▲地方競馬の女性騎手をフィーチャーしたサイトLADIES JOCKEYSがオープン!(提供:地方競馬全国協会)
今月、地方競馬の女性ジョッキーをフィーチャーしたサイト「LADIES JOCKEYS」がオープンしました。地方在籍の彼女たちについて、オン・オフ両面から迫るというもの。来月にはJRAから2名の女性ジョッキーが、4月には地方競馬からも2名の女性ジョッキーがデビュー予定とあって、ますます注目を集める「女性ジョッキー」の存在について「ちょっと馬ニアックな世界」を覗いてみましょう。
心強い“師匠の奥様”の存在
女性ジョッキー特設サイト「LADIES JOCKEYS」では競馬への思いなどを語った動画やインタビュー、地元のおすすめグルメの紹介、素朴な10の質問など豊富なコンテンツが揃っています。私も毎週金曜日、「Yoko’s Weekly Report」というコラムを書かせていただいているのですが、いろんなコンテンツが毎週のように更新されていて、ページを開くたびにワクワクします。
すでに公開されている動画で宮下瞳騎手(愛知)は「この世界は2着ではダメなので、勝たないと意味がないので。『女だから遅い』って言われるのが嫌だったので、強い気持ちを持ってレースに乗るようにはしていました」と心境を語っています。
昨年は国内の女性騎手として初めて年間100勝を達成し、地方通算1000勝も見えてきた宮下騎手。「出産=騎手引退」というこれまでの暗黙のルールを打ち破り、ママさんジョッキーとしてパワフルな活躍を見せます。
こうした先人たちの活躍もあってのことでしょう。今月4月には、順調にいけば地方競馬から2名の女性ジョッキーがデビューを予定しています。
佐々木世麗(ささき・せれい)候補生は、園田・姫路競馬でトップを走る新子雅司厩舎に所属予定。
▲新子雅司厩舎に所属予定の佐々木世麗さん(写真右)と名古屋の宮下瞳騎手(写真左)
(新子調教師は2月23日の調教で落馬し、左肋骨をすべて骨折など負傷しましたが、会話はできているとのこと。安心しました)
現存する競馬場で唯一、女性ジョッキーが一度も所属したことがなかった園田・姫路で、ついに女性ジョッキーが誕生するのです!この意味はとても大きなものだと感じます。
新子厩舎では管理馬の遠征機会も多く、昨年7月、名港盃にタガノジーニアスが遠征する際には佐々木候補生も名古屋競馬場に同行し、宮下騎手や木之前葵騎手と交流。レースや普段のことなど女性同士だからこそいろいろと質問していました。
立場は違えど、私もライター業やテレビに出る時、「わざわざ電話して聞くほどのことじゃないけど、他の人たちってコレどうしているんだろう…」と気になることって、細かいことも含めると結構あるものです。似た立場同士じゃないと分からない部分もあるので、「教えてグーグ○先生!」と言っても、なかなか答えてもらえない。それが実際に会うと、雑談をしつつ聞けるので気持ちがスッキリするんですよね。
また、佐々木候補生に関しては「師匠の奥様」の存在も心強いな、と感じる次第。
園田の厩舎地区で生まれ育った方のため、競馬のことや厩舎のしきたりに詳しく、それでいて時に母、時に同じ女性として佐々木候補生を支えています。野球少年を育ててきたので、食事面も頼もしく、恵まれた環境で「園田初」の女性ジョッキーとしてデビューができそうです。
まずは人数が増えることで、男女関係なく活躍できる世界に
一方、同期の神尾香澄(かみお・かすみ)候補生は川崎・山田質厩舎所属としてデビュー予定。川崎で女性ジョッキーと言えば、安池成実調教師は1979年6月にデビューした元騎手。6年間で35勝を挙げ、騎手引退から13年後の1998年6月に調教師として厩舎初出走を迎え、2月22日時点で355勝を挙げます。
コロナ禍ゆえ、なかなか思うように取材ができないため川崎の状況は分からないのですが、昨年7月には高橋華代子さんが
「写真で“見る”南関東競馬」で神尾候補生の笑顔を届けてくださいました。
来月はJRAからも古川奈穂騎手と永島まなみ騎手の2人の女性ジョッキーがデビュー予定。永島騎手の師匠となる高橋康之調教師は、厩舎実習スタートとほぼ同時に最新の木馬を購入し、練習できる環境を整えていました。
女性に限らず、1人のジョッキーを育てるということは私には想像が及ばない苦悩も喜びもあるかと思います。子育てに正解がないと言われる中、よそのお子さんを預かるわけですから。
そんな中、一つ思うことは、女性ジョッキーの数が増えれば、彼女たちの存在が当たり前となり、性別に関係なく活躍できるようになるのではないかな、ということ。
▲女性騎手が増えてより華やかになることを期待したい!
実際、私も栗東トレセンや各地の地方競馬場で取材できているのは、過去に多くの女性記者やリポーターの方々が道を切り拓いてくださったからこそ。レースによっては「あれ、今日のマスコミは女性陣の方が多いんじゃないの?」と感じることもあります。
だから今は「女性ジョッキー」という、もしかしたら違和感を持つ人もいる表現かもしれませんが、彼女たちの活躍が人々の注目を集めることが大切なのでは、と個人的には考えています。