トップは約4000万のドバウィ…欧州供用種牡馬の種付け料
新種牡馬パレスピアとセントマークスバシリカの出世争いも見どころ
欧米各国の種牡馬繋養牧場から、2022年の種付け料が発表になっている。
今回のこのコラムは、欧州供用種牡馬の来春の種付け料をご紹介したい。
数字が公示されている欧州供用種牡馬で、2022年の種付け料が最も高額なのは、25万ポンド(約3925万円)が設定されたドバウィ(父ドバイミレニアム)となった。
ダルハムホールスタッドで種牡馬入りした2006年は、種付け料が2万5千ポンドだった同馬。父ドバイミレニアムの現役時代がそうであったように、ドバウィ産駒も芝・ダートを問わず活躍するのが特徴で、万能型種牡馬として定評を得た同馬の種付け料は、2014年に10万ポンドの大台に乗り、2017年以降は25万ポンドが維持されている。
今季も、ロードノースがG1ドバイターフ(芝1800m)を、モダンゲームスがG1BCジュヴェナイルターフ(芝8F)を、スペースブルースがG1フォレ賞(芝1400m)やG1BCマイル(芝8F)を、ユビアーがG1BCターフ(芝12F)を制するなど、トップサイアーとしての実力を存分に発揮している。
前年と変わらず序列は欧州繋養馬第2位ながら、金額はここ4シーズンの17万5千ポンドから14.3%アップし、2022年は20万ポンド(約3140万円)の大台に乗るのが、ジャドモントで供用中のフランケル(父ガリレオ)だ。
14戦14勝の成績を残し、史上最強馬の看板を引っ提げて種牡馬入りした2013年、同馬の種付け料は12万5千ポンドだった。初年度産駒から日本で2つのGIを制したソウルスターリングや、G1英チャンピオンS(芝9F212y)を制したクラックスマンらが出現した後の2018年、フランケルの種付け料は17万5千ポンドにアップ。2021年まで4シーズンにわたって、この数字は変わらずに来た。
2021年の3歳世代から、G1英ダービー(芝12F6y)やG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)を制したアダイヤー、G1愛ダービー(芝12F)、G1パリ大賞(芝2400m)、G1英セントレジャー(芝14F115y)を制したハリケーンレーン、G1ファルマスS(芝8F)勝ち馬スノーランタン、G1フィリーズマイル(芝8F)を制しカルティエ賞最優秀2歳牝馬に選出されたインスパイラルらが出現。夏前から英愛サイヤーランキングの首位を走っており、父ガリレオが11年にわたって守ってきたリーディングの座を奪取することが、ほぼ確実となっている。
種付け料15万ポンド(約2355万円)で序列第3位となるのが、フランケルと同じジャドモントで繋養されているキングマン(父インヴィンシブルスピリット)だ。
2014年に、強烈な末脚を武器に4つのマイルG1を制し、欧州年度代表馬に選出された後、2015年に種付け料5万5千ポンドで種牡馬入りしたのがキングマンだ。
初年度産駒から、ロイヤルアスコットのG2コヴェントリーS(芝6F)を制したカリークスらが出現し、2019年の種付け料は7万5千ポンドに上昇。さらに2019年春にはペルシアンキングがG1仏2000ギニー(芝1600m)を制し、2020年の種付け料は15万ポンドに高騰した。
その後も、パレスピアがG1セントジェームズパレスS(芝7F213y)を皮切りに5つのG1を制した他、北米でもドメスティックスペンディングがG1マンハッタンS(芝10F)など3つのG1を制覇。日本でもGI、NHKマイルC(芝1600m)勝ち馬シュネルマイスターが出て、一気にトップサイアーとしての地位を確立した。
そのキングマンの直仔で、2021年カルティエ賞最優秀古馬に選出されたパレスピアが、2022年からダルハムホールスタッドで種牡馬入り。5万5千ポンド(約863万円)の種付け料を設定されて、欧州供用新種牡馬の中では最高値となった。
新種牡馬ではこの他、2021年のカルティエ賞欧州年度代表馬で、愛国のクールモアで種牡馬入りするセントマークスバシリカ(父シユーニ)が、種付け料6万5千ユーロ(約858万円)と、パレスピアとほぼ同額が設定されている。
パレスピアとセントマークスバシリカの、種牡馬としての出世争いも、今後の欧州馬産界における大きな見どころになりそうである。