ワンシーズンだけレースが行われる “レアな競馬場”の姫路競馬場。同じ兵庫県内にある園田競馬場とともに兵庫県競馬を支える競馬場ですが、ここ3年は冬のみ1〜3カ月の開催だけで、全国各地の重賞を勝つ吉原寛人騎手でさえ姫路の重賞は勝ったことがありません。
そんなレアな姫路競馬の開催も今週24日をもって早くも2022年最後のレースとなります。昨年から変わった点や、姫路開催中に行われた園田競馬場の改修工事など「ちょっと(というか、かなり)馬ニアックな世界」を覗いてみましょう。
手書き黒板健在の姫路
パドックの向こうに国宝・姫路城を望む地にある姫路競馬場。
内馬場の調節池造成工事などを経て2020年1月、約7年半ぶりにレースが再開されました。
その間、地方競馬はインターネット投票で売り上げをグングン伸ばし、園田競馬場はお座敷スペースを作ったり、スタンドの内装も綺麗に様変わりしました。他の多くの地方競馬場もJRAに負けじとスタンドを綺麗にする中、姫路は昭和レトロを継承しています。
中でも象徴的なのが、パドックの手書き黒板。
1レース毎に専属の職員がチョークを器用に使って馬名と馬体重を書き込んでいきます。
▲姫路名物ともなったパドックの手書き黒板。独特な字体ながら、なぜか読みやすい。
令和の時代には新鮮にさえ映るノスタルジックな黒板は、今年の開催でも健在。
上の写真は重賞・白鷺賞の時のもので、1着賞金1000万円という高額さとのギャップもまた乙に感じるほどです。
この白鷺賞は単勝1.0倍に支持されたジンギが勝利。
▲2年連続で兵庫の年度代表馬に輝いたジンギ。次走は名古屋大賞典の予定。
園田デビューのロードカナロア産駒が、今年も園田・姫路の王者に君臨しそうです。
さて、姫路のレースを見ていて気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、今年から1〜2コーナーに目隠しのフェンスが設置されました。
▲1〜2コーナー外ラチ沿いのグレーのフェンスを新設。よりレースに集中できる環境に。
昨年の開催までここは木が植えられていたのですが、若い木なのか、葉が生い茂るほどではなく、コースに沿って走る馬運車が丸見えの状態。
タイミングによっては馬が物見する可能性もありますし、景観上も気になる箇所だったのですが、スッキリしました。
園田には女性用控室ができる予定
一方、姫路開催中に園田競馬場の改修工事も進められています。
ファンに直接関係する箇所ではありませんが、馬や騎手には嬉しい改修で、主に2点。
・装鞍所の改修工事
・練習走路の路盤改修
装鞍所はその名の通り「鞍を装着する場所」で、1頭ずつ壁で仕切られたスペースでレースに向けた馬装を施します。
この平屋建ての装鞍所は建築から50年を超えて老朽化が進んでいるため、順次取り壊して新たに建築中。
今年の秋頃に完成する予定です。
また同じエリアには誘導馬棟があるのですが、2018年の大型台風では屋根が吹き飛ぶ被害がありました。応急処置を施していたのですが、このたび誘導馬棟も新しくなります。平屋から2階建てになり、2階には近年増えてきている女性スタッフのための控室や、交流レース時に遠征してきた他場関係者の休憩スペースが設けられる予定で、こちらは来年3月の完成が予定されています。
▲誘導馬たちの住まいも新築されます。
そして、練習走路についてはレースが行われるコースの1つ内側に設けられている調教用のコースのこと。
前回の改修工事から約10年が経ち、損傷が激しく排水性も低下していることから、硬化した路盤層を改修し、排水性の高い走路に改修中。砂は本コースと同じオーストラリア産の白い砂で、これにより馬の脚への負担軽減を図りつつ、よりハードな調教が行なえる環境を整えていきたいとのことです。
こちらは今年3月中に完成予定。
▲木村健調教師(内)が走っているのがレースでも使う本コース。現在改修中の練習走路はその一つ内側のコースのこと。
いずれも私たちと直接関係するものではありませんが、馬や厩舎関係者がより快適に調教やレースを行うために必要な施設の改修。
ファンの多い誘導馬たちも、厩舎が新しくなることでこれまで以上に快適に過ごすことができ、私たちに可愛らしい姿を見せてくれることでしょう。
姫路競馬では今週23日に地方全国交流重賞の兵庫ウインターカップが行われたのち24日で開催を終え、園田競馬が3月1日から開催されます。