▲「日本が大好き」3年ぶりに来日中のC.デムーロ騎手 (C)netkeiba.com
ここ2年、コロナ禍で外国人騎手の来日が難しくなりましたが、昨年11月にクリスチャン・デムーロ騎手が待望の来日を果たしました(短期免許の期間は13日まで)。日本に来るのは実に3年ぶりで、ジャパンカップでフランスのグランドグローリーに騎乗し(5着)、翌週からは短期免許を取得すると、阪神カップをグレナディアガーズで勝つなど約1カ月で18勝を挙げる活躍を見せます。
一方で、ヨーロッパでもコロナの影響で、一時期は日常の様々な場面で行動が制約され、退屈な日々だったと話します。そんなつらい状況を経て、今回、兄・ミルコ騎手と久しぶりに再会すると抱き合ったとか。
コロナ禍でのヨーロッパの競馬事情や、今週末の3日間開催を終えて帰国後の予定などを伺いました。
(構成=大恵陽子、取材協力=武田宗大氏)
※この取材はリモートで行いました
「ミルコと会いたかった、会った時は抱き合いました」
――今回は2018年以来の来日です。久々に日本に来て、いかがですか?
C.デムーロ コロナの影響などもあり、3年ぶりの来日にはなりましたが、毎年来たい気持ちがありましたし、日本が恋しかったです。大好きな日本なので、今回来日できて、すごく嬉しかったです。
――今回はご家族は同行できず、お一人でと聞きました。
C.デムーロ 今回、11月から開始された「ビジネストラック」という制度で来日しました。他の外国人も来日が困難なところ、運良くジャパンカップでの来日が決定し、その過程で短期免許を取得しました。いま日本政府が短期ビザに関して、家族を帯同させることが不可なので、単独での来日になりました。
――ビジネストラックはオミクロン株の影響で現在は停止中ですから、ギリギリのタイミングで来日が叶ったんですね。兄・ミルコ騎手とも3年ぶりの再会となりましたが、どんなお話をしましたか?
C.デムーロ ミルコとは今でも週2回ほど電話やビデオ電話などで話します。久々に会いましたが、特別何かを話したという感じはありませんでしたが、ミルコと会いたかったので、会った時は抱き合いましたね。
――やはり直接会えるというのは嬉しいですよね。コロナ禍でヨーロッパではどんな生活をされていましたか?
C.デムーロ コロナが蔓延してから1度、感染しました。14日間自宅隔離もありましたし、家族にも感染させてしまいました。隔離期間中は競馬にも乗れなかったので、退屈な日々を過ごしました。
それ以外の期間も、競馬場と自宅を往復するだけで、スーパーマーケットに行く以外はずっと自宅で家族と過ごしていました。レストランや遊興施設などはすべて閉まっていたので、とても退屈な日々でしたが、2021年の春頃から徐々に施設がオープンしてきて、普段の生活に戻っていきました。
――その間、日本や他の国へ行こうと動かれたこともあったのでしょうか?
C.デムーロ 今回日本に来る前に、ブリーダーズカップとバーレーンでの招待レースがあったので、そこには参加させていただきましたが、基本的にフランスでの競馬と、イタリアダービーを勝たせてもらった時にイタリアに行ったぐらいです。
「GIでも活躍できる」ポテンシャルを感じた一頭
――久しぶりの日本競馬はいかがですか?
C.デムーロ 日本の競馬は世界的に見てもレベルが高いので、乗っていて楽しいですし、血統レベルも上がっているので、乗っている馬の血統などを見ていても楽しいですね。
以前に比べてお客さんの入っている人数がまだ少ないので、そのあたりが寂しい部分はあります。以前のようにたくさんのお客さんの前で乗りたいですし、みんなに現地で楽しんでもらいたいですね。早くコロナが終息するのを願っています。
――約1カ月で18勝(2021年12月末時点)と、短期間でたくさんの勝利を挙げていますが、ご自身の評価はどうですか?
C.デムーロ いい馬にも乗せていただいていますし、関係者からは勝利を期待している馬もたくさん乗せていただいています。GIで2回2着と悔しい思いもしているレースもありますので、100点とは言えないですが、たくさん勝たせてもらったので、結果は残せているのではと思っています。
――1日に3勝や4勝という日もたびたびありました。レース中や体調などで「いい流れがきている」と感じる点を教えてください。
C.デムーロ レースで勝つと気持ちよく次にも臨めますし、勝つイメージを持って競馬に向かうことができるので、体も心もコンディション良く競馬に行けています。自分がいい調子だと馬にも伝わると思うので、何勝もさせてもらっている時は、いろんな意味でいい流れできているなとは思います。
――特に印象に残っているレースは何ですか?
C.デムーロ 阪神Cではグレナディアガーズで勝たせてもらいましたし、斉藤崇史厩舎のバーデンヴァイラーという馬で短期間で2勝させていただきました。能力が高い馬で、のちのちはGIでも活躍できるポテンシャルもあります。少し我が強いところはありますが、この馬とはすごくフィーリングが合いますし、大好きな馬ですね。またどこかでチャンスがあれば乗りたいです。
▲グレナディアガーズで阪神Cを勝利 (C)netkeiba.com
▲管理する中内田調教師と固い握手 (C)netkeiba.com
――1月9日のシンザン記念にはソリタリオに騎乗予定ですね。
C.デムーロ はい、6日に追い切りに乗る予定です。
――帰国日やその後のご予定などを教えてください。
C.デムーロ 1月10日の開催が終わった後にフランスに帰る予定です。フランスに帰国後は1〜2週間、ホリデーを取って家族とゆっくりと過ごしたいと思います。その後は、契約しているルジェ厩舎が多くの馬を南フランスに送っているので、そこで騎乗を再開します。
2月にはサウジアラビアでのレースにも参加したいですし、ドバイワールドカップdayでのレースにも乗りたいですね。
――サウジアラビアやドバイのレースは日本の競馬ファンにも馴染みが深いですから、またC.デムーロ騎手の騎乗を見られる日が近そうですね。日本の競馬ファンへメッセージをお願いします。
C.デムーロ いつも応援していただいて、ありがとうございます。感謝しています。競馬場で会える日を楽しみにしています。
――最後に、兄・ミルコ騎手へもメッセージをお願いします!
C.デムーロ ミルコ、「ガンバレ!(笑)」
▲仲良しのデムーロ兄弟 (C)netkeiba.com
(文中敬称略)