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ドバイワールドC展望

  • 2006年03月21日(火) 23時51分
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 3月25日にドバイのナドアルシバ競馬場で行われる第11回ドバイワールドC。過去の成績を見ると、地元ドバイ勢とダートの本場アメリカ勢の2大勢力が圧倒的優位に立っていることは明らかだ。今年も、このどちらが制して現在五分五分(過去10年でアメリカ5勝に対しドバイ5勝)の情勢から一歩リードするかが、焦点となるはずだ。

 ただし、今年はアメリカから5頭という、これまでにない大デレゲーションが遠征しているので、アメリカ勢の中での取捨が大きなポイントとなってくる。

 私は、2年連続全米リーディングのトッド・プレッチャーが送り込んでくるマグナグラジュエイトがエース格と見る。3歳シーズン後半に重賞3連勝と急上昇。殊に、スアーヴ、パーフェクトドリフト、トータルインパクトといったトップクラスの古馬を撃破して制した11月のG2クラークHのレース振りは印象的で、今季のアメリカ古馬ダート戦線を背負って立つ存在になることが期待された。

 今季緒戦となった2月のG1ドンHは4着と敗れてファンをがっかりさせたが、当日のガルフストリームは極端な道悪で、しかも超のつくハイペースに巻き込まれて自滅と、敗因がはっきりしている。この敗戦にもめげずにドバイにやってきたところに、管理するリーディングトレーナーの自信が窺えるのだ。

 もちろん、ドンHでマグナグラジュエイトを破ってG1初制覇を果たしたブラスハットも実力馬だし、ここでは大敗したスーパーフローリックも4着となったBCクラシックだけ走れば侮れず、アメリカ勢の上位独占もありえる状況と見ている。

 一方のドバイ勢の筆頭は、ダート初挑戦となった前哨戦のマクトゥームチャレンジ・ラウンド3を7馬身差で圧勝したエレクトロキューショニストだ。お馴染み、昨年8月のインターナショナルSでゼンノロブロイを下した実力馬で、しかもダートもこなせるとなれば、地元の期待が高まるのも当然だが、一方で、マクトゥームチャレンジ・ラウンド3の2着馬チキティンは昨年のドバイWCの11着馬。言ってみれば相手が弱かったわけで、ダートの本場アメリカのトップクラスと互角にやれるかどうかは、いまだ未知数だと思う。

 さて、ここに挑む2頭の日本勢。昨年11月のジャパンCダートで見せたパフォーマンスを再現出来れば、上位争いに食い込む可能性は十分にあるはずだが、再現出来るかどうかは、ひとえにナドアルシバのダートをハンドリングできるかどうかに、かかっていると言えよう。

 香港シャティン競馬場の直線千メートルコース同様、どんなタイプを連れていけばドンピシャで合うのか、論理的解明が十分になされていないのが、ナドアルシバのダートコースである。カネヒキリの力は、ダートならば明らかに01年2着のトゥザヴィクトリーよりも上だが、一方でアドマイヤドン(04年8着)よりも強いかと言われれば、確信も持ってYESと言える段階にはまだ至っていないと思う。

 先行しなければ勝機のないコースであることは、鞍上の武豊騎手も十分にわかっているはずで、積極的なレース運びを見せて、まずは日本馬にとって「指定席」とまで言われている6着を上回る成績を収めて欲しいものである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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