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ニックスゴーvsライフイズグッド

  • 2022年01月19日(水) 12時00分

最初で最後の快速馬2頭のガチンコ対決


 賞金総額300万ドル(約3億4500万円)のG1ペガサスワールドC(d9F)の開催が来週土曜日(1月29日)に迫っているが、ここで実現する予定の「ニックスゴー vs ライフイズグッド」が、大きな話題を呼んでいる。

 2月10日に発表される2021年度のエクリプス賞で、全米年度代表馬に選出されることが確実視されているのがニックスゴー(牡6、父ペインター)だ。17年のキーンランド9月1歳セールにエントリーし、ブック4に仕分けされた後、韓国馬事会に8万7千ドル(当時のレートで約978万円)というお手頃価格で購買されたのがニックスゴーである。ベン・コールブルック厩舎から2歳7月にデビューすると、4戦目となったキーンランドのG1ブリーダーズフューチュリティ(d8.5F)を制しG1で重賞初制覇。続くG1BCジュヴェナイル(d8.5F)でも2着に入り、世代の最前線に躍り出ている。

 3歳時は8戦して未勝利に終わったものの、ブラッド・コックス厩舎に転厩して迎えた4歳シーズンの秋、G1BCダートマイル(d8F)をトラックレコードで制し、2度目のG1制覇を果している。本当の充実期を迎えたのが5歳となった昨シーズンで、初戦となったG1ペガサスワールドCを快勝。サウジC、G1メトロポリタンHはいずれも4着に敗れたが、7月にプレイリーメドウズで行われたG3コーンハスカーH(d9F)を10.1/4馬身差で制して復活。続くサラトガのG1ホイットニーS(d9F)、チャーチルダウンズのG3ルーカスクラシック(d9F)をいずれも楽勝すると、自身初の10F戦参戦となったG1BCクラシック(d10F)も快勝し、北米ダート戦線の頂点に立った。

 のみならず、BCクラシックでは暫定レート128を獲得し、2021年のワールドランキングで首位に立つことも確実となっている。今年春からケンタッキーのテイラーメイドで種牡馬入りすることが決まっており、種付け料も既に3万ドルと発表されているニックスゴーだが、引退前にペガサスでもうひと稼ぎというのは、近年の北米における定番となっており、同馬もその路線に乗ることになったものだ。

 一方、ニックスゴーより2世代若いのがライフイズグッド(牡4、父イントゥミスチフ)だ。ゲイリーとメアリーのウェスト夫妻による生産馬で、ケンタッキーのデルリッジファームで生まれたのがライフイズグッドである。19年のキーンランド9月1歳市場にエントリーし、こちらはブック1に仕分けられた後、チャイナホースクラブとメイヴェリックレーシング(ウインスターファームの別会社)のパートナーシップに52万5千ドル(当時のレートで約5694万円)で購買されている。ボブ・バファート厩舎から2歳11月にデビュー。

 デルマーのメイドン(d6.5F)を9.1/2馬身差で制してデビュー勝ちを飾ると、年明けのG3シャムS(d8F)も連勝。3戦目となったG2サンフェリペS(d8.5F)を8馬身差で制した段階で、ケンタッキーダービーの最有力候補に躍り出た。ところが、次走へ向けての調教中に、左後肢球節に剥離骨折を発症。3歳3冠を全休することになった。

 ボブ・バファート厩舎からトッド・プレッチャー厩舎に転厩して迎えた復帰戦のG1アレンジャーキンスS(d7F)で、ジャッキーズウォリアーの首差2着に敗れて連勝がストップ。だが、続くG2ケルソH(d8F)を5.1/2馬身差で制して復活をアピールすると、G1BCダートマイル(d8F)も5.3/4馬身差で快勝。現役に留まる2022年、北米ダートを牽引する存在になると目されているのが、ライフイズグッドなのである。

 前述したように、ニックスゴーにとってペガサスワールドCはラストランとなるため、この両馬の対決が見られるのは、ここが最初で最後となるのだ。勝負の行方とともに注目されているのが、どちらがハナに立つか、だ。両馬とも、身上としているのはスピードで、勝利を収めているレースはすべからく逃げ切り勝ちである。

 中でも、溜めずに逃げることで真価を発揮するようになったのがニックスゴーで、「何が何でも行きたい」のはニックスゴーの方と見る。単純比較はできないが、ニックスゴーが逃げ切った20年のBCダートマイルと、ライフイズグッドが逃げ切った21年のBCダートマイルのラップを比較すると、ニックスゴーの方がわずかながら速い。

 いずれにしても、快速馬2頭のガチンコ対決は、緊迫感あふれるものになるはずだ。ブックメーカー各社は、ニックスゴーに2.25倍〜2.5倍、ライフイズグッドに2.5倍〜2.75倍のオッズを提示し、わずかながらニックスゴー優勢という見方をしている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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