レース後は「私が改めて書くまでもないだろう」と考えていました…
今週は、やっぱりJRA賞のことを書くべきなんでしょうね。それも、マルシュロレーヌに特別賞を与えるべきだったかどうか、についてです。
個人的には、特別賞なんだから与えるべきだった、と思っています。
これが、最優秀4歳以上牝馬に選ぶかどうか、だったら、大騒ぎにはならなかったかもしれません。でも、くどいようですが“特別の賞”ですから、同馬には十分に授与する価値があったと思います。
報道されているように、「ライトファンの認知度」が響いたのならとても残念。その思いは、そう主張した委員の方がいたから、というより、われわれの発信力不足に対する“自戒の念”によって抱いているものです。
当コラムで言うと、ミューチャリーのJBCクラシック初制覇についてはちょっと“思い入れ”を込めて書きましたが、マルシュロレーヌのことは昨年11月13日更新のコラムで少し取り上げただけ。成し遂げられたことの重さからすれば、あの時もっと書いておけばよかったと思っているところです。
言い訳になりますが、当時は「私が改めて書くまでもないだろう」と考えていました。ブリーダーズCクラシックを制したとか、ケンタッキーダービーに勝ったとかだったら、きっと大騒ぎしていたでしょうね。
それこそ認識不足! マルシュロレーヌが勝ったブリーダーズCディスタフは、“全米ダート女王決定戦”なんだから、そこをちゃんと評価しなきゃ!! はい、申し訳ありません。
でも、そうだから、ここは「ライトファンにその勝利の価値を理解してもらうため」に、特別賞を授与してほしかったとも思います。
それと、今回の場合、“初めて”の価値をもっと認めてあげてもよかったんじゃないでしょうか?
たぶん、凱旋門賞を初めて制した日本調教馬が、その年の最優秀馬や年度代表馬に選ばれなかった時には、特別賞を与えるかどうかの議論が行われるはず。その結果、授賞が見送られることはないと思います。
東日本大震災があった2011年、ドバイワールドカップでヴィクトワールピサが日本調教馬として初優勝を果たしました。その年、同馬のG1勝利はそれだけでしたが、JRA賞では4歳以上最優秀牡馬に選ばれています。
この時、同馬にとっての“対抗馬”となったのが、同年の天皇賞・秋を制しジャパンCは2着だったトーセンジョーダンでした。もしこちらが同部門の最優秀馬になっていたら、ヴィクトワールピサに特別賞を与えていたかどうか。もしそれで特別賞授賞が見送られていたら、今回と同じような騒ぎになったかどうか。
つまり、こういうことは何年か一度に必ず起きるようなのです。ウラを返せば、日本の強い馬が、その適性によって世界のあちこちで実績を残せる時代になった、ということ。歓迎すべき状況なのかもしれません。