初コンビのマイネルファンロンと新潟記念を制したM.デムーロ騎手 (撮影:橋本健)
新潟記念は12番人気だったマイネルファンロンが勝利! 鞍上は初騎乗だったミルコ・デムーロ騎手でした。哲三氏も「見ていた時には正直びっくりした」という今回のレース、枠順をうまく活かした点に注目しつつ勝因を分析します。
(構成=赤見千尋)
これまでの馬のイメージを一変させる競馬
新潟記念は12番人気だったマイネルファンロンが、外ラチ沿いを豪快に伸びて勝利しました。今回ミルコ(・デムーロ騎手)は初騎乗だったわけですが、これまでのマイネルファンロンのイメージを一変させる競馬を見せてくれましたね。
今までは“先行して最後ちょっと甘くなる”というイメージで、今回8枠16番に入って、外からムリに前に行くと最後に甘くなってしまうだろうなと想像していました。しかしミルコはゲートはムリに出そうとせず、折り合い重視の競馬を選択しました。後から考えれば、以前にも後ろからすごい脚を使ったレースがあったし、枠順を考えて前に行かないという選択肢は納得ですが、レースを見ていた時には正直びっくりしました。
今まで乗っていない、初騎乗ということで、切り替えやすかったという部分もあるかもしれませんが、枠順を上手く活かし、馬のイメージを一変させる競馬で勝ち切ったのはさすがミルコですね。
道中はおそらくトーセンスーリヤを目標にしながら、目の前にクラヴェルが入ってくれた、クラヴェルを前に置けたというところも勝因の一つだったように思います。新潟の直線は長いので、同じような位置に同じようなスピードで上がって行ける馬を目標に出来ると、馬にとって走りやすいですから。直線で伸びてきたマイネルファンロンは、クラヴェルをパスした後にまたトーセンスーリヤという目標があって、集中力を切らさずいいリズムで走れたのではないでしょうか。
直線でのマイネルファンロンとトーセンスーリヤ (撮影:橋本健)
進路取りにも迷いがなく、ラチ沿いまで外に行く時も実にスムーズで無駄がないんですよね。クラヴェル、トーセンスーリヤを目標に出来たこと、外ラチ沿いを走れたことで、馬自身が走りやすい状況だったと感じます。
馬の力はもちろんですが、ミルコの騎乗もさすがでしたし、妹のユーバーレーベンでもオークスを勝っていますから、この血統や手塚厩舎とも相性がいいのかなと。マイネルファンロンの新たな一面を見せてもらって、今後がまた楽しみになりました。
2着だったトーセンスーリヤは、前走で函館記念を勝ち、今回は57.5キロというところがどうかと思っていましたが、この馬もよく伸びて来ていい競馬だったと思います。ここで57.5キロで好走出来たというのはGIでもチャンスがあると思いますから、この先また注目したいです。
(文中敬称略)