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【中山記念AI予想】今週は見解が一致! AIの注目馬に不安要素はない

  • 2022年02月21日(月) 18時00分

単勝オッズ5.1倍(2番人気)のカフェファラオがフェブラリーSを連覇(撮影:下野雄規)


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

2019年以前は単勝1番人気馬が大きく崩れがちだった


AIマスターM(以下、M) 先週はフェブラリーSが行われ、単勝オッズ5.1倍(2番人気)のカフェファラオが優勝を果たしました。

伊吹 惚れ惚れするような勝ちっぷりでしたね。先団の外からゴール前の直線で抜け出す完璧な競馬でしたし、上がり3ハロンタイム(34.3秒)も出走メンバー中トップ。結果的に前残りの決着となりましたが、あの位置取りや手応えなら、どんな展開にも対応できたのではないでしょうか。

M カフェファラオは2021年に続いてフェブラリーS連覇を達成。実績あるコースに替わり、レースぶりが一変しましたね。

伊吹 これで東京ダ1600mのレースは4戦4勝。もちろん、立て直しに成功した陣営の手腕や福永祐一騎手の手綱捌きも勝因のひとつですが、やはり単純にこのコースが合っているのだと思います。

M 昨年と同じく、今後のダートグレード競走戦線でも注目を集めることになりそうです。

伊吹 こうなってくると扱いに悩みますね。東京ダ1600mのGI競走は来年のフェブラリーSまでないわけですし、どのレースでもそれなりに人気を集めるでしょうから、単純に追いかけ続けるだけでは妙味がありません。ただ、ここまで戦績が極端だと、どこかで過小評価される可能性はありそう。レースの傾向なども参考にしつつ、信頼すべきタイミングを的確に見抜きたいです。

M 今週の日曜東京メインレースは、大阪杯などの前哨戦と位置づけられている中山記念。昨年は単勝オッズ2.5倍(1番人気)のヒシイグアスが優勝を果たしました。

伊吹 当時は3連勝中でしたね。先行勢が後続を引き離す展開で、なかなか難しいレースだったと思うのですが、4コーナー4番手のポジションからしぶとく伸び、ゴールの直前でケイデンスコール(2着)、ウインイクシード(3着)らをかわし切っています。その後は長期の休養に入ってしまったものの、昨年末の香港Cで2着に健闘。今年の好走馬も、国内外のビッグレースを盛り上げてくれるのではないでしょうか。

M 2020年の中山記念を制したダノンキングリーも、単勝オッズ2.5倍(1番人気)の支持を集めていた馬。近年は堅めの決着が続いています。

伊吹 どちらかと言えば、人気の中心となっている馬が期待を裏切りがちなレースなんですけどね。2012〜2019年の期間中に限ると、単勝1番人気の支持を集めたうえで3着以内に好走したのは、2016年1着のドゥラメンテだけでした。


M ここ2年の2勝を加えても、単勝1番人気馬の3着内率は3割どまり。大きく崩れた例がここまで多いレースも珍しいですね。

伊吹 ただ、単勝2〜3番人気の馬は堅実ですし、単勝4〜8番人気の馬が2012年以降[1-7-7-35](3着内率30.0%)、単勝9番人気以下の馬が2012年以降[0-0-0-38](3着内率0.0%)であることを考えると、波乱含みのレースとまでは言えません。各馬の評価はもちろん、買い目の組み立ても重要になってくると思います。

M そんな中山記念でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、アドマイヤハダルです。

伊吹 ちょうど良い塩梅の人気になりそうな馬が挙がってきましたね。それなりに注目を集めると思いますが、おそらく単勝1番人気はダノンザキッドでしょうし、2番手グループの一角に収まりそう。

M カラテやパンサラッサあたりにも支持が集まりそうですからね。

伊吹 この馬が信頼できるようならば、買い目作りの幅も広がるのではないでしょうか。Aiエスケープが高く評価している事実を踏まえたうえで、好走馬の傾向とこの馬のプロフィールを照らし合わせていきたいと思います。

M 明暗を分けそうなポイントはどのあたりでしょう。

伊吹 まずはキャリアですね。2014年以降の過去8年に限ると、連対を果たした16頭はいずれも出走数が17戦以内でした。


M 一方、キャリア18戦以上の馬は3着内率も6.1%どまり。高齢馬やレースを使い込んできた馬は割り引きが必要ですね。

伊吹 4歳以上のGIIという施行条件を考えると、キャリア17戦以内というのは相当に高いハードル。実際、今年の中山記念に特別登録を行った17頭のうち、出走数が17戦以内の馬は6頭しかいません。少なくとも、連軸はこの条件をクリアしている馬の中から選ぶべきだと思います。

M その6頭のうち一頭がアドマイヤハダル。特筆すべき強調材料と言って良いでしょう。他に何か注目すべきファクターはありますか?

伊吹 今年は脚質も重視した方が良さそうですね。該当馬の数はそれほど多くないものの、同じく2014年以降の過去8年に限ると、前走の4コーナーを1番手や11番手以下で通過した馬は苦戦していました。


M 極端な競馬をした直後の馬はあまり信頼できないということですね。

伊吹 先程名前の挙がったカラテやパンサラッサがこの条件に引っ掛かっている点は気掛かり。無難なポジションでレースを進められそうな馬に注目すべきでしょう。

M アドマイヤハダルは前走の4コーナーを7番手で通過。この点に関しても心配する必要はなさそうです。ちなみに、その前走で2着に好走している点はいかがでしょう。

伊吹 当然ながら、これもポジティヴに評価できます。前走の着順が2着以内だった馬は、2014年以降の過去8年に限ると3着内率が5割を超えていました。


M 大敗直後の馬が巻き返した例もあるとはいえ、これだけ堅実だと前走好走馬にはそうそう逆らえませんね。

伊吹 ちなみに、前走の着順が3着以下、かつ“前年以降、かつJRA、かつ2000m以下、かつGIのレース”において12着以内となった経験がない馬は2014年以降[0-0-1-39](3着内率2.5%)です。中距離以下のビッグレースを主戦場としてきた馬なら話は別ですが、基本的には直近のパフォーマンスを重視すべきでしょう。

M 今週は伊吹さんとAiエスケープの見立てが一致しました。

伊吹 私と異なる手法でレースデータを分析しているAiエスケープの評価も高いのは心強いですね。人気次第ではあるものの、余程のことがなければ馬券の中心に据えたいと思います。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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