【皐月賞】軽々しく優劣をつけられないからこそ今年の皐月賞は面白い
近2年と比べ今年の牡馬戦線は混沌としている
牝馬は白毛のソダシが5戦全勝で桜花賞馬になったが、牡馬クラシック戦線は混沌としている。もしかしたらそれは皐月賞までのことかもしれないが、この2年、サートゥルナーリア、コントレイルと3戦3勝でGIホープフルSを勝った2頭がそれ以来の本番で第一冠をものにしていたのにくらべ、今年は様相を異にしている。
唯一無二の舞台だから、どの陣営も慎重。ゆったりローテーションで心身の成長を促しながらレースを選んでここまでやってきた。多少の優劣は生じても、どの馬にも可能性があるように見えて仕方がない。春の景色で言えば、そこに欠かせない菜の花、それも一面に咲きはじめた菜の花を眺めているようなもの。大きく広がった黄色のじゅうたんを目の前にしている感じで、どれもこれも同じに見えて区別しにくい。
事前にその優劣を軽々にはつけられない、つけてはいけないと言われているようなものだ。だからこそ、今年の皐月賞は面白く、自由な発想でチャレンジしたい。
この2年はともかく、皐月賞に至るこれまでの戦い方には、しっかりしたすじ道がある。いわゆるステップレースだが、この10年、一番多く勝ち馬を出しているのは共同通信杯で、ゴールドシップ、イスラボニータ、ドゥラメンテ、ディーマジェスティの4頭がいる。続いてスプリングS組で、オルフェーヴル、ロゴタイプ、エポカドーロの3頭、そしてホープフルSの2頭。2017年の毎日杯から皐月賞を勝ったアルアイン1頭が別路線と解釈していいだろう。以上の10頭のうちそのレースで2着だった2頭以外は、全て勝ち馬だったことに意味がありそうだ。
その他のレース、きさらぎ賞、若葉S、弥生賞。京成杯そして朝日杯FSは、2、3着馬は出しているが、勝ち馬はいないのだ。これをたまたまと考えるかどうかだが、今年の顔ぶれを分析すると、どうしても共同通信杯とスプリングSの分析から入るのが妥当ではないかと思えてくる。
共同通信杯1着のエフフォーリアはデビューから3連勝で負けていない。大型馬だが好位置につけるレースセンスがあり、33秒台で上がる完勝でここまできた。何ひとつ無理をさせてこなかったが、丈夫になって実が入ってきたときゅう舎では述べている。横山武騎手というのがフレッシュな魅力でもある。
このときの2着馬がヴィクティファルスだった。新馬戦を勝って2戦目、7番人気の伏兵だったが、次のスプリングSを大外から差し切り、一戦毎に力をつけてきた。ハーツクライの父ガリレオと底力のある血統で、ピッチ走法で中山内回りの2000米でも不安はない。馬場が渋ったらもっといい馬だ。そして一度使った2歳チャンピオン、ダノンザキッドの巻き返しも加え、他の有力馬は着候補としておく。
「さつき賞 終った先に 見える道」