GI初騎乗を終えた藤懸貴志騎手にインスタライブで緊急取材!(C)netkeiba.com
デビュー11年目にして、今年のオークスが初のGI騎乗となった藤懸貴志騎手(28)。デビューからコンビを組んでいるハギノピリナと、16番人気ながら優勝馬と0.1秒差の3着と大健闘! そのレースぶりから一躍注目を集めました。
そこで、netkeibaではインスタライブで藤懸騎手へ緊急取材! キャプテン渡辺さんの進行で、オークスの振り返りや今後の展望などをたっぷりお話しいただきました。当コラムではその模様をダイジェスト記事でお届けします。
(取材・進行:キャプテン渡辺、文=netkeiba編集部)
僕のなかでは、勝つ可能性も感じていた
──ハギノピリナとのオークスを振り返っていただきます。大健闘の3着でしたね。
藤懸 頑張ってくれました。
──最後の直線は「あれ? 差し切るんじゃないか!?」という脚でした。
藤懸 僕もいまだに映像見ても、差し切るんじゃないか? って思うんですけど、全然差し切れていなかったですね(笑)。
──僕は(馬券的に)完全に見落としてました…
藤懸 ハギノピリナじゃなくて、“藤懸”っていうので見落としてたんじゃないですか(笑)? キャプテンさんはそういう顔してますよ(笑)。
──そんなことないです! 当日は16番人気でしたが、勝つ可能性もあるなと感じていましたか?
藤懸 はい、ありました。自分のなかでは、ですけど…。やっぱり自信持って乗らないと勝てないじゃないですか、絶対に。
デビューから2000m以上のレースを使ってきたハギノピリナ(C)netkeiba.com
──そうですよね。今回が藤懸騎手にとっては初めてのGI騎乗でしたが、どんな気持ちでしたか?
藤懸 11年目なので、丸々10年間ジョッキーをやってきているんですけど、やっとGIの舞台に出させていただけるな、という感慨深さもありながら、ハギノピリナの力がどれだけ通用するのかなっていう楽しみの方が強かったです。
──レースでは最後方でしたが、作戦だったんですか?
藤懸 1、2コーナーをまわるときは最後方でしたね。作戦というよりは、この馬の競馬をしようと思っていました。
──スタートしてからも落ち着いていましたよね。
藤懸 ピリナちゃんが僕よりも勝負強かったです。普段よりレースっぷり、道中の行きっぷりが良くてびっくりしました。返し馬から、今までで一番落ち着いて、堂々としていて…今までで一番良くて。本当に、ピリナちゃんのやる気にびっくりしていました。
──「夢を見ました」というコメントがありましたが、どのあたりから感じていましたか?
藤懸 夢の見え始めは…向正面からですね。向正面の3コーナー手前で、ミルコさん(ユーバーレーベン)がスーっと外に出して捲っていったんですけど、その時に“僕はそこに付いていくしかない”と思って。そこまでは直線までどうしようかなって思っていたんですけど。東京競馬場でGIですし、みんななかなか動かないので、僕もじっとして誰かが動くのを少し待っていたんですけど、ミルコさんが動いていってくれたのを見て、「ここだ!」っていう感じで。
なので残り1200mくらいからが、夢の始まりです!
──直線では抜群の手応えでした。
藤懸 直線は悔いなく、精一杯しっかり脚を使わせる、しっかりエンジンをかけておくって決めていたので、本当にいい形で上がっていきましたし、反応もすごくよかったので、あっいいな、と思っていたんですけど、そしたら前はあともう一頭になっていて…! 長く脚を使った分、最後はいっぱいいっぱいになってしまったんですけど。
最後の直線では「夢を見させてもらいました」と語った(ユーザー提供:Taikiさん)
──ちなみに、馬場はいいところを通ったなという感じはありましたか?
藤懸 はい。朝馬場を下見して、見た目以上に、内の3、4頭分くらいはボコボコしている感じがしました。少し湿ってるかなとも思ったんですけど、前日から晴れていてしっかり乾くなと思っていましたし、直前のレースも見て外が伸びているように感じたので、思い通りにいいところは走らせられたかなと思います。
GIの舞台を経験し…すごく勝ちたくなった!
──今後のハギノピリナはどんな予定ですか?
藤懸 秋華賞を目標に、前哨戦をどこか使います。
──距離は長い方が合いそうですか?
藤懸 う〜ん…、長い距離でも大丈夫という感じです。長ければ長いほどいいというわけではなく、他の馬が長い距離が苦手であれば、ピリナちゃんは全然気にしませんよ、というふうに僕は感じます。
距離は2000mくらいからだと思います。今回、ゲートを出てからのハミの取り方や進み方が一番良かったです。2000mでも初戦とかはすごくモタモタしてしまいましたけど、次からはスムーズに競馬ができると思っています。
秋も楽しみなハギノピリナと藤懸騎手のコンビ(C)netkeiba.com
──騎手として、やっぱりGI制覇は目標ですよね。
藤懸 はい。どのジョッキーもデビューしたころはGIを勝つことを目標にしていると思いますし、僕もそのひとりなので。ちょっと時間はかかりましたけど、初めてあの舞台を経験して、勝ち負けも経験したら…今まで以上に、すごく勝ちたくなりました。
──応援しています。では最後に今後の目標をお願いします。
藤懸 まずは騎乗依頼をいただいている一鞍一鞍、大切に丁寧に乗ることだけです。こうしてハギノピリナにも巡り会えましたし、こういう馬に乗るのにふさわしいジョッキーになれるように今後も頑張っていきたいと思います!
(※文中敬称略)