ステラヴェローチェの力を信じ勝利に導いた吉田隼人騎手 (C)netkeiba.com
今年の神戸新聞杯は2番人気だったステラヴェローチェが差し切り勝ち。今回は馬の力を信じた鞍上・吉田隼人騎手の選択に焦点を当て解説します。
またオールカマーでウインマリリンとともに勝った横山武史騎手、26日の3歳以上2勝クラスでハナ差の2着となった岩田康誠騎手の騎乗についても振り返ります。
(構成=赤見千尋)
馬のことをよく知っているなと感じる勝ち方
中京競馬場で行われた神戸新聞杯は、2番人気だったステラヴェローチェが馬群の中から差し切り勝ち。鞍上の(吉田)隼人君は、馬の特徴をしっかり活かして、ステラヴェローチェの力を信じた乗り方がファインプレーだったと思います。
僕は基本的には『ポジションを取った方がいい』という話をしていますが、もちろん馬によって、馬場状態によっても状況は変わって来ます。今回のステラヴェローチェは折り合いを付けながら後方からの競馬になりました。手ごたえも良さそうでしたし、勝負所では馬場のいい外目を選びたくなる、外に出したくなる場面だったと感じます。でも隼人君は馬群の中を進むことを選択しました。
振り返ってみると、稍重だった皐月賞でも内から伸びていて、ステラヴェローチェには馬群の中を突いて来るイメージがあります。2着レッドジェネシスとはタイム差なしの半馬身差でしたから、もしも外に出していたら勝ち切ることはなかったのではないかと。馬自身、道悪は得意としている印象ですが、その得意としているものをしっかり信じて、外に出さずに馬群の中を突っ込んで来たのは好判断。パートナーの馬のことをよく知っているなと感じる勝ち方でした。
2着レッドジェネシス(右)とはタイム差なしの半馬身差 (C)netkeiba.com
1番人気だったシャフリヤールにとっては難しい馬場になってしまいましたね。(福永)祐一君にとっても馬場状態とトライアルであるということもあり、余計に難しかったのではないかと想像しています。次に向けて、どういう修正をして来るか注目しています。
中山競馬場で行われたオールカマーは、2番人気だったウインマリリンが間から伸びて勝利しました。(横山)武史君は先週のセントライト記念で1番人気だったタイトルホルダーに騎乗し13着。直線では進路がなくなって追えない場面があり、レース後のコメントでは「上手く導いてあげられませんでした」と話していました。
まったく同じではないけれど、今週も似たような脚質の馬で、形としても囲まれながらの競馬になりました。その中で、前が詰まりそうな場面もありましたが、そこで焦り過ぎず、しっかりカバーして勝ち切りましたね。プロとして同じ失敗を繰り返さないことは重要です。この先のGI戦線に向けてもいい勝ち方だったのではないでしょうか。
オールカマーは2番人気だったウインマリリンが勝利 (撮影:武田明彦)
日曜日の中京の最終レースでは、岩田(康誠)君らしいインさばきを見せてくれました。後方からインを突いてハナ差の2着。もちろん勝ち切った方がさらに良かったですが、6番人気と馬券を買う側にとってはちょっと穴狙いという印象の馬で、馬券内に持って来るのはさすがですし、岩田君らしい騎乗で見ていて面白かったです。