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【ローズS AI予想】今週も必見!絶好調のAIが導き出した激走候補の魅力に迫る

  • 2021年09月13日(月) 18時00分


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

高額配当決着となった年も少なくない


AIマスターM(以下、M) 先週はセントウルSが行われ、単勝オッズ1.9倍(1番人気)のレシステンシアが優勝を果たしました。

伊吹 横綱相撲でしたね。ハナを切ったシャンデリアムーンが最下位の17着に、2番手を並走していたジャスティンが16着に敗れているわけですから、決して楽な流れではなかったはず。格の違いを見せつけたと言っても過言ではありません。

M レシステンシアはこれで重賞4勝目。2019年の阪神JF以来となる2度目のGI制覇に王手をかけました。

伊吹 今回も最終的には単勝オッズが2倍を切りましたし、無事にスプリンターズSへ出走してきたら、おそらく同じくらいの支持を集めるのではないかと思います。この距離にもすっかり慣れたようですし、無理に逆らう必要はないでしょう。

M 本命は決まり、あとは相手探し――といったところでしょうか。

伊吹 いや、おそらく連軸にはしないと思います。また再来週にお話しすると思いますが、近年のスプリンターズSは先行力の高さを活かしたいタイプが苦戦していました。WIN5はともかく、通常の式別は工夫の余地がありそうです。

M ちなみに、2着は単勝オッズ4.6倍(2番人気)のピクシーナイト。惜しくも届きませんでしたが、レシステンシアにクビ差まで迫りました。

伊吹 新潟記念2着のトーセンスーリヤに引き続き、Aiエスケープが特別登録時点の注目馬に指名していましたね。お見事です。

M 2戦連続で1200mのレースに挑戦し、いずれも2着どまりだったわけですが、伊吹さんはこの結果をどう見ていますか?

伊吹 相応に高く評価して良いと思いますよ。CBC賞は好走馬の傾向を考えると強調しづらい一戦でしたしね。今後が楽しみです。

M 今週の日曜中京メインレースは、秋華賞トライアルのローズS。昨年は単勝オッズ5.1倍(3番人気)のリアアメリアが優勝を果たしました。

伊吹 他の先行勢が大きく崩れる中、道中2番手追走から直線ですんなりと抜け出し、そのまま後続の追撃を振り切っての勝利。強かったですね。

M 2着には単勝オッズ103.9倍(14番人気)ムジカが、3着には単勝オッズ59.4倍(11番人気)のオーマイダーリンが食い込み、3連単で113万9000円の高額配当が飛び出しています。今年も波乱を警戒しておくべきなのでしょうか。

伊吹 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、1番人気馬は3着内率60.0%、2〜3番人気馬も3着内率40.0%ですから、上位人気馬が極端に苦戦しているというわけではありません。


M その分、4〜6番人気馬の好走率が低迷していますね。7番人気から最低人気までの馬たちと比べてもあまり変わらないとは……。

伊吹 より細かく見てみると、単勝4〜5番人気の馬は[1-0-0-19](3着内率5.0%)でした。このデータをもって「4〜5番人気馬は消し!」と結論付けるのは浅薄だと思いますが、中途半端に注目を集めている馬は疑ってかかるべきでしょう。

M 単勝7番人気以下の馬からも12頭の好走馬が出ているわけですからね。

伊吹 ちなみに、過去10年の3着以内馬30頭中13頭は単勝オッズが20倍以上でした。該当馬の成績は[1-6-6-80](3着内率14.0%)で、複勝回収率が144%。超人気薄の馬も侮れません。

M そんなローズSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、スパークルです。

伊吹 なかなか面白い名前が挙がってきましたね。前走で2勝クラスのレースを勝ったとはいえ、そのフィリピンTは8頭立て。少なくとも、人気の中心ということはなさそうです。

M 今回はクラシック戦線で活躍してきた馬もいますし、単勝6番人気以内、単勝オッズ20倍未満の支持が集まる可能性は低いんじゃないでしょうか。

伊吹 そのようですね。本稿においては、人気薄の一頭という想定で検討を進めたいと思います。

M もともと阪神芝1800m外で施行されていたレースですが、昨年に引き続き今年も中京芝2000mで開催されます。予想にあたってはどのようなポイントを重視すべきなのでしょうか。

伊吹 やはりコース適性でしょうね。中京芝2000mで施行された2020年を含め、過去10年の3着以内馬30頭中23頭は“中山・中京・阪神、かつ1400m超のレース”を勝ったことがある馬でした。


M なるほど。1400m以下のレースや、ゴール前の直線に急坂がないコースしか勝っていない馬は苦戦しているんですね。

伊吹 2020年2着のムジカはこの条件をクリアしていなかったのですが、その2020年はクリアしていない馬が全部で9頭おり、ムジカを除く8頭はいずれも6着以下に敗れています。今年も無視できません。

M スパークルは中京芝1600mの未勝利を勝ち上がっていますから、コース適性を不安視する必要はなさそうです。

伊吹 あとは血統や生産者も見逃せないポイント。2012年以降の過去9年に限ると、父か母の父がディープインパクトの馬は[7-5-4-25](3着内率39.0%)、生産者がノーザンファームの馬は[6-5-5-26](3着内率38.1%)と、それぞれ堅実でした。

M おおっ、これはわかりやすい。

伊吹 当然ながら、どちらにも該当していなかった馬は苦戦しています。


M 5頭が3着以内に好走しているとはいえ、3着内率には大きな差がありますね。

伊吹 2020年は、出走馬18頭のうち11頭が父も母の父もディープインパクト以外の種牡馬、かつ生産者がノーザンファーム以外だったんですよ。しかし、結果はクラヴァシュドールの5着が最高。施行コースが替わった影響はほとんどないと見て良いでしょう。

M スパークルはノーザンファーム生産馬。この傾向からも強調できますね。

伊吹 その通り。実は私も、想定の段階で「人気薄なら押さえておきたいな」と考えていたんです。

M ここまでのお話を聞く限りだと積極的に狙っても良さそうに思えますが、何か不安要素はありますか?

伊吹 やはり実績面ですね。2017年以降の過去4年に限ると、好走を果たした馬の大半は既に重賞で善戦したことのある馬でした。


M 条件クラスやオープン特別のレースを主戦場としてきた馬は信頼できないんですね。

伊吹 ただ、2017年1着のラビットランと2020年2着のムジカはこの条件をクリアしていませんでしたし、人気薄ならあまり気にしなくて良いのかもしれません。Aiエスケープが有力視しているくらいなので、能力的に足りないということはないはず。私も、オッズを加味したうえでもう少し馬券上の位置付けを考えたいと思います。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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