▲初出走日に初勝利をあげた田中克典調教師 (撮影:高橋正和)
今年は、新人騎手たちの早い勝ち上がりが目立っていますが、新人調教師の活躍ぶりからも目が離せません。今回登場する田中克典調教師(33)は、初出走日にのべ3頭目で初勝利を挙げました!
今回のインタビューから伝わってきたのは思慮深さと、周りの人たちを大切にしたいという思い。そこに気づけたのは、義父・矢作調教師の教えが大きいと言います。そう、田中調教師の奥様はフリーアナウンサーの矢作麗さん。これから益々注目の田中調教師、その人柄に迫ります。
(取材・文=不破由妃子)
記念の初出走は同期の北村友一騎手で
──3月1日付で開業されて、初出走となった3月14日の3戦目で早くも初勝利(中京7R・4歳上1勝クラス・ロッシュローブ)。おめでとうございます!
田中 ありがとうございます。いい競馬でしたね。
──ロッシュローブは、園田からの転籍初戦でした。
田中 はい。去年の競り場でたまたま(ロッシュローブの)水上オーナーの娘さんを紹介していただく機会があったんです。園田からいったん石坂厩舎に馬が入っていたのですが、そういうご縁もあって、引き継がせていただきました。
石坂先生からもすごくいい形で引き継がせていただいて、スタッフもそのままついてきてくれたので、調整自体はしやすかったです。
手元にきて2週間弱での出走でしたが、調教の動きもよく、日に日に馬の雰囲気がよくなっていった感じです。手綱を取った菱田ジョッキーも、2週続けて追い切りに乗っていい感触をつかんでくれていたので、頑張ってくれるんじゃないかなと期待を持って送り出しました。
▲陣営として自信をもって送り出したロッシュローブ (撮影:高橋正和)
▲鞍上の菱田騎手、大役を果たし安堵の表情 (撮影:高橋正和)
──好スタートから内枠を生かしたロスのない競馬でしたが、ゴール前では2着馬が半馬身差まで迫りました。田中調教師はとても落ち着いたイメージがありますが、さすがに声が出たのでは?
田中 無意識でしたが、ちょっと出ましたね、たぶん(笑)。
──ゴールした瞬間は、どんな思いが込み上げましたか?
田中 開業にあたって多くの人の応援と支えがありましたから、うれしい気持ちと同じくらいホッとしました。スタッフもね、普段から本当によく動いてくれているんです。そんなスタッフたちがみんなで一緒に喜んでくれて。毎日頑張ってくれている姿を見ているので、そういう意味でもホッとしましたね。
早い段階でいい結果を出せたことは、僕だけではなく、みんなにとってもよかったなと思います。ロッシュローブの前に走った2頭も頑張って走ってくれましたし、みなさんのおかげでいい初日を迎えることができました。
──厩舎の初出走となったバジェットライン(中京2R・3歳未勝利)は、同期の北村友一ジョッキーの手綱でした。先生が直々に依頼されたのですか?