素晴らしい万能性を示したエフフォーリア さらなる飛躍が楽しみに
先週の血統ピックアップ
・12/26 有馬記念(GI・中山・芝2500m)
中団を追走したエフフォーリアが直線で外から伸び、内のディープボンドに3/4馬身競り勝ちました。道中の最も遅いラップが12秒6。ハイレベルなスタミナと持続力を要求される、まぎれる余地のない実力勝負だったと思います。
父エピファネイアは距離が延びるにしたがって産駒成績が向上していくという中長距離型の種牡馬。母の父ハーツクライもサンデー系のなかでは長い距離に適した種牡馬の一頭です。
つまり、「エピファネイア×ハーツクライ」はスタミナに寄った組み合わせなのですが、それでいて2000mのGIを2勝した中距離のスピードは、アドマイヤムーン、スリープレスナイトといったスピード豊かな馬が出ているファミリーの影響ではないかと思います。コース形態や距離を問わない万能性は素晴らしく、2022年にどんな蹄跡を刻むのか楽しみでなりません。
・12/28 ホープフルS(GI・中山・芝2000m)
好位3番手を追走したキラーアビリティが直線で危なげなく抜け出し、ジャスティンパレスに1馬身半差をつけて完勝しました。通算成績は4戦2勝。前走の萩Sは超スローペースだったため馬が行きたがって2着と敗れましたが、GIの今回はよどみない流れとなり、横山武史騎手が馬の力をうまく引き出しました。
ディープインパクト産駒は、このレースでワンツーフィニッシュを決めたことにより、逆転で2歳種牡馬ランキングのトップに立ちました。2010年の初年度産駒から12世代で11回首位の座に就いたのですから桁違いです(2015年のみダイワメジャーに次ぐ第2位)。
母キラーグレイシスはハリウッドスターレットS(米G1・ダート8.5ハロン)の勝ち馬で、母の父コンガリーはダート8〜10ハロンで米G1を5勝しました。折り合い面の懸念が消えたわけではありませんが、皐月賞と同じコースのGIを制したことで、同レースへの最短距離に立ったといえます。
今週の血統注目馬は?
・1/5 万葉S(OP・中京・芝3000m)
芝3000m以上の長距離戦に強い種牡馬はオルフェーヴル。連対率24.0%は、2012年以降、芝3000m以上で20走以上した12頭の種牡馬のなかで第2位。GIレースでは一度も馬券圏内に来たことはありませんが、GII以下では連対率37.5%、複勝率56.3%と圧倒的な実績を誇ります。当レースにはシルヴァーソニック、ディアマンミノルの2頭が登録しています。前者は、前走のステイヤーズSで3着と好走し、長距離戦への適性を証明しました。後者は、近走の京都大賞典、アルゼンチン共和国杯でそれぞれ4、5着という成績があります。2頭とも争覇圏内でしょう。
今週の血統Tips
12月28日、2021年のJRA全日程が終了しました。NARはあと3日残っていますが、種牡馬ランキングの上位はほぼ確定したといっていいでしょう。1位ディープインパクト、2位ロードカナロア、3位ハーツクライは昨年と同じ。ただ、1〜3位の収得賞金はそれぞれ昨年よりも減っています。一方、キズナ、エピファネイア、ドゥラメンテ、モーリスは大幅に増やしています。キズナは約10億円、エピファネイアは9億円、ドゥラメンテは12億円、モーリスは11億円の増。来年、これらの若きライジングスター軍団はさらに上位に肉薄していくでしょう。いずれディープインパクトが退位したあと、何がトップに立つのか、現時点では読めません。