コロナ前に匹敵する売上げを記録したジュライ・ミックスセール
タタソールズ社の会長は「ビジネスは元に戻った」と総括
タタソールズ社が主催するジュライ・ミックスセールが、7月7日から9日の3日間にわたってニューマーケットで開催された。
上場された574頭のうち538頭が、総額1230万1300ギニーで購買され、平均価格が2万2865ギニー(約373万円)、中間価格が1万2千ギニー(約196万円)だった。
コロナウイルス蔓延拡大の真っ只中での開催となり、上場頭数が平年の半分近くに減った前年に比べると、今年の数字はそれぞれ、107.2%アップ、27.0%アップ、20.0%のアップとなった。
総売り上げと平均価格が歴代最高で、中間価格が歴代最高タイだった2019年と比較すると、総売り上げが3.5%ダウン、平均価格が4.0%ダウン、中間価格が変わらずだった。特筆すべきは、93.7%という非常に高い売却率をマークしたことだ。これは、2019年の92.6%を上回る数字で、きわめて分厚い需要があったことを示している。
すなわち今年のマーケットは、絶好調だった2019年にほぼ匹敵するものとなったのだ。英国はワクチン接種の進捗が早く、7月19日にはイベントの集客制限をはじめとした、都市封鎖の規制がほぼ解除される予定だ。
そんな中、一般景気は急テンポで回復していると言われているが、競馬産業の景気もこれに乗り遅れることなく復調していることを示す市況となった。タタソールズ社のエドモンド・マホニー会長も、セール終了にあたって出したコメントの中で、「ビジネスは元に戻った」と、今年のジュライセールを総括している。
最高価格馬は、初日に登場した上場番号125番のオーリアム(牝4、父メダグリアドーロ)だった。G3シティオブヨークS(芝7F)を制している他、G1コロネーションS(芝7F213y)2着などの成績を残したネモラリアの半妹にあたり、キーンランド9月1歳市場にて80万ドル(当時のレートで約9006万円)という高値でゴドルフィンに購買されたのがオーリアムだ。
ジョン・ゴスデン厩舎から3歳の6月にデビューし、今年3月13日にチェルムスフォードのノーヴィス(AW10F)を制し、デビュー5戦目で初勝利。この1戦をもって現役を退き、インヴィンシブルスピリットを交配されて、4月12日の種付けで無事受胎が確認されての上場だった。
購買したのはブランドフォード・ブラッドストックのトム・ゴフ氏で、価格は22万ギニー(約3594万円)だった。
セール2番目の高値が飛び出したのも、開催初日だった。上場番号214番として上場されたエクセレントヴュー(牝10、父シャマーダル)を、代理人のチャーリー・ゴードン・ワトソン氏が20万ギニー(約3267万円)で購買したのだ。
ニューマーケットのLRエンプレスS(芝6F)勝ち馬パールグレイの7番仔となるのがエクセレントヴューだ。現役時代は4戦して未勝利に終わったが、繁殖入りして初めて産んだ仔のムタラファが、4勝を挙げた他、G3ナドアルシバターフスプリント(芝1200m)4着の成績を残している。現在は4番仔を受胎中。父親は、初年度産駒である現3歳世代から、G1ミドルパークS(芝6F)勝ち馬シュプレマシーをはじめ6頭の重賞勝ち馬を送り出し、ヨーロッパで今最もホットな種牡馬となっているミーマスである。
17万5千ギニー(約2859万円)という3番目の高値で購買されたのが、現役馬として上場された上場番号381番のマンオヴザナイト(牡4、父ナイトオヴサンダー)だった。仏国産馬で、祖母がG1オペラ賞(芝2000m)など3つのG1を制したマンデシャという血統背景を持つのがマンオヴザナイトだ。
アルカナ・ドーヴィル8月1歳市場にて35万ユーロ(当時のレートで約4477万円)で購買され、リチャード・ハノン厩舎から2歳7月にデビュー。ここまで2勝を挙げている他、LRストーンヘンジS(芝8F)4着、LRフェアウェイS(芝10F)4着などの成績を残している。購買したのはクウェートの王族で、ゆくゆくはクウェートで競馬をすることになる模様だ。
このあと北半球では、各国でイヤリング・セールが開催される季節を迎える。果たしてこのままマーケットの回復基調が続いていくのが、各国で行われるセールを注視したいと思う。