JBBA静内で種牡馬生活を送るバゴ(撮影:山中博喜)
近年では、来週ドバイシーマCに出走予定のクロノジェネシスや、今年の皐月賞に出走予定のステラヴェローチェなどを輩出したバゴ。種牡馬として名前は知っているけど、どんな血統背景を持ち、現役時代はいったいどんな馬だったのか? 合田直弘さんに解説していただきました。
父はデビューから無敗の6連勝を遂げたイギリスの名馬
初年度産駒からいきなり、GI菊花賞馬ビッグウィーク、GI桜花賞2着馬オウケンサクラ、JpnIIIクイーン賞勝ち馬アクティビューティ、南関東重賞ハイセイコー記念勝ち馬ショウリュウと、多彩な活躍馬を出した後、重賞勝ち馬は散見されていたものの、大物の登場はなかった種牡馬バゴが、10世代目の産駒からクロノジェネシスという、いかにも父の面影を色濃く受け継いだ超大物を送り出した。日高で繋養されている芝の中長距離を本分とする種牡馬が、大ヒットを飛ばすというのは容易なことではなく、バゴという種牡馬の持つ潜在的水準の高さを改めて知らされることになった。
10世代目で安定感抜群の超大物クロノジェネシスを送り出した(撮影:山中博喜)
バゴは、仏国の名門ニアルコス家による生産馬で、母ムーンライツボックス(父ヌレイエフ)も、祖母クードジェニー(父ミスタープロスペクター)もニアルコス家による自家生産馬という、純度の高いニアルコス血脈を背景に持つ。母は未出走だったが、祖母はモルニー賞(芝1200m)、サラマンドル賞(芝1400m)という2つのG1を制した活躍馬だった。祖母の産駒に、G1マルセルブーサック賞(芝1600m)勝ち馬デネボラがいる。
父は、シェイク・ハムダンの競馬組織シャドウェルによる自家生産馬で、ディック・ハーンが管理したナシュワン(父ブラッシンググルーム)だ。母が英2歳牝馬女王ハイトオヴファッションで、祖母が英千ギニーや仏オークスを制したハイクレアという、エリザベス女王の手による高貴な血脈を背景に持つのがナシュワンである。すなわち、ディープインパクトと同じ牝系の出で、ゆえに、ディープインパクト牝馬にバゴを交配すると、ハイクレアのインブリードが生じる。
ハイクレアのクロス(4×5)を持つステラヴェローチェ(撮影:下野雄規)
ナシュワンは、デビューから無敗の6連勝で