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【特別編!松岡正海×藤岡佑介】休養から1年半、ついに復帰へ!「少しずつ気持ちを高めて、最前線へ戻っていきたい」

  • 2021年10月27日(水) 18時02分
with 佑

▲藤岡佑介騎手、松岡正海騎手、それぞれの思い


昨年の2月にレース中の落馬で左大腿骨を骨折。同年末の香港カップで、ウインブライトのラストランのために復帰するも、再び長期休養へと入った松岡騎手が、10月21日に復帰を発表。22日から調教騎乗を再開し、順調ならば11月頭からのレース復帰が見えてきたそうです!

前回の「with 佑」に登場してくださった時は(※7月収録)、「1カ月後に“引退します”って言ってる自分もいそうだし、“復帰します”って言ってる自分も想像できる」と話していた松岡騎手。佑介騎手は対談後も、その動向を見守り続けました。

復帰を知った佑介騎手の思い、復帰を決めた松岡騎手の思い――ふたりそれぞれの気持ちに迫ります。

(取材・構成=不破由妃子)


藤岡佑介騎手より「まっちゃんへ――まっちゃんには待っていてくれる人がいる」


 10月21日、木曜日。まっちゃんの現場復帰が報道されました。

 対談の際、「俺なんか需要あるの?」と何度も自虐トークを展開していたまっちゃんですが(笑)、掲載後の周囲からの反響は、それはもう大きいものでした。

「みんな待ってますよ」という言葉とともにその事実を伝えたのですが、その時点ではまだ復帰のメドは立っておらず、「いい報告ができるように頑張る」という段階だったように思います。

 その後も何度か「どうですか?」と連絡をさせてもらいましたが、「メドが立ったら連絡するよ」という返事。あまりしつこく聞くのも憚られ、その都度、「待ってますよ」とだけ伝えました。

 そして先週、ついに「メドが立った。乗ってみるよ」との連絡が。ここまでの道のりを思うと、純粋に「よかったなぁ」という気持ちでいっぱいになりましたね。

 ここまで約1年半、長かったと思います。今までにないくらい、たくさんのことを考えた時間だったと思います。

 同じジョッキーとして想像するのは、いざ復帰となっても「乗せてもらえるのか」「自分の居場所はあるのか」といった不安は、おそらくどこまで行ってもついてくるということ。でも、まっちゃんには待っていてくれる人がいて、何よりこうして戻ってくることができたのは、きっとジョッキーとしてまだやるべきことがある、そういうことだと僕は思います。

 かくゆう僕も、まっちゃんにしかできない仕事をまだまだ見ていたいと願う後輩のひとりです。

 復帰は素直に喜ばしいことではありますが、レースに行けば当然ライバル。また一緒にレースに乗れることをうれしく思う反面、いい意味でやっかいなジョッキーが戻ってきたなぁという思いもありますけどね(笑)。

 実戦復帰はこの後の検査次第ということですが、なにはともあれ、ここまでたどり着けて本当によかった。

 まっちゃん、本当におめでとうございます。対談はZoomを使ってのものでしたが、今度はお互いに勝負服を着た状態で、直接会える日を楽しみに待ってます!

松岡正海騎手より「佑介へ――寄り添ってくれた佑介の存在がありがたくて」


 佑介との対談の最後に、コメントを出させてもらったのが9月の初旬。そこではあまり前向きな報告ができませんでしたが、ここにきてようやく調教に乗れるまでに回復しました。

 実際、9月の中旬あたりから急激に骨の状態がよくなり、10月頭の検査結果を受けて、担当医の口から初めて「そろそろかな…」という前向きな言葉がありました。

 この後は11月1日にCT検査を行い、今より状態が悪くなるようなことがなければ、レースでの騎乗にもゴーサインが出る予定。目下の敵は筋肉痛ですが(笑)、足の感覚自体はすっかり元通りです。

 ここまで約1年半。今となっては、長かったような短かったような…。何をおいても、休養中に支えてくださった関係者のみなさまとジョッキー仲間には感謝しかありません。

 今は「また頑張ろう!」という気持ちと「また早起きして働く日々が始まってしまった…」という気持ちが半々ですが(笑)、これから少しずつ気持ちを高めていって、また最前線に戻っていけたらいいなと思っています。

 佑介と対談をしたのは、まだ何も見通しが立っていない7月の頭でしたが、実際に文字になった自分の言葉を読んだとき、復帰が叶うにしろ引退となるにしろ、「ああ、この時期に対談をしてよかったな」と思いましたね。

 自分の状況がリアルに迫ってきたというか、ああやって世の中に発信できたことで、今、自分がどう思っているかを改めて確認することができたように思います。

「どっちに転んでも覚悟はできている」と話した僕に対し、「それもまっちゃんらしいよね」と寄り添ってくれた佑介。そんな佑介の存在もありがたかったです。

 復帰が決まるまでのあいだも、あえて状況をしつこくは聞かなかったとのこと。すっかり気を遣わせてしまいましたね。申し訳ない。

 でも、佑介ってそういう後輩なんですよね。僕に足りないものを持っている後輩であり、気が利くのはもちろん、痒いところに手が届くというか…。頼もしいし、頭の回転も速くて、対談のときもそうでしたが、話していていつも爽快感があります。

 競馬に関しては、けっこう深く考えてるんだなと思うことが多々あり、そんな佑介に思わずハッとさせられることも。僕は競馬が大好きですから、とにかくこれからも“ジョッキー・藤岡佑介”のいいところをたくさん見たい。同じレースに騎乗して、また僕を驚かせてくれる日を楽しみにしています。

【次回の「with佑」は!】

 次回は、JRAの職員さんとの対談が実現。阪神競馬場馬場造園課長の青山氏をゲストにお迎えし、現役ジョッキーと馬場のスペシャリストが、“馬場”について本気のトークを繰り広げます。どうぞご期待ください!
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with 佑とは
JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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