オーストラリアの20/21シーズン終了 サイアーランキングに変動あり
新種牡馬ランキングにはモーリスがランクイン
7月31日をもって、オーストラリアにおける2020/2021年シーズンが終了。リトゥンタイクーン(父イグレシア)が、自身初のリーディングサイアーの座に就いた。
1000m〜1200m戦で4勝をあげた母パーティミス(父ケンメア)に、現役時代はG2シルヴァースリッパーS(芝1100m)など2重賞を制している種牡馬イグレシア(父ラストタイクーン)が交配され、2002年9月6日に生まれたのがリトゥンタイクーンだ。
グラハム・ベッグ厩舎から2歳の夏にデビュー。このシーズンは5戦し、ローズヒルのG2トッドマン・スリッパートライアル(芝1200m)を含む2勝を挙げている。
3歳初戦のG3サンドメニコS(芝1000m)2着、続くG2アスコットヴェイル(芝1200m)9着の後、グラハム・ベッグ厩舎からジョン・オシェイ厩舎に転厩。その後、4歳シーズン末まで4戦したが、勝ち星を挙げることは出来ず、11戦2勝という戦績を残して現役を退いている。
2007年に、ヴィクトリア州のイライザ・パーク・スタッドで種牡馬入り。初年度の種付け料は8250豪ドル(当時のレートで約83万円)という控えめな額となったが、血統背景や競走成績を考えると妥当な評価だった。すなわち、絶大なる期待のもとに種牡馬入りした馬ではなかったのである。
初年度産駒から、G2コーフィールドスプリント(芝1100m)など2重賞を制したハウマッチドゥーユーラヴミーや、G3ガンスニードクラシック(芝1600m)勝ち馬トランプらを出した後、リトゥンタイクーンは2013年から、同じヴィクトリア州にあるウッドサイドパーク・スタッドに移動。種付け料も1万3750豪ドルと若干上がり、交配する牝馬の質もこれまでよりは向上するようになった。
種牡馬リトゥンタイクーンがブレークしたのが2015/2016年シーズンで、G1ゴールデンスリッパーS(芝1200m)を制したキャピタリスト、G1サイアーズプロデュースS(芝1400m)勝ち馬ルーナロッサ、G1ドゥームベン10000(芝1350m)を制したミュージックマグネイトらの活躍で、リーディング第3位に急浮上することになったのだ。
2018年シーズンには、リトゥンタイクーンの種付け料は11万豪ドルに上昇。2020年の1シーズンのみ、ニューサウスウェールズのアロウフィールド・スタッドで供用された後、2021年はヴィクトリアのユーロン・スタッドで供用されることになっているが、種付け料は16万5千豪ドル(約1367万円)と、初年度の20倍に膨れ上がることになった。
2020/2021年シーズンのリトゥンタイクーンは、G1コーフィールドギニー(芝1600m)など2つのG1を制したオーレカーク、G1豪1000ギニー(芝1600m)勝ち馬オデウム、G1モイアS(芝1000m)勝ち馬ピッピーらの活躍で、通算1703万5983豪ドルの賞金を収得。第2位のアイアムインヴィンシブル(父インヴィンシブルスピリット)に13万豪ドル余りの差をつけ、ランキングの首位に立つことになった。
前シーズンまで4季連続でリーディングの座にあったスニッツェル(父リダウツチョイス)は、今季は4位に転落した。
また、ヴィクトリア州供用種牡馬が豪州リーディングとなるのは、1978/1979年シーズンのセンチュリー以来、実に42シーズンぶりのことだった。
一方、オーストラリアの2歳リーディングは、首位がエクストリームチョイス(父ノットアシングルダウト)、2位がキャピタリスト(父リトゥンタイクーン)で、この世代が初年度産駒となるフレッシュマン・サイアーが、上位を独占することになった。
2頭はいずれも、ニューサウスウェールズのニューゲート・ファームの供用馬だ。現役時代、G1ブルーダイヤモンドS(芝1200m)、G1モイアS(芝1000m)を制しているのがエクストリームチョイスで、キャピタリストも前述したように、G1ゴールデンスリッパーSの勝ち馬と、ともに現役時代はスピードを武器とした馬である。
エクストリームチョイスは、産駒のステイインサイドがG1ゴールデンスリッパーSに優勝。キャピタリストも産駒のキャプティヴォンがG1シャンペンS(芝1600m)に優勝と、いずれも初年度産駒からG1勝ち馬を送り出している。
ちなみに、新種牡馬ランキングの第7位に、日本からシャトルされたモーリスが入っている。