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【JBC】『小回りの金沢だから狙いたい!』サクセスエナジー&リネンファッション陣営直撃

  • 2021年10月31日(日) 18時02分
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▲サクセスエナジーとともにJBCスプリントに挑む北出成人調教師 (C)netkeiba.com


今年は8年ぶりに金沢競馬場で行われるJBC。JRAの競馬場や、昨年JBCが開催された大井競馬場に比べてコンパクトな1周1200mの小回りコースがレースの鍵を握りそうです。

そこでnetkeibaでは「小回りJBCで狙いたい馬」と題し、地方の小回りで無類の強さを発揮するサクセスエナジー(JBCスプリント出走)の北出成人調教師と、先行力が武器のリネンファッション(JBCレディスクラシック出走)の坂口智康調教師に取材。すると、最近の金沢の特徴である「内を空けて走る」ことを逆手に取った作戦が飛び出したり、調教で11秒台連発の進化の理由が明かされました。

(取材・構成=大恵陽子)

※このインタビューは電話取材で行いました

何としてもJBCに出たかった理由がある――JBCスプリント・サクセスエナジー


――サクセスエナジーといえば、地方の小回り1400mは【5-3-1-4】でとても得意な舞台です。今回のJBCスプリントもそれらと同じぐるっと1周する1400m戦。このコース形態が合っているのでしょうか?

北出 改めて「なぜコーナー4回の1400mがいいのか?」と聞かれると、ハッキリしたことは分かりませんが、ワンターンの1200mだと他に速い馬がいます。サクセスエナジーはロケットスタートを決めるタイプじゃないですし、1200mだと少しスピードが足りないのかなという気がします。この馬は13勝もしていて、すごい馬だなと感じます。

――JBCには今年で3年連続での出走となります。今回と同じ小回り1400mで期待された2019年JBC浦和が11着、2020年は大井1200mの舞台で10着でした。

北出 昨年は出遅れてしまってのもので、一昨年の浦和はチークピーシズをブリンカーに変えたところ、砂がブリンカーの中に入って全然取れませんでした。

――競馬場によって砂の特徴が違いますが、ブリンカーの内側に砂が溜まると、馬も気になってしまうでしょうね。今年は3月の黒船賞の後にノドの手術をしたようですが、状況を教えていただけますか?

北出 DDSPというノドの疾患で、黒船賞5着の時が結構ひどくて、栗東に帰って検査をしたら「これはアカンわ」と、急遽手術をしました。

 これまでのJBCでは結果が伴わなかったですけど、オーナーが金沢在住の方で、担当者も石川県出身の子なんです。そして、JBCスプリントの距離は実績のある1400mとベスト。金沢で開催される今年は何としてでもJBCに出たかったので、手術に踏み切りました。

――手術の結果はどうでしたか?

北出 どの馬でも成功するわけではないようで、それを確かめるためにも9月に佐賀のサマーチャンピオンに使いました。砂を被って2着でしたけど、ノドは大丈夫でした。レース後も問題ありません。

――続く浦和・テレ玉杯オーバルスプリントは7着に敗れましたが、東京盃では外枠からダッシュを利かせて初めて1200mの重賞を勝ちました。

北出 テレ玉杯オーバルスプリントは隣の馬と接触して全く競馬にならなかったですが、東京盃は外枠が当たったことが良かったでしょうね。

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▲東京盃を制したサクセスエナジー (撮影:高橋正和)


――「揉まれたり砂を被らない外枠の方がいい」というのは以前からずっとおっしゃっていましたが、不思議なもので、サクセスエナジーの内枠率は高くて(苦笑)。昨年末の兵庫ゴールドトロフィーも3枠3番で、後ろからの競馬になりながら、直線で空いた最内から差して勝ったのには驚かされました。

北出 万事休すと思いましたけど、松山弘平騎手が開き直って内から上がって行って、目の錯覚かなと思うようなすごい競馬でした。「こんな競馬もできるんだ!」と思いましたね。内が空いていたからできたような競馬ですね。

――金沢コースはどんな印象ですか?

北出 走ったことがないですけど、内を空けて走るコースなので、もしも内枠に入った時は“園田作戦”でいけるなぁ、と調教の時に話していました。

――たしかに(笑)。内から4〜5頭分は深いですが、「3〜4コーナーの一瞬なら内も使える」と昨年の金沢リーディング・吉原寛人騎手は話していました。サクセスエナジーは現在の状態はいかがですか?

北出 佐賀で復帰して、中2週で浦和に行き、中1週で大井に行っての今回なので、馬は気持ちが入っています。追い切りでは併せた方がいいタイプで、10月27日は坂路で併せ馬を行ったんですが、並ぶ間もなく先着しました。単走だとフワフワしますが、真っ直ぐ走れていましたし、よかったです。

――JBCは斤量57kgで、他馬との斤量差が小さいのも魅力的です。改めてJBCへの意気込みを聞かせてください。

北出 馬格があるので斤量負けせず、59kgでも勝っています。相手がいるのが競馬なので楽観はしていませんが、何とか!と思っています。応援よろしくお願いします。

先行してバテない脚がさらに進化――JBCレディスクラシック・リネンファッション


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▲坂口智康調教師、進化を続けるリネンファッションとJBCレディスクラシックへ (C)netkeiba.com


――前走は門別のブリーダーズゴールドカップで2着でした。振り返ってみてどうですか?

坂口 上手に競馬をしたと思います。スムーズに逃げることができて、いいペースで逃げられていたと思いますが、勝ち馬が強すぎました。リネンファッションもバテているわけじゃなくて、直線でちょっと抵抗していたんですけど、向こうの手応えが違いすぎましたね。

――今回は初めての金沢コースになりますが、どう思いますか?

坂口 うーん……。正直なところ、向くコースではないと思います。

――たしかに成績を見てみても、広いコースを中心に使われている印象で、小回りの小倉では豊前S(3勝クラス)6着。リネンファッションのキャリアの中で最も大きな着順です。

坂口 ペースが速かったこともあって、最後は止まってしまったんですけど、当時、騎乗した藤岡佑介騎手も「本質的には広いコースの方がいいのかな」と話していました。

――広いコースの方を得意とする理由は?

坂口 トビが大きいからです。そんな中でも、2走前は3〜4コーナーのカーブがキツいと言われる川崎でも上手に回ってきたので、対応はしてきていると思います。

 また、以前は右回りでは少し左に張っていく面があったのですが、最近はそういう面も解消されてきました。前走の門別(右回り)では武豊騎手も「左に張る感じは全然ありません」とおっしゃっていました。

――では、小倉での敗戦は「慣れない小回り」「当時はまだ苦手な右回り」といった要因も重なった可能性がありそうですね。

坂口 あの時はまだ左に張る面が結構あって馬も苦しかったと思います。いまは体もしっかりしてきましたし、右回りに慣れたということもあると思います。

――リネンファッションのトビや走りの癖からは広い左回りコースがベストかもしれませんが、先行力がある点は小回りコースで一つの武器になりそうです。

坂口 スタートもいいですし、前で競馬ができるのは強みかなと思います。コース形態も、金沢の1500mは直線の引き込み線からのスタートなので、すぐにコーナーよりも直線をいっぱい使えていいかなと思います。

――逃げ馬のサルサディオーネもいますが、リネンファッションは逃げにこだわりはありますか?

坂口 控えても競馬ができる馬なので、逃げないとダメということはありません。2〜3番手からの競馬で勝ってもいます。脚質としては、そこまでキレる脚がなくて、バテずにずっと脚を使うタイプなので、ある程度前にはつけたいです。

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▲スパーキングレディーでのリネンファッション (撮影:高橋正和)


――JBCに向けての調教では、ラスト1F11秒台を出しています。

坂口 競馬を使うごとにだんだん良くなってきていて、昨秋に1勝クラスを勝ったくらいから溜めが利くようになりました。以前は追い切りで11秒台が出る馬ではなくて、レースでも「手応えはいいけど、手応えほど伸びない」ということがありましたが、最近は追い切りでもレースでも最後に脚を使えるようになっています。

――先行して、さらに直線で追って伸びるのは強みですね。

坂口 前につけられれば最後までバテずに脚を使ってくれますし、レースセンスがいいのが長所ですね。ここ2戦で騎乗した武豊騎手も「乗るたびに良くなっている」とおっしゃっています。以前に比べて、ダート馬らしいというか、ガッシリしてきました。

――これまで1800mを中心に走ってきましたが、JBCレディスクラシックでは初めての1500mとなります。そのあたりも含めて、意気込みをお願いします。

坂口 1500mという距離はちょっと分からないですけど、この馬のレースができればいい競馬はしてくれると思います。まずはいい状態で送り出してあげて、あとは武豊騎手に託します。武豊騎手は地方競馬での経験も豊富なので、心強いです。

(文中敬称略)

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