このところ、物忘れがひどい。
だいたいは薬を飲んだかどうか思い出せないとか、スマホを置いた場所がわからなくなるといった日常生活に関することなのだが、先日、仕事に関することで思い出せないことが出てきて「ヤバい」と思った。
それは、今週のマイルチャンピオンシップに関することだ。実は、この稿に、次のように書くつもりでいた。
先月の天皇賞・秋、先週のエリザベス女王杯につづき、今週のマイルチャンピオンシップも三強による争いになりそうだ、と。
ところが、である。
三強のうち、シュネルマイスターとグランアレグリアに次ぐもう1頭はどの馬だったか、まったく思い出せないのだ。
三強という言葉を思い浮かべたときは、確かに3頭目の馬名も姿も私の脳内で鮮明な像を結んでいた(ような気がする)。
登録馬を見て考えた。3頭目はインディチャンプか、サリオスか、ダノンザキッドか、グレナディアガーズか。
ウーン、という感じである。ピンと来る馬がいない。
3頭目はどこへ行ったのか。香港マイルを予定しているダノンキングリーか、阪神カップに向かうソングラインあたりがこちらに出てくると思い込んでいたのか。それとも、インディチャンプにもっと重い印が集まると思っていたところに△が多く並んでいるのを見て、三強っぽいイメージが消えてしまったのか。
寺山修司の「クリフジはいずこに」になぞらえ、「3頭目はいずこに」と題し、時系列に従って有力馬の動向を追いながら自分の記憶を辿っていくつもりだったのだが、こう書いているうちに、ダノンキングリーが香港マイルに向かうというニュースを忘れていたのが正解という気がしてきた。
ともかく、今週のマイルチャンピオンシップは、シュネルマイスターとグランアレグリアの新旧マイル王対決が一番の見どころになりそうだ。
グランアレグリアは、ここを最後に引退するという。マイルチャンピオンシップでは、天皇賞・秋で最先着した馬が好走するというデータがあるだけに(といっても出走してくるのはこの馬だけだが)、連覇が濃厚のように思われるが、シュネルマイスターも強い。最後の対決が楽しみだ。
さて、さっき、歯科医院に予約していたことをスマホのカレンダーのリマインダーで思い出し、慌てて行ってきた。
インビザラインという透明なマウスピースで歯列矯正を始めたのは2017年の相馬野馬追のころだった。それが昨年6月にようやく終わったと思ったら、今度は逆戻り防止のワイヤーを歯の裏につけ、寝るときだけリテイナーと呼ばれるマウスピースを装着するようになった。いつまでこれをつづければいいのか歯科医に訊いたら、こう言われた。
「上の歯のワイヤーは半年後に外しますが、寝るときのリテイナーは一生つけてもらいます。下の歯は、もうリテイナーは不要ですけど、ワイヤーは一生つけておくほうがいいでしょうね」
面と向かって「一生」という言葉を使われたのはいつ以来だろう。それこそ思い出せなかった。
「一生許さない」「一生かけて償う」「一生追いつけない」など、「一生」につづく言葉は、重いばかりでなく、「負」のイメージの強いものが多い。
まあ、でも、「一生」といっても、歯が抜け落ちるまでだから、「死ぬまで」というわけではない。
そう考えることにしよう。
日本でコロナが落ちついてきたことに伴い(と言っていいと思うのだが)、短期免許で来日する外国人騎手のことがちらほら話題になりはじめた。
まず、クリスチャン・デムーロ騎手が、ジャパンカップから年末まで日本をベースに騎乗するという。香港カップでレイパパレに騎乗する予定のクリストフ・スミヨン騎手なども来日したら、ジョッキーたちの騎乗馬獲得レースがさらに激化する。
コロナ禍で外国人騎手が来なかったことが日本の若手が台頭するチャンスを大きくしたと言われているが、横山武史騎手をはじめとする若手と、世界のトップレベルの騎手たちとの腕比べも楽しみだ。
本稿がアップされる11月18日の名古屋競馬に、宮下瞳騎手が女性騎手初の通算1000勝へのリーチをかけて臨む。
兵庫の新人、佐々木世麗騎手の勢いもすごい。11月17日現在70勝を挙げ、地方新人女性騎手の最多勝記録を更新しつづけている。
彼女たちの手綱さばきからも、目が離せない。