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【阪神JF予想】バラエティに富んだメンバー構成。好素材ナミュールに注目/古澤秀和

  • 2021年12月10日(金) 18時00分

底力を問われる流れの方がより力を出せそうなナミュール(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 今週は阪神ジュベナイルFが行われます。阪神の1600m外回りという舞台で行われるこのレース、2歳牝馬という未知な部分が多いメンバーですので、馬体観察が力を発揮できるところでもあります。このレース出走予定の有力馬について、馬体やレースぶりを中心に解説したいと思います。

ウォーターナビレラ
 シルバーステート産駒で、全体の骨格がすっきりしていて薄手の馬体。胴が長く、窮屈なところもないので前走の1400mに対応したのは素質の高さ。距離がマイルになるのは大きなプラス材料でしょう。1400mでも2番手に付けるスピードがありますが、馬体構造からは広いコースの方が向いているので、外回りに変わる点もプラス材料。中間の馬体写真を見ると、前走時に比べてトモの肉付きも少し良くなった気がしますし、脚が細めで手先が軽いので先週から少し軽くなった馬場もこなせるでしょう。その先週は前と内が有利な馬場。内目の枠が理想で、それがかなえばまず勝ち負けに持ち込めるでしょう。外目の枠でも上位争いは必至です。

サークルオブライフ
 ツナギが深く、牝馬にしてはどっしりとした馬体。筋肉量が多く、腹袋もしっかり。父エピファネイアの特徴が良く出ています。馬場適性は時計の速い馬場もこなせますが、どちらかと言うとパワーの要る馬場の方が合っているでしょう。距離はマイルがベストで、長く脚を使える構造なので阪神の外回りも合っています。器用さという点では乏しいので、外が伸びる馬場なら上位争い必至です。

ステルナティーア
 マイルCSを勝ったステルヴィオの全妹。ツナギの深さや曲飛節、筋肉の質などは似ています。この馬は牝馬にしては胸前の筋肉が発達していて、トモの筋肉もしっかりと付いています。全体的に伸びやかさはありませんが、その分回転の速いフットワークを生み出せます。スタートが速くポジションも取れるので、スローの瞬発力勝負に向いていて、それならメンバー中一番でしょう。逆にハイペースの消耗戦にはあまり向いていないと思います。飛節が非常にしなやかなので、馬場は軽い方が良いでしょう。馬券的には速い上がりで勝ったり、血統馬でもあって人気の方が上にきそうです。

ナミュール
 ハービンジャー産駒ですが、よくいるそれに比べると重苦しさがなく、軽さが目立ちます。ツナギが深く飛節も柔らかいですし、腰の可動域も非常に大きいです。この良い意味での緩さは、血統などは全然違いますが、ハーツクライなどを下して宝塚記念を勝ったスイープトウショウを思い出します。長く脚を使えるタイプですが、追い出してからの加速も速く、素質の高さはかなりのものを持っていると思います。完成度は低いですし、先の方が強くなると思いますが、ここでも十分戦えると思います。馬場質は重くても軽くてもどちらもこなせるでしょうが、ハイペースで底力を問われる流れの方がより力を出せそうです。

スタティスティクス
 デビュー戦14着、続く未勝利戦でも5着に敗れましたが、当時はまだ線が細くてポテンシャルを生かせていませんでした。それが3か月経った前走で一気に実が入り別馬の様に良化。トモの肉付きが良くなり、一気に完成度の高い体付きに。レースではフワフワ走っていたので休み明けを使った上積みもありそう。器用さはないので前や内が有利な馬場だと厳しいかもしれませんが、外差し馬場なら上位に食い込む力は持っていると思います。ペースも速い方が良いでしょう。

【総括】

 それぞれ武器の違う素質馬が揃い、非常に楽しみなレースです。現時点では軸として堅そうなのはウォーターナビレラ、素質で突き抜ける可能性があるのはナミュール、穴で面白いのはスタティスティクスという印象です。結論は直前の調教や馬場傾向、枠順などを加味してウマい馬券で提供したいと思いますので、是非ご参考下さい。



■プロフィール
古澤秀和(ふるさわひでかず)
 2002年に雑誌「競馬王」でデビューしたのを機に、プロ予想家としての活動を開始。中央競馬で全レースのパドック・返し馬を徹底観察。そこから競走馬の能力、適性などに加え脚質も見抜き、馬券を組み立てる。パドック派にありがちな本命予想ではなく、複勝で10倍を超えるような穴馬を見つけるのが得意。必ず開催競馬場に足を運び、生の馬を徹底観察。繋(つなぎ)や蹄、体型、骨量、筋肉の量・質、関節の柔軟性や、脚元、馬具などのデータを採取。それを基盤としながら、血統やレースリプレイ、過去データ分析などのファクターを絡めて予想している。主に各馬の「適性」を見極めることに注力し、「適性外の条件で惨敗」→「適性条件で巻き返し」というパターンに重点を置いた予想を展開。これにより、複勝10倍を超えるような穴馬も高頻度でピックアップしている。

高回収率をたたき出す馬券のプロたちは、どのような視点で重賞レースにアプローチをしているのか。ときに冷静に、ときに大胆に直球勝負で攻める予想家たちの熱き見解は必見。 関連サイト:ウマい馬券

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