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【毎日王冠AI予想】逆らうのは無謀!? AIも認める連軸候補を徹底検証

  • 2021年10月04日(月) 18時00分

3番人気のピクシーナイトが優勝(撮影:橋本健)


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

1番人気馬の勝率が高いレース


AIマスターM(以下、M) 先週はスプリンターズSが行われ、単勝オッズ5.3倍(3番人気)のピクシーナイトが優勝を果たしました。

伊吹 有力だとは思っていましたが、想像以上にスムーズなレース運びでしたね。

M 道中はインコースの3番手を追走し、直線半ばで抜け出す横綱相撲。完勝と言って良いんじゃないでしょうか。

伊吹 先行力の高さを活かしたいタイプが多かったこともあり、もしかしたらゴチャついた展開になるかもしれないと心配していたんですよ。しかし、結果的には杞憂でしたね。この日の中山芝は内を通った馬の活躍が目立っていましたし、あの隊列になった時点でほぼ勝負はついていたと思います。

M 3歳馬の優勝は2007年のアストンマーチャン以来。施行時期が9月下旬〜10月上旬に移った2000年以降だと2例目です。

伊吹 昨年までの過去10年、すなわち2011〜2020年に限ると、馬齢が3歳の馬は[0-1-1-13](3着内率13.3%)でした。私はまったく気にしていませんでしたが、この傾向を理由に評価を下げてしまった方も多かったかと思います。データ分析の面白いところですね。

M 次走は香港スプリントを予定しているようです。

伊吹 国外でどこまでやれるかは未知数ですが、ある程度は期待して良いのではないかと思います。まだまだ伸びしろもあるでしょうし、今後が楽しみです。

M 今週の日曜東京メインレースは、天皇賞(秋)などの前哨戦と位置付けられている毎日王冠。昨年は単勝オッズ1.3倍(1番人気)のサリオスが優勝を果たしました。

伊吹 メンバー構成を考えれば妥当なところとはいえ、さすがに信頼され過ぎではないかと思っていましたが、まったく危なげのない競馬で勝ち切りましたね。

M 少頭数になりがちなこともあって、大きな波乱は期待しづらいイメージがあります。

伊吹 ここ3年連続で単勝1番人気馬が勝っていますからね。過去10年の単勝人気順別成績を見ても、単勝1番人気馬は7勝をマークしていました。


M 大きく崩れてしまった馬もいるとはいえ、それなりに高く評価した方が良さそうです。

伊吹 単勝2番人気の馬は2011年以降[0-2-0-8](3着内率20.0%)とやや苦戦していたものの、単勝3〜6番人気の馬は2011年以降[2-6-7-25](3着内率37.5%)とまずまず。一方、単勝7番人気以下で3着以内となった馬は6頭だけですし、単勝オッズ20倍以上で3着以内となった馬は4頭しかいません。高額配当が飛び出す可能性はそれほど高くないと見るべきでしょう。

M そんな毎日王冠でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ダノンキングリーです。

伊吹 おっと、人気の中心になりそうな馬を挙げてきましたね。

M 前走の安田記念で念願のGI初制覇。2019年の毎日王冠を含め、GI以外のレースではまだ敗れたことがありません。

伊吹 シュネルマイスターも注目を集めそうですが、前走の安田記念で先着しているわけですし、おそらくこちらが1番人気でしょう。

M ダノンキングリーが毎日王冠を勝ったのは3歳時で、今回も3歳のシュネルマイスターが有力視されています。5歳である点はどのように評価すべきなのでしょうか。

伊吹 あまり気にしなくて良いと思いますよ。どちらかと言えば若い馬が強いレースではあるものの、5〜6歳で上位に食い込んだ馬も少なくありません。


M さすがに7歳以上の馬は苦戦していますが、5歳馬は7頭が、6歳馬も5頭が3着以内に好走していますね。

伊吹 上の世代ほど好走確率が低くなるのは当然ですし、これくらいの差であれば嫌う必要はないでしょう。そもそもダノンキングリーはまだキャリア12戦。ここからさらに成長してくる可能性すらある馬です。

M 馬齢を理由に嫌うのは無理筋、と。

伊吹 ちなみに、過去8年の毎日王冠で好走を果たした馬の大半は、年明け以降に格の高いレースで善戦してきた馬と、キャリアが極端に浅い馬でした。


M ダノンキングリーはどちらの条件も問題なくクリアしていますね。

伊吹 その通り。こういう傾向があるレースですから、人気薄の伏兵を狙うにしても、GIIIやオープン特別を主戦場としてきた馬は避けるべきでしょう。

M 他に注目しておくべきファクターはありますか?

伊吹 やはりコース適性ですね。東京のレースにこれといった実績がない馬は強調できません。


M 思いのほかハッキリと明暗が分かれていますね。積極的に東京のレースを使ってきた馬でないと引っ掛かってしまいそうな条件ですし。

伊吹 今年も特別登録を行った13頭のうち6頭がクリアできていないんですよね。該当馬は扱いに注意すべきでしょう。

M 当然ながらダノンキングリーはクリアしている側。死角は見当たらないということで宜しいでしょうか?

伊吹 シュネルマイスターなど、不安のない馬は他にもいますが、無理に逆らう必要はなさそうですね。Aiエスケープがあえてこの馬を注目馬に挙げたのも、同じような理由からだと思います。あとは2番手以下をどこまで絞るかでしょう。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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