アストラエンブレムとオーシャンSに挑む小島茂之調教師(c)netkeiba.com
GIIIオーシャンSで初重賞制覇を目指すのがアストラエンブレム(セン8、小島茂之)です。これまで重賞では2着が2回あるものの、まだタイトルには手が届いていません。そんな同馬がこれまでと違う新境地を見せたのが前走のラピスラズリS。デビュー29戦目にして初のスプリント挑戦で、見事に結果を残しました。管理する小島茂之調教師に色々と話を聞きました。
(取材・文=東京スポーツ・藤井真俊)
新しい道が開けたスプリント挑戦
――前走がデビュー29戦目にして初めてのスプリント挑戦。まずはそれまでの経緯を教えてください。
小島 もともとは中距離でいい線まで行ってたんですよね。GIIIエプソムC2着とか、GIII新潟記念2着とか。ただ気性的に難しい面が出てきていたので、4歳の秋に去勢をすることになったんです。すると今度は体質的な変化が生じたのか2000メートルでは結果が出なくなってしまって…。そういう中で牧場サイドと協議する中で「1200メートルに行ってみないか」という意見が出てきました。
――なるほど。しかし1200メートルに挑戦したのは7歳の12月ですから、すぐには路線変更しなかったのですね。
小島 はい。さすがに忙しい印象がありましたし、乗っているジョッキーたちに聞いてもピンと来ない感じだったので、まず昨年はマイル路線にシフトしたんです。当初は結果も3、2、1着とついてきていい感じだったのですが、夏にGIII関屋記念、GIII京成杯オータムHと連敗してしまって…。そんな中で京成杯(オータムH)で騎乗した横山武史騎手が「距離短縮もありかも」と言っていたので、ついにスプリントに挑戦することにしました。
――それが昨年末のラピスラズリSですね。結果は見事に1着。一発回答でした。
ラピスラズリSでは大外から差し切り見事1着(ユーザー提供:モエロウエクラさん)
小島 驚きましたね。正直、仮に結果が出なくても、今後の選択肢を広げられれば…という気持ちもあったので。もちろんペースや決着タイム、馬場状態などアストラエンブレムに向いた部分もあるのでしょうけど、それでも適性がなければ勝つことはできませんから。新しい道が開けた一戦でした。
――しかしすでに8歳です。常識的には衰えなどの心配をされる年齢ですが、そういった素振りを一切見せませんね。
小島 そうですね。やはりこれまで牧場サイドとともに、大事に使ってきた結果だと思います。まぁ欲を言えばもう少し柔らかみがほしいところですが、それでもきょうだいの中ではアストラエンブレムが1番しなやかですね。
――今きょうだいのお話が出ました。母ブラックエンブレムも含めて、先生はこの一族をたくさん管理されてきましたが、共通点はありますか?