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グランプリ3連覇中のクロノジェネシス(撮影:下野雄規)
ノーザンファームしがらきが管理をサポートする有力馬について、松本康宏場長にお話をうかがう当コーナー。今回はこの有馬記念がラストランとなる、クロノジェネシスについてインタビューしました。
(取材・文=netkeiba編集部)
海外遠征でたくましくなる
──前走(凱旋門賞)を振り返って、いかがでしたか?
松本 ドバイでの輸送でクロノジェネシスがどういう反応をするかを確認して、今回の輸送に活かそうということで。結果、帯同馬をつけて、(輸送の)業者と綿密な計画を練ることで、フランスへの輸送はすごくうまくいきました。10日間しか滞在しなかったんですけど、それでも国内で出走するのとほぼ遜色ない状態で出走できたので、その点については非常に満足しています。
ただ結果としては7着。直線までかなり見せ場はあったんですけど、直線を向いて追い出してからはいつものクロノジェネシスの最後の動きができなかったですね。あんまり馬場を言い訳にはしたくないんですけど、かなり雨が降ったので、そういう面で本来持ってるスタミナ等がだいぶ削がれてしまったのかなと感じています。
──帰国後の状態はいかがですか?
松本 輸送もうまくいって、調教もほぼ理想というか、なかなかいい状態で出走できたので、ああいう馬場を走ったわりにはダメージがそれほどなく…。正直帰ってきた時の状態でいうと、ドバイの時よりははるかに楽な状態で帰ってきました。
──有馬記念に向けての状態はいかがですか?
松本 ネットとかを見ると、海外帰りの馬はどうこうっていわれますけど、その点に関してはまったく問題ないと考えています。
──過去の名牝たちと同様、遠征で精神的に強くなったのでしょうか?
松本 そうですね。ラヴズ(オンリーユー)やリスグラシューもそうだったんですけど、そういう経験を繰り返すことで、ここ数年の牝馬たちは精神的にも肉体的にもたくましくなれることが多くて。これを僕らはいつも“無双状態に入った”と呼ぶんですけど、そんな感じで。クロノジェネシスもリスグラシューほどではないんですけど、いい感じになっているのかなと思います。
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海外遠征を経て、さらにたくましく(C)netkeibe.com
──直近で、変化したと感じる点はありますか?
松本 帰ってきてからは元気もすごくありますし…。ただ、斉藤(崇史)先生に今回入厩してからの話を聞くと、元気がありすぎるというか、すごく気負って走っていると指摘されたので、その点についてはもしかすると、馬が負けたことで気負う状態になっているのかも知れません。ただ、先週の追い切りからぐんぐんよくなっているとも聞いていますし、気負う部分は昔から出てくる馬なので、まったく気がないよりいいかなと、いつも前向きに捉えています。
──今回で引退ですが、思い出に残っているレースは?
松本 いっぱいありすぎてなんとも言い難いんですけど…。デビューする時から、北村(友一)騎手がこの馬はかなり走ると評価してくれていましたし、この馬で大きいところにいきたい、というのも聞いていました。会員さんであったりファンであったり、賛否もいろいろあるかもしれないですけど、出来る限り北村騎手で、いけるところまでいきたいというのは僕も思っていましたし、斉藤調教師も考えてくれていまして。
秋華賞で、ここで負けたらどうしようかなというところまできてたんですけど、その秋華賞は非常に上手に乗ってくれたというか。その結果、やっぱりいままで乗せ続けてよかったのかなと思える部分もありますし、そう言った面も含めて、良くも悪くも色々と悩まされた馬かなと思います。
──グランプリ4連覇がかかります。レースへの意気込みをお願いします。
松本 (グランプリ4連覇が)“史上初”といわれると、とれるとありがたいです。ただ、これまですごく頑張ってきてくれた馬なので、正直、無事に帰ってきてくれるのが一番かなと考えているところです。その結果、1着ならすごく嬉しいですし、2着、3着もしくは着外でも、これまでの成績を考えたら十分頑張ってくれたかなって。最後は無事に走り終えて、元気な姿で北海道でお母さんになってほしいなというのが本音です。
(文中敬称略)