毎週欠かさず馬場に関する情報を収集し、自身の予想に反映させるというスポーツニッポンの“万哲”こと小田哲也記者が、“予想に役立つ馬場情報”をコンセプトに、重賞が開催されるコースについて、当週の降水量・前日のレース結果等を踏まえた主観的意見から、よりライブな馬場状態を解説する。
4週目に入った秋の東京開催。天皇賞を迎えて、芝コースは例年通りに内3m地点に内柵を設置したBコースが今週から使用されている。これもまた近年の傾向通りというべきか? 土曜の競馬を見る限り、経済コースをロスなく立ち回る馬の活躍が目立った。
土曜は、芝競走は6鞍。勝ち馬の最終4コーナーの位置は「8番手、4番手、4番手、1番手、2番手、8番手」。これだけを見ると差し馬も台頭しているように思えるが、個人的な印象は完全に「内&前優位」の傾向だった。
参考にはならないかもしれませんが、天皇賞と同じ芝2000mで行われた土曜8R・1勝クラスは、いわゆる「行った行った」の結末。逃げた1番人気アンダープロットが前半5F61秒4(レース後半5F58秒6)のスロー逃げ。2番手から伸びた3番人気シーニックウェイ(2着)が一度は前に出たが、最後は内からアンダープロットが差し返して1着。上位2頭の人気や展開を考えると、前2頭の優位は確かなのだが、直線の中〜外が伸びないというよりは、内寄りの傷みが軽減された分、距離ロスなく走った馬が優位になった印象。
3歳以上3勝クラスの10R・紅葉S(芝1600m)も「内&前優位」の傾向が出た。逃げたオパールシャルム(8番人気)こそ6着に後退したが、優勝した2番人気アオイクレアトールは道中2番手から抜け出した。2着オールイズウェルは4番手からクビ差。3着ウイングレイテストは最終4コーナー7番手から、内ラチ沿いをスルスル伸びてきた。ウイングレイテスト騎乗の名手・武豊騎手の進路取りが「内優位」の騎手心理を物語っているとも思う。全体時計は1分32秒7で、時計の出方は速くはなくほぼ標準。
天皇賞・秋は、一般的に「外枠不利」と言われる2000mが舞台。シルポートが逃げまくった10、11、12年に代表されるように、確固たる逃げ馬がいた時代は、差し馬が台頭した天皇賞だったが、過去6年の優勝馬は全て「最終4コーナー5番手以内」に位置していた。今年もこれといった強力逃げ馬は不在。思わぬ馬が大逃げでも打たない限り、Mペースから内優位に推移する可能性は高い。「3強」の1角、エフフォーリアはダービーを除けば、これまで好位でレースをしてきた。展開の利は大きいかも? スタート直後の最初の2コーナーでの隊列が、最終的な結果にも影響しそうだ。