日刊競馬の市川俊吾が提案する、自宅で楽しむ地方競馬!
競馬記者、元ジョッキー、アナウンサー、タレント、お笑い芸人など各界の競馬好きによって構成される「地方競馬アンバサダー」が思い思いのスタイルで楽しむ、地方競馬の魅力を隔週で発信!
私は現在、大井競馬場で競馬専門紙の記者として仕事をしています。今回は日頃お世話になっている大井競馬場の話を中心に書かせていただきます。
皆さんは大井競馬場といえばどんなイメージがありますか?
帝王賞、ジャパンダートダービー(JDD)、東京大賞典など多くのビッグレースの舞台、鮮やかなイルミネーションが彩る日本で最初のナイター競馬、美味しいグルメなど魅力満載ですが、馬券の魅力「荒れる大井」のイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
過去には3連単2,800万馬券、3連複249万、馬単132万と驚愕の高配当が飛び出したこともあります。100円がその金額に…、と考えると本当に夢のある競馬場だと思います。私も大井に配属されて10年以上経ちますが、未だに難攻不落、日々反省と勉強の毎日を送っています。
私は追い切りの動きや馬の状態、過去のレース内容などから予想を組み立てていますが、加えて馬券のアプローチとして大事にしていることが、その開催での傾向を掴むことです。
大井は年間100日ほど競馬が開催されています。大井の馬場は非常に難しく読みづらい馬場で、開催を通してだけでなく、天候や乾き具合などにより前後半で刻一刻とレースの傾向が変化します。
一般的には雨が降り馬場に水が浮くと前残りの傾向が強いですが、大井では急に差し競馬になったり、とにかく難解。ですが一発で逆転できるのも、高配当が連発する大井競馬の大きな魅力です。
その日の傾向をしっかり掴み、当日のパドックでの状態を吟味し、過去のレース内容などと擦り合わせていくことが的中への近道だと思います。また大井のほか、川崎・船橋・浦和を含む南関東4場は、それぞれコース形態が異なり、各競馬場へ遠征しての交流も盛んで、毎日レースを見ていても飽きることはありません。
地方・中央問わず、競馬ファンの楽しみの一つに「新馬戦」があると思います。南関東では能力試験で基準タイムをクリアすることでデビュー戦を迎えることができます。
現在、南関東の能力試験は各競馬場公式サイトから動画の閲覧が可能です。これまであまり見ることができなかった能力試験を見られることは画期的なことで、能力試験で注目した馬をデビューから追いかけることで更に愛着が湧いてくるはずです。
今年のJDDではキャッスルトップが地方・中央の強豪相手に大金星を挙げたように、近年南関東、そして全国の地方競馬のレベルが格段に上がっていることは言うまでもなく、スターホースの原石を発掘することも競馬の醍醐味だと思います。
皆さんも是非一度、能力試験の動画をご覧ください。もしかしたら一生記憶に残る優駿との出会いがあるかもしれません。自粛期間も長く、自宅での時間が増えた方も多いかと思いますが、こんな楽しみ方も面白いのではないでしょうか。
最後に、長く続く新型コロナウイルス感染症の影響により無観客開催の競馬場も多く、以前とは競馬場の景色もガラリと変わってしまいました。有難いことに競馬は開催され、レースをリアルタイムで見る環境も素晴らしく向上し、画面越しから手軽にどこでも競馬を楽しめます。
ただ、やはり目の前でレースを見ることが一番です。私が最初に大井競馬場で見た東京ダービーは、残念ながら先日天国へ旅立ったトーシンブリザードが勝ったレースでした。もう20年前ですが今でもはっきりと覚えています。毎日全国で繰り広げられる熱いレースの数々。一日も早く以前のようにたくさんのお客様と笑顔、声援が競馬場に戻ってくる日を心から願っています。
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