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▲エリザベス女王杯にテルツェットを送り込む和田正一郎調教師 (C)netkeiba.com
クイーンSで重賞2勝目を挙げたテルツェットが再びGIの舞台へ。初の阪神芝2200m、エリザベス女王杯に挑みます。
GI初挑戦となった今年のヴィクトリアMでは14着に敗れました。今回が2度目の挑戦、そして勝てば初制覇…その手ごたえは? 過去の重賞レースを振り返りつつ和田正一郎調教師に伺います。
(取材・文=デイリースポーツ・小林正明)
血統背景からも「こなしてくれるかなと」
――クイーンSは後方から鮮やかに差しきり、重賞2勝目をマークしました。レースを振り返ってください。
和田郎師 気持ちが入りやすい馬なので、滞在競馬で輸送がない点と、洋芝という条件はいいと思っていました。ただ、コーナーが4つの競馬に対応できるか。そこが鍵でした。
――メンバー最速の上がり3F35秒2を記録してV。強い内容だったと思います。
和田郎師 初の舞台をこなしてくれて、最後はいい脚を使ってくれました。
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▲後方から差し切りクイーンSを制したテルツェット (C)netkeiba.com
――今回は休養明けでのGI挑戦となります。
和田郎師 前走後、エリザベス女王杯は目標の中に入っていましたが、競馬のあとは反動がありました。そこで直行という形になりました。ただ、ここまでは順調に来ています。
――1週前追い切りは美浦Wで併せ馬を行い、5F69秒1、53秒5、38秒4、11秒7をマークしてパートナーに先着しました。
和田郎師 負荷をかけつつ、しまいを伸ばすイメージで追いました。道中の折り合いはついていたし、追ってからもいい伸びを見せてくれました。動きは良かったと思います。
――ここまでの戦歴を振り返ってください。4歳秋の時点でキャリアは8戦。12月の中山とやや遅い時期での新馬Vでしたが、その当時でクラシックという考えはありましたか。
和田郎師 新馬戦を勝ったあとにポンポンと行けばクラシックへということにもなったかもしれませんが、ミモザ賞で3着に敗れてしまいましたからね。あの時点では馬に伸びしろがある段階でしたし、無理はさせたくなかったです。
――その後は条件戦を連勝し、ダービー卿CTでは後方から鋭い決め手を発揮してV。4連勝で重賞初制覇を達成しました。
和田郎師 力をつけていて期待はしていましたが、3勝クラスを勝ったばかりで、通用するのかなという気持ちもありました。レースは思っていたよりも後ろの位置取りになりましたが、ミルコさんがうまく乗ってくれました。やや早めに仕掛け、外を回って差しきるというのはマイルの勝ち方のひとつですからね。ハンデもそこまで重くなかったので、その分もあったのかなとは思います。
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▲4連勝で重賞初制覇となったダービー卿CT (撮影:下野雄規)
――連勝の勢いのままGIのヴィクトリアMに挑戦したものの、結果は14着に敗れました。
和田郎師 ゲートの出がひと息で後ろからの競馬になった上に、流れも向きませんでした。あと馬場入りの時からテンションが高すぎて、精神面も走れる状態ではなかったように思います。テンションの高さは以前からありましたが、ダービー卿CTのときはうまくなだめてくれました。しかし、ヴィクトリアMはそれ以上のものになってしまいました。
――今回は2回目のGI挑戦となります。舞台は初めてとなる阪神芝2200m戦です。
和田郎師 この距離は走ったことがないので何とも言えないところはあります。ただ折り合い面では注文がつかなくなっていますからね。
――近親には16年ドバイターフを勝ったリアルスティールと、19年オークスと21年クイーンエリザベス2世カップを制したラヴズオンリーユーがいる血統です。
和田郎師 叔父、叔母と中、長距離で活躍していますし、叔母は2400mのGIで結果を出していますからね。そのような血統背景からもこなしてくれるかなとは思っています。
――勝てばGI初制覇となります。
和田郎師 この馬のストロングポイントは身体能力の高さと競馬へ行った時の走るという気持ちの強さです。これは今回ということではないのですが、GIを勝てるポテンシャルはあると思っています。その可能性を少しでもつぶさないように、自分にできることは最善をつくして、お膳立てができればいいなと思っています。
(文中敬称略)