤーにしてファーストクロップチャンピオンとなったメーマスの初年度産駒で、香港のG1チャンピオンズマイル(芝1600m)を2年連続制覇したエクステンションの甥にあたるスプレマシーは昨年、6F戦ばかり4戦。2戦目となったウィンザーのメイドン(芝6F12y)で初勝利を挙げると、続くグッドウッドのG2リッチモンドS(芝6F)を4馬身差で制し重賞初制覇。さらにニューマーケットのG1ミドルパークS(芝6F)を制し、3連勝でG1制覇を飾っている。距離適性から、今年はクラシックではなく、ロイヤルアスコットのG1コモンウェルスC(芝6F)が当面の目標になりそうだ。

 ウェンブリーは、クールモアの自家生産馬で、G1クリテリウムアンテルナシオナル(芝1400m)勝ち馬ヨハネスフェルメールの全弟にあたる。2歳時は6戦を消化。初勝利をあげるのに4戦を要したが、その後、G1ヴィンセントオブライエンナショナルSが2着、G1デューハーストSも2着と、トップクラスで好戦を続けた。牝馬では、カンパネッレ(牝3、父コディアック)、プリティゴージャス(牝3、父ロウマン)、シェール(牝3、父ガリレオ)の3頭が、レイティング113で横並びの首位となった。

 米国東海岸を拠点とするウェスリー・ウォードが管理するのがカンパネッレで、地元ガルフストリームパークのメイドン(芝5F)でデビュー勝ちを飾ると、英国に遠征してロイヤルアスコットのG2クイーンメアリーS(芝5F)に優勝。さらに仏国のG1モルニー賞(芝1200m)も制した後、2歳最終戦となったG1BCジュベナイルフィリーズターフ(芝8F)は4着だった。

 G1コロネーションS(芝7F213y)などマイル路線のG1を2勝したケマーの従姉妹で、タタソールズ・オクトーバーセールにて52万5千ギニーで購買されたのがプリティゴージャスだ。ジョセフ・オブライエン厩舎からデビューし、愛国における2歳牝馬女王決定戦的位置付けにあたるカラのG1モイグレアスタッドS(芝7F)で2着になった後、英国ニューマーケットのG1フィリーズマイル(芝8F)を制している。クールモアの自家生産馬で、母がG1英千ギニー勝ち馬ホームカミングクイーンという良血馬がシェールで、管理するのはドナカ・オブライエンだ。2歳時は6戦し、G1モイグレアスタッドSを含む2重賞を制している。

 シーズンオフを通じて、どの馬がどれだけの成長を見せるか。英国における芝の平地競馬は、3月27日のドンカスター開催で幕を開ける予定だ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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