毎週欠かさず馬場に関する情報を収集し、自身の予想に反映させるというスポーツニッポンの“万哲”こと小田哲也記者が、“予想に役立つ馬場情報”をコンセプトに、重賞が開催されるコースについて、当週の降水量・前日のレース結果等を踏まえた主観的意見から、よりライブな馬場状態を解説する。
土曜の中山競馬場は、JRAホームページによると午前8時までに「5.5ミリ」の降雨を記録。午前9時15分に雨はやんだものの、雨の影響は残り、土曜の芝は最終12Rまで「稍重」で行われた。ただ、昨年の有馬記念週と比べると、見た目には芝状態は良く見える。昨年の同時期は全体的にボコボコして、時計が掛かり気味だったが、今年は内寄りの傷みも軽微。全体的に芝状況は良く、土曜は「稍重」の発表でも、まずまず時計は出ていた。
土曜は、芝競走は5鞍(中山大障害は除く)。優勝馬の4コーナーの位置は「1番手、8番手、7番手、2番手、4番手」。先行勢の粘りも十分利き、差しが届くレースもあった。脚質による有利不利は少ない印象。
有馬記念を考える意味では、同じ舞台で行われた11R・グレイトフルS(芝2500m)を取り上げたい。逃げたダノングロワールは道中ラップを落としてSペース。道中2〜3馬身ほど離れた2番手を追走した1番人気ヴェローチェオロが残り1Fで早め先頭。危なげなく押し切った。3番手から伸びた4番人気サトノラディウスが2着。終始中団インを通ったレティキュールが3着。勝ったヴェローチェオロは人気的にも完勝は当然。このレースで注目すべきは、中団インの内ラチ沿いを選択したレティキュールの横山武史騎手の進路取りで、見た目にはラチ沿いが多少傷んできたといっても、土曜時点では内も十分狙える。勝ち時計2分34秒0は「稍重」としては多少掛かっている程度。昨年の有馬記念優勝タイムが2分35秒0(1着クロノジェネシス)。昨年日曜のグッドラックHを逃げ切ったディアスティマが2分35秒7だから、昨年は全体的に力がいるコンディションだった。
参考までに、土曜12R・クリスマスカップ(外回り1600m)は最終4コーナーで4番手にいた1番人気ソウルラッシュ、4コーナー3番手のウインシャーロットの「好位組」が3着以下を離して1、2着。レース前半3F35秒0〜後半3F35秒5のほぼMペース。落ち着いてしまうと、中〜外からの差しでは勝つまでは厳しいのは先週と同様の傾向。土曜の競馬を見る限り、道悪の巧拙が出るほどの馬場ではなかった印象。
ちなみに土曜芝5鞍の優勝馬の父はリオンディーズ、ジャスタウェイ、ゼンノロブロイ、ゴールドシップ、ルーラーシップ。優勝馬の馬体重は414、452、462、480、494キロ。極端なパワー馬場という印象もない。
日曜は予想最高気温6度と低いが、天候的には終日ほぼ「晴れ」。乾きにくい厳寒期とはいえ、有馬記念は良馬場まで回復しそう。一見Hペースも予想されているが、道中である程度落ち着けば、後方組の追い上げはかなり厳しそう。土曜の時計の出方からすると、優勝タイムは「2分31秒台」付近。