▲初めてのダービー制覇は2018年のワグネリアンで (撮影:下野雄規)
シャフリヤールで日本ダービーを制覇した福永祐一騎手。ダービー3勝は、5勝の武豊騎手に次ぐ歴代単独2位という偉業です。キングヘイローとともに初めて日本ダービーに挑み、エピファネイアで半馬身差に涙を飲みながらも、2018年にワグネリアンでダービージョッキーになると、昨年はコントレイルで無敗の三冠も達成し、今年はダービー連覇。
「ワグネリアンでダービージョッキーとなって以降、さらなる進化を遂げた」と言われる福永騎手の真骨頂を感じさせる今年のダービー制覇でもありました。
そこで、netkeibaでは福永騎手の手綱でダービーを制した友道厩舎、矢作厩舎、藤原厩舎の3陣営に取材。それぞれの陣営だからこそ知る福永騎手との知られざるエピソードと、彼へのお祝いメッセージをいただきました。
(取材・構成=大恵陽子)
※すべて電話取材で行いました。また、明日から2日間、福永騎手のインタビューを公開します。
【2018年ワグネリアン 友道康夫調教師】
「厩舎もオーナーも“なんとか福永騎手にダービーを勝たせよう”」
彼とは、松田国英厩舎(今年2月に解散)で助手をやっていた時から懇意にしてもらっていました。当時、JRAの研修で2カ月近くヨーロッパを回る中で、エルコンドルパサーが出走するサンクルー大賞を見に行ったら、怪我で休んでいたユーイチも現地にいて、エルコンドルパサーが勝つのを一緒に見たんです。「調教師になったら、また一緒に来ような」って話をしていました。
ワグネリアンはデビュー前からいい馬で、血統も牧場での調教も良かったです。マカヒキでダービーを勝った年の忘年会か何かの、ユーイチもいる席で「再来年のダービーはこれ(ワグネリアン)でいこうな」と半分冗談、半分本気くらいの感じで話をしていました。まだワグネリアンが1歳の時ですね。本人は覚えているかどうか分からないですけど、その時のことがずっと頭にあったから、ワグネリアンはデビューからユーイチでいこうと思っていました。
デビューから3連勝の後、弥生賞2着、皐月賞7着と負けたことで逆にダービーでのプレッシャーも薄らいだんじゃないのかなと思います。不利な大外の17番枠が当たって、前日に京都競馬場の検量室で会った時にはお互いに苦笑いしました。でも、あの枠が当たったからこそ、作戦は前に行くしかなくなって、プレッシャーがまた一つ減ったと思います。一か八か、1コーナーでいい位置を取るには行くしかないと話していた作戦通りの、最高の騎乗をしてくれました。
厩舎も金子真人オーナーも「なんとか福永騎手にダービーを勝たせよう」と思っていたので、周りからいろいろ言われたりもしましたけど、「ユーイチでいく!」という話でしたから、ダービーを勝って検量室に上がってきた時はみんな泣いていました。マカヒキの時はみんなニコニコしていたんですけど、この時は「ユーイチに勝ってもらいたい」という思いがあったから、みんな涙目でね。
▲悲願が叶い、福永騎手も陣営も涙であふれた (撮影:下野雄規)
ワグネリアンでダービーを勝ってからは乗り方が変わってきましたね。見ていても「福永祐一の腕で勝ったな」っていうレースの方がありますもんね。自信もそうだし、余裕も出てきたんじゃないかなと思います。今年のダービーを勝って「おめでとう!」ですけど、僕の3勝目より先を越されたので、「うちの3勝目はお願いします」と言いたいですね(笑)。
【2020年コントレイル 矢作芳人調教師】
「あんなに自信満々でダービーに向かうことは一生に一度」
誰もが言うことですけど、ワグネリアンでの勝利が何よりも大きかったと私は思っています。あの時、彼は