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【天皇賞・秋予想】休み明けは嫌う理由にならない

  • 2021年10月26日(火) 12時00分

穴狙いをしたい気持ちはぐっと抑えて…


 気が付けば、天皇賞秋は荒れないレースになっていた。

 2003年に東京コースが改修されてから、昨年までに18回の天皇賞秋が実施された。いささか乱暴だが、18回を9つずつ前後半に分けて1〜3着馬の平均人気順を見ると、

     1着馬 2着馬 3着馬
2012-20年 2.44 3.89 5.00
2003-11年 3.89 5.33 5.78

 これだとちょっと分かりにくいかもしれないが、全馬均等買い時の複勝回収率が2003〜11年は71%に対し、2012〜20年は44%しかない。ちなみに単も41%だ。9年間で連対したのべ18頭のうち16頭までが5番人気以内だから、たまにレインボーライン(2017年3着)のようなことがあっても限界がある。

 原因のすべてではないがそのひとつに、休み明けの上位人気馬がきっちり走るようになったことがあるのではないだろうか。中12週以上・単勝オッズ10倍未満で出走した馬は、2003〜11年が[3-2-1-6]で複勝率50.0%。これでもよく走っているのだが、それが2012〜20年は[3-4-2-4]で複勝率69.2%。ますます堅調になっている。

 ちなみに改装前の9年間である1994〜2002年は中12週以上の馬全体で[0-0-2-11]。もちろんそれより前にはタマモクロスやヤエノムテキのように休み明けで勝った馬もいるのだが、競馬全体の流れとして、「強い馬が休み明けでもきっちり走る」という傾向が増していることは間違いない。そのぶん、人気薄馬の好走する余地は小さくなっていく。

 今年は単勝10倍未満どころか、5番人気あたりまでがすべて休み明け。穴狙いをしたい気持ちはぐっと抑え、素直に強さを認める予想を心がけたい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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